case.15-C 修行の成果【Side:LuBelphe】
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ガネーシャ(ガネリア(リア))はルヴェルフェに嘘をつきました。
彼女が教えたのは、神将スキルなどではなく、単なる次元干渉系スキルの一つに過ぎません。
『ガギギギ……ギ!』
『センメツ!!』
「クソ……いい加減しつこいんだよッ!!」
華麗に回し蹴りを決め、近づいてきた機械兵を蹴り飛ばした。
僕はルヴェルフェ。
たった今、主である魔王様から連絡があって、国中で暴れている機械兵……機械騎士とやらを鎮圧する為に動いている。
ちなみにこの機械騎士……“騎士”というくらいだから、騎士型しか居ないのかと思っていたら、全然そうじゃなかった。
というかむしろ僕のところには、騎士型よりも他の……見た目的には魔術師みたいなやつの方が多かった。
まあ、総じて機械兵とするが、僕は今そういうやつを相手しているのだ。
一人でこの数は結構キツイが……まあ、修行の成果を発揮できる……と考えたら別に辛くは無い。
むしろ楽しみなくらいだ。
とりあえず基礎体力として鍛えられたこの体術、殴る蹴ると言ったシンプルな暴行技はガネーシャ……じゃなくてリアから叩き込まれたから問題ない。
「……よなッ!」
考えながら僕は近づいてくる騎士型をまた蹴り飛ばした。
さらに蹴り飛ばした騎士を踏み台にして高く飛び、近くにいたもう一体の騎士型を蹴り落とした。
「うらぁっ!」
『―――ガ、ガ…………』
よし……やはり身体は面白いくらい軽いな。
ちょうどいいしそろそろ、修行の成果を発揮するとするか……な。
「数が多過ぎるからな……うん。ちょうどいいや」
僕がリアに教わった力は、『時空』の力だ。
『時空』……これは“時間”と“空間”を操るスキルの名称で、もともと僕にはそのスキルを習得できる素質があったらしく、いとも簡単に習得する事が出来た。
このスキルで出来ることは大きく分けて二つ。
一つは“時間”を操ること。
現在この世界で、僕が知っている中でこういう事が出来るのは、ベルゼリオだけなのだが、アイツはスキル『時間停止』によって、アイツの任意下で対象の時間を止める事が出来る力だ。代わりにとてつもない消耗があると聞いている。
対して僕が出来るのは、“時間”そのものを操ること。
どういうことかと言うと、まずベルゼリオが出来るのは「時間」を「停止」させることだけ。
しかし僕の力では、「時間」を「停止」させる事も出来れば、「進め」たりする事も出来るし、逆に「戻し」たりする事も出来るのだ。
つまり、“時間”の“概念”そのものを操ることが可能になる訳だ。
時間操作系スキルの最上位に位置するこのスキル、ちなみにこれはガネーシャの“神将スキル”らしい。
僕の内に秘めていた素質を、リアが一気に昇華させて、神将スキル……とは威力や効力が桁違いだが、擬似的な神将スキルの習得までに至らせたそうだ。
まあ僕に素質があったのも事実だが、リアの力で習得出来たのも事実だから、さっきの僕の言葉は少しだけ訂正しないとだな。
さて話を戻そう。
二つ目だが、今度は“空間”を操ることだ。
これは、“時間”の方と全く同じで“空間”を操ることが出来るようになる。
具体的に言えば、対ガネーシャ戦で、ガネーシャが使ったような“透明化”……あれはやっぱり存在している次元がそもそも違ったらしく、透明化……と言うよりは“次元移動”と言ったような力だったらしい。
つまり、今自分が居る位置や、指定した位置の座標から、次元を移動させ、“そもそもその場に存在していない”事に出来るのだ。
自分を対象にこの力を使えば、僕はこの次元に存在しないが、居る座標は同じの為、戦闘中の相手も見ることが出来る。
さらには指定した位置に……例えば魔法を撃ち放ち、そこでこの力を使えばその魔法は“次元を移動”し、今いるこの次元に、指定したポイントから出現させる事が出来るのだ。
しかもこの力、応用する事ができ、リアから教えてもらった技の一つに、“次元斬”という物があるのだが、これは“次元移動”させた魔力の斬撃が、“次元移動”したまま同じ座標にいる対象を攻撃する事が出来る技だ。
まあここまで色々と強い効果を羅列して来たが、強い効果を持つ物には当然、弱い部分……デメリットも存在する。
まずこの力を使った直後は魔法や技を放つ事が出来なくなる。
と言っても一瞬の間だが、ラグが生じるのだ。
そのラグを埋める為に、“次元移動”した際は早めに次元を元に戻し、攻撃できるまでのラグを埋めるという訳だ。
他にも魔力のリソースが必要だったり、ベルゼリオ同様体力等の消耗が激しいらしいのだが、それは気合いでどうにかなるとリアは言っていた。
そして、長くなるが最後に。
この力、僕はさっき「擬似的」な物と言った。
つまりは、スキル名的には『擬似時空操作』
となる訳だ。
ただまあ、効果に変わりは無く、一部の効果が使えなったり、そもそも完全じゃなかったりと、言うなれば本来の力よりの“劣化版”と言うことになる。
さて、分かってもらえただろうか。
僕は二日間、この力を習得する為に頑張っていたのだ。
さあ、これからそんな僕の力を発揮する時だ。
「全力で行かせてもらうよ―――」
もちろん“呪術”の方も疎かにするつもりは無い。
というかむしろこっちをメインにしたいくらいだ。
『センメツ』
『センメツ』
『センメツ』
沢山の魔術師型や騎士型が、敵であると判断した僕の方へと襲いかかってくる。
騎士型はその手に持つ剣を。
魔術師型はその手に持つ杖から、炎や水、雷や風の魔法を撃ってきている。
「“呪盾”ッ!!」
僕はそれを魔力の盾で防いだ。
基礎的な魔力の強化により、“呪盾”も大きさが倍以上になっていたりする。
そして―――
「行くよ……ッ! “次元斬”ッ!!」
僕はさっき説明した、“次元斬”を撃ち放った。
広範囲に魔力による斬撃を射出し、それが“次元”を移動して対象の魔術師型がウヨウヨいる地点の座標へ向かって飛んでいく。
途中でそれは消え、次元を移動したが、その直後、眼前の魔術師型は次々と両断されていった。
『―――ガ』
『―――ィ?』
よし……完全に成功だッ!
これ……めちゃくちゃ強いんじゃないか??
「この調子で沢山撃って――――――」
そう、少しだけ僕が調子に乗った瞬間だった。
―――ドカシャァァァンッ!!
そんな轟音と共に、目の前には一体の巨大な機械兵が現れた。
おい……おいおい、嘘だろ??
アイツを相手しろ……ってのか!?
「マジかよ……流石にこのデカさは……!」
結構デカイ……城くらいはあるだろうか。
まあ、ヤバいな。
ハッキリ言ってヤバい。
それにそいつだけじゃなくて他にも普通の機械兵がまだウヨウヨ居るし……。
あーあー、こりゃ協力を要請しないとヤバイかもねぇ……。
「ま、やれるだけやってみますか」
そう、僕は少しだけ首を鳴らして、本気を出すことを決意したのだった。
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