case.15-B 修行の成果【Side:Michaela/Beelzelio】
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機械兵には量産型の騎士型と、その他戦士型や侍型、魔術師型、巨人型などさまざまな種類を用意してますが、量の多さから総じて《機械騎士》としています。
「えっと……この辺りでいいのかしら」
私は空を飛びながら、足元を見た。
するとそこでは、さっき見た機械騎士達が暴れていた。
「まあ、こっちでいいわよね」
一緒に出ていったベルゼリオが東側の奥側の方へと駆けていくのが見えたから、多分この城に近い手前側の地区で良いはず。
「さて……と」
そのまま地上に降り立った私は、一度周囲の状況を観察した。
(まだこっちの方は被害が少ないようね。)
ただまあ、人が襲われてるから早めに動いた方が良いのも事実なんだけど……
「―――ねっ!!」
『―――ガギ…………ィ……?』
背後から両断された機械騎士は、想像よりも脆く、スパッと斬れてしまった。
これならどれだけ数が居たとしても、私の敵では無いわね。
『―――テキセイハンノウ ヲ ケンチ』
『センメツ』
『ジッコウ』
『ターゲット……』
『ロックオン!!!』
って……機械騎士共がみんな私の事を見てるけど……まさか……ッ!
『センメツ……ッ!』
「っぶない!」
意外にも鋭い剣の一撃を、間一髪で避けた私だったが、すぐに追撃が来る。
『マッサツ!』
『センメツ!!』
「うるさい……わねッ! そんな簡単に殺される訳無いでしょう!?」
そう言いながら機械騎士を蹴り飛ばして、一度距離を取った。
そして目くらましの為に、魔法を撃ち放つ。
「消し飛びなさい。“雷天”ッ!!」
直後、空から雷の魔弾が降り注ぐ。
辺りは一瞬にして煙に包まれる。
と、その隙に私は一度態勢を整え、オーラを練り始めた。
神帝インドラとの修行で得た、神のオーラを。
「まあ……得たって言っても、もともと持ってたんだけどね!」
一瞬にしてオーラを練り上げ、準備は万全の状態に。
『テキ……ハイジョ』
『マッサツ』
『センメツ』
煙の中から、ボロボロの身体になった機械騎士共が現れるが、さらにその後ろから一体の機械騎士……?が現れた。
そいつは全くの傷を負っておらず、他の機械騎士とは見た目が違っていたのだ。
「何……? あいつは」
『全機 集合 陣形 作成』
『リョウカイ』
その見た目が違う……具体的には他の騎士より重厚な鎧を着た騎士がそう言うと、その指示どおりに他の大量の機械騎士共が列を組み始めた。
(司令塔……か。厄介ね。)
そういうやつがいるなら、先にそいつから叩くのがいいと思う。
……のだが、その騎士だけ、隊列の後ろの方に居てなかなか攻撃が仕掛けづらいのだ。
「さて……どうしたものかしらね」
こういう時、インドラなら「全部破壊すればいいのだ!」とか言いそうね……。
まあ、それも有りかしら。
折角教わった技を使う、いい機会だしね。
……うん。よし、面倒くさいから、全部壊しましょうか。結局そうする事になるんだしね。
「そうと決まれば……!」
私は光の剣を消した。
そしてその代わりに手に光を纏わせた。
インドラの戦い方は武器なんて使わない武闘派な戦い方だ。
だから教えられた時も、武器を使わせてくれなかった。
私が教わったのは当然、“神帝武流”だ。
その中でも特に使う、“爆”・“速”・“豪”の三種類を“まずは”教えてもらった。
敵がたくさんいるとき、もしくは遮蔽物がたくさんある時に使うのは―――
「―――これね」
『対象 殲滅 即 実行』
『センメツ!!』
『センメツ!!』
すると、ちょうど良く機会騎士共は襲いかかってきた。
もう少しだけ奴らとの距離を取った私は、深く腰を落とし、右手を握り締め、拳を作り、そこに光のオーラと神力のオーラを練り合わせて纏わせた。
さらにそこへ炎の力を混ぜ込み、ついでに“加護”の力も使うことに。
「喰らいなさい―――」
オーラが、魔力が最大限に溜まっていく。
そして、それが爆発狡寸前まで溜めきった後、私はすぐにそれを解き放った。
「―――“神帝武流・爆”ッ!!!」
さらに、溜まっていた炎の力……その“加護”も効果が発動する。
「ついでに喰らいなさい! “炎天神柱”ッ!!!」
前方、機械騎士たちの中心で広範囲な爆発が、そしてさらにその中心では一本の炎の柱が立ち上った。
当然、機械騎士共が私の技を喰らってまともに動けるはずが無く。
全機、ボッロボロになったり、溶けたり、崩れたりしていた。
そして気づけば、周りからは機械騎士が居なくなっていた。
「何よ。期待外れね」
そう言い捨てた後、私は急いで飛び上がった。
理由は二つ。
周囲の状況の安全確認と、そして―――
―――何よりも、愛する人の側に少しでも長い時間居たいから。
「さ、ちゃっちゃと終わらせて行くわよ……!」
■
『ギギギ……センメツ、センメツ』
『コロス、コワス!!』
「きゃぁぁぁぁぁ!」
阿鼻叫喚。
魑魅魍魎。
まさにそんな言葉がピッタリな状況になっている地区に、我は辿り着いた。
我が主から賜った剣と盾……神竜護剣ミルティアスと絶盾ベルゼを取り出し、構えた。
この街には、この国には、多大なる恩がある。
だから、何としても救ってみせるさ。
『グギギ……センメツ!』
機械騎士が、逃げ遅れた民を襲っている。
剣を振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろした。
「―――させるかッ!」
だが我がそれを許さない。
即座に駆け寄り、剣を剣で防いだ。
「……フンッ!!」
そしてその勢いを利用して、そのまま機械騎士を吹き飛ばす。
「大丈夫か? ここは危ない。早く逃げるといい!」
「……すいません! ありがとうございます!」
簡単に礼を言った青年は、そのまま騒ぎが少ない方へと走り去って行った。
「さて……」
ここは酷いようだな。
かなりの人が襲われている。
クソ……こうして考えている間にも……ッ!
『センメツ!』
「させんッ!」
またもや目の前で人が襲われていた。
我はそれを間一髪で救い出し、逃した。
しかし、負の連鎖は止まらない。
『全……部……壊すッ!』
一体の侍……のような機械兵がコチラへ向かって一直線に駆けてきた。
他の機械兵よりも知能の高そうな喋り方だったが、その分性能も高かったりするのだろうか。
まあ、強かろうが弱かろうが関係ない。
全て壊すだけだ。
『壊れろ……壊れろッ! “螺旋”ッ!』
「んな……ッ! 絶盾よ!」
侍型は、我との距離が詰まった瞬間に、一気に畳み掛けてきた。
我の周囲をグルグルと周り、その瞬間瞬間に我の鎧に傷をつけていく。
しかし当然ダメージは通っていなかった。
「雑魚が……ッ! 一撃で仕留めて―――」
我が攻撃の終わった侍型に反撃しようとした瞬間、
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
視界の奥に、機械騎士共に襲われている竜人が目に入った。
助けに行きたいが、距離が遠すぎる……!
なんて考えていると、さらに、
「こ、こっちへこないで!」
「おねえちゃんからはなれろ!」
後ろで幼い姉弟が襲われていた。
まだ武器を振り下ろす様子は無いが、もうすぐ殺されてしまうだろう。
もちろんこっちも助けに行きたい。
だが、そうしようとすると、今度は目の前の侍型が邪魔をしてくる。
『行かせるかッ! “剛斬”ッ!』
「厄介な……ッ!」
絶盾で侍型の強烈な一撃を防いだが、前後で襲われている竜人たちがそろそろ危険な状態になっていた。
クソ……ここらで修行の成果を見せる時か。
師匠から教えてもらった、《龍神》の極意。
竜人族の力の本懐。
我が、あまり使いこなすことの出来ないあの力を……。
今こそ、解き放つ!
修行によって完璧にコントロールすることの出来るようになったこの力を見せてやろうッ!
「まずは……ッ! ―――『時間停止』ッ!」
まずは魔力の消耗の激しいスキル、『時間停止』を使い襲っている機械騎士の時間を止めた。
「おい、今の内に逃げろッ!」
「あ、ありがとうございます!」
「おねえちゃん、にげよう!」
「う、うん!」
前後どちらとも、どんどんと遠くへ逃げていった。
よし、これで周りに人は居なくなったな。
あとは、残った機械兵共を殲滅するだけだ。
そちらの目的を、そのままそちらへ返してやろうじゃないか!
「行くぞ……ッ! ―――“竜化”ッ!!」
我がそう叫ぶと、少しずつ我の体は本来のものへと変わっていった。
耳、顔、腕、体、脚、尻尾……その全てが竜本来の物と変化した。
白龍王なんて呼ばれてた時代もあったなと、少し思い出にふけっていたが、すぐに思考を切り替え直す。
「クハハ……我が主と戦った時以来の変身か―――」
あの時は翼を斬られて、散々だったな……。
今思えば不覚だった。
だが、今度はそんなヘマしない。
圧倒的な力の差で殲滅してやろう!
「燃え尽きろ……ッ! グラァァァァァァッ!」
巨大な口から放たれた火炎は、機械兵共を焼き尽くしていく。
『ギギ……ギ』
『ヌッ……グァァァァァァァッ!』
一瞬にして機械兵共は灰と化した。
「何だ。まだ戦い足りないというのに……」
まあ、我が強すぎたのだろうな。
この区域はまだまだ敵の数が居そうだから、それを掃除してから我が主の元へと戻ることにしようか。
「さて……こちらはだいぶ片付いたぞ。向こうは……ルヴェルフェたちはどうだろうか―――」
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