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case.12 王国奪還作戦

お急ぎ便



「こりゃ……やっぱ酷い有様だな」


「ウム……なかなかの大量虐殺ではないか」


「それにやっぱり、匂いがキツイわね……」



 俺たちは走りながら会話していた。


 中央の道を、城に向かって一直線に駆けているのだが、その先々に騎士の死体がたくさん転がっていたのだ。



 もちろん傷口から流れ落ちた血の鉄の香りと、死んで腐り始めていた肉体の香りとが混ざって、余計その悪臭を増していた。



「チッ……こりゃマジで遅かったな……」


「だけど……そんな事言って悔やんでる時間も惜しいわよね?」


「そうだろうな。事実先程城の窓からはまだ戦闘が続行されているであろう形跡が見つかったしな」



 そうだ。


 ディラの言うとおり、まだ恐らく戦いは続いている。


 だったら早く向かわないと、最悪中の最悪の結末になってしまうかもしれない。



 それだけは絶対に回避しないと。



「よし……もっとスピードを上げ―――」



 俺がもっと早く行こうとしたその時だった。



「―――待て」



 前方に人影を見つけ、俺たちは立ち止まった。



「数は2人……」


「どっちも軽装ね」


「と、いう事は反乱軍の側か」



 向かってくる騎士たちを、2人の男たちは長い刀でバッサバッサと切り倒していく。


 やがて全部の騎士を倒し終わると、再度城を見て走りだそうとするが……



「―――おい、アマクサ」


「……ッ、ああ。また王国側は厄介な敵を雇ったもんだ……!」


「よし……やるぞ、行けるな?」


「……やるだけやってみるか……ッ!」



 そう背を向けたまま会話をした2人は、勢いよくこちらに振り返った。



「いざ尋常に―――って……」


「まさか……この気配は……!」



「「魔王!?!?」」



 そして俺を指差して、そう叫んだのだ。


 突然名前を呼ばれた俺は、ついこう返してしまう。



「―――え……? あ、はい。どうも……魔王です…………?」





「―――なるほど。そういう事情で……」


「結構噛み砕いて話したんだが……一応分かってもらえて良かった」


「だが……」



 年老いた方の戦士が、少し考え込むように言った。



「貴方達は、この話を聞いて我々の味方でもしてくれるのか?」


「あー……うん、そうだなぁ……」



 一応、俺たちがこの国に来た目的を話し、代わりに二人の戦士……“徹底抗戦軍レジスタンス”のアマクサとイクサから、反乱を起こすまでの流れを聞いた。


 そしてアマクサが、ベルゼリオの一番弟子というのも聞いた。



 貧窮に耐える事の出来なくなったレジスタンスの面々が、今日の夜明け前から襲撃を開始したらしいのだが、敵側……つまり王国騎士側の篭城によって勝負は均衡しているらしい。


 そして今の今まで続いていた戦いが、俺たちの介入によって流れを変えようとしていたのだった。



 そこまで考えると、ディラがこう言った。



「魔王よ」


「どうした?」


「我は、コイツらの仲間になる事をオススメするぞ」


「……一応聞くが、それはどうしてだ?」


「―――確か魔王は、自分の国があるんだったよな?」


「ああ。この世界の、中央に」


「それなら、今一番欲しいのは……“民”であろう?」


「……ッ」



 確かに、そうだ。


 住居を作ったはいいが、そこに住む人、店を運営する人、政治経済を回す人……何もかもが居ないのだ。



 建物を完成させて満足していたが、確かに言われてみれば今一番あの国に欲しいのは、“人”だ。



「そうすると、今この状況下で民が多く付いている戦力はどちらか分かるか?」


「―――反乱軍の側……か」


「そう。その通りだ。つまり、コイツらの手助けをして恩を売り、信頼を得て、そうしてそのまま人を貴様の国へ移住させればいいだろう? そうすれば両者とも得を得ることが出来るはずだ」



 なるほどな……確かに理にかなった案だ。


 俺たちに損な事が無い……それなら迷う必要はないな。



「―――分かった。それなら、俺たち魔王軍は、お前たち反乱軍に協力しよう」


「……本当かッ! ご助力感謝する……!」



 アマクサが深く頭を下げて礼を言う。


 そして、



「ふむ……それでは俺は、お前たち・・・・が信頼に値する人物か見極めさせてもらおう。ベルゼリオを下したというお前が、一体どれほどの実力者なのか、気になるしな」


「ああ、是非そうしてくれ」



 まあ、いきなり知らん人を信用しろって方が難しいもんな。


 当然の行動だろう。



「さて……それでは早速ですが、俺たちに協力してもらいます」


「ああ。なんでも言ってくれ」


「はい。それじゃあ―――」



 アマクサはニッコリと笑って、人差し指を立てたあと、こう、宣言したのだ。



「―――早速、国を滅ぼしましょう!」



「は……?」


「国を、滅ぼしましょう! 今からその具体的な作戦を話します」


「え、ちょ、ま―――」


「問答無用です。イクサ、早く準備をするぞ!」


「任せておけ。俺を誰だと思ってやがる」



 こうして、俺の意見を挟む余地すら無く、新たに魔王軍を仲間にした反乱軍の作戦は書き換えられていく。



 いきあたりばったりな計画だったらしいが、アマクサの発想力と、イクサの緻密な練り合わせによって、新たな作戦が完成した。



「―――本当に、これでいいのか?」


「うむ。我は構わんぞ、楽しそうだしな!」


「私も異論は無いわ」


「それじゃあ決定という事で……」


「早く行動を開始するぞッ!」


「「「「了解!」」」」



 あー……流れるように決まっちゃったけど……。


 まあ、良いか。



 結局目的は変わらないんだしな。



 さて……ここで一応決まった作戦だけ整理しておこう。



 まず初手に、ディラが元の姿……インドラに戻った状態で空から名乗りを上げる。


 全国民の視線や意識をインドラに集中させたあと、ミカエラが一人で城に乗り込み、国王の前に現れる。


 そして“裁き”と称し、配下の軍勢……すなわち“徹底抗戦軍レジスタンス”を持ち上げ、城を攻め落とす。


 結果、反乱軍の正義を、“徹底抗戦軍レジスタンス”の存在を知らない民たちにも知らしめ、国民の支持を得、それを指揮したアマクサやイクサに、今後の判断を委ねることにする。


 最後に、俺が二人に移住計画の事を伝え、そのまま二人を通じて国民の皆へと伝えてもらい、全員の同意を得て、そのままシュデンから魔王国へと移住をする……。


 そこで魔王国へ先導するのが、神ガネーシャだ。


 “群神”と称されるガネーシャは、文字通り“群”を操る事に関しては超がいくつあっても足りないくらいの一流のセンスを持っている。


 その神の力で、そのまま魔王国へとシュデンの国民を連れて行ってもらい、その間俺たちは、電子大国ドライガルへと戻り、対ハーデスの対策を開始する……。




 とまあ、今回の作戦はこんな感じだ。



 これを今から全て実行に移す。



 だがらこれらの全てが上手く行くとは当然思っていない。


 だから、失敗したらその都度その都度対応していこうとは思う。




 さて、ここ最近……波乱万丈過ぎる気もするが……また新たな戦いだ。



 魔王として、さらに成長出来るように、俺もこの戦いで頑張らないと……だな。




「アマクサ……行くぞ」


「ああ、イクサ。もう一度、光を取り戻そう」



「「王国奪還作戦、再始動だ―――」」

ブクマや高評価を我は欲す!!

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