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case.8 結末と始まり

冬休み中最後の更新……



「い……ま、なんて」


「何度でも言う。貴方が、大好き。私と、どうか私と付き合ってください」




 刹那、俺の頭はフリーズした。



 超角度からの変化球を受けて、俺の脳内は思考することをやめたのだ。



「な……にを……言って」


「だから、貴方が好き。好き好き大好き。私だけを見てほしいの!」



 やばい。


 ハッキリ言って、すごいかわいい。



 それに俺が憧れていたシチュエーションってのも相まって、余計可愛さが倍増している。



「今すぐ……答えを聞かせてほしいの……」


「い……ますぐ?」



 顔が熱い。


 溶けて消えてしまいそうなくらい。



 どうする……どうすればいいんだ。



 俺には、ルインが―――




 そう、俺が真っ先にルインの顔を思い浮かべた時、またもや事件が発生した。




「―――ひゅう、お熱いこって! これが若人の青春ってヤツか! フハハハハ!!!」




「「―――ッッ!!!!」」




 そういえば……そうだった……ッ!


 コイツの存在をすっかり忘れていた……!




「―――ディラ……! いつから起きてたんだ……!」


「そうさな、嬢ちゃんが好きですーって言った辺りからだな」


「いや……それ全部じゃないか」


「クハハ、まあ良いではないか! 我はお邪魔者であろう? ならすぐにでも我は出ていこうではないか! フハハハハハハ…………」



 高らかに笑いながらディラは家を出ていってしまった。



 すっかりアイツの存在を忘れていた俺たちの空気感は、一瞬にして変わってしまい、告白の返事をするというムードでは無くなった。



「あー……えっと……」


「―――フフ、これも運命なのかもね。いいわ、何処までも抗って、貴方の一番になれるように努力するわ!」


「ミカエラ……」


「さ、私たちも早く外へ出ましょう? ヤマトさんが待ってるわ」


「……ああ、そうだな」



 ミカエラは先に家を出ようとした。


 俺もそれに続こうとするが、突然ミカエラは立ち止まる。



「―――あ、そうだ」


「どうした?」


「一つだけ、忘れ物をしたわ」


「忘れ物? そんなの、この家にあるの―――」



 俺がそう言いながら、室内を見回そうとした、その瞬間だった。




―――チュッ。




「え……は?」


「ふふっ。これからもよろしくね、魔王様」



 ミカエラはそう言うとバタンと家を出ていった。


 俺はというと、またもや唇を奪われてしまい、放心していた。



 それからしばらく家の中にいたが、やがて我に返った俺は急いで修行に向かうべく、家を出た。



 走りながら俺は思う。



 彼女の純粋な好意を、俺は一体どう受け取れば良いのか。


 それからしばらく。


 俺は彼女の事が頭から離れなかった。







「遅いッ!!!」



 開口一番、俺は叱られてしまった。


 もちろん、ヤマトにだ。



 それもそのはずだろう。


 だって、一番遅れてきたのだし、なんならもうベルゼリオは特訓に向かったというくらいだし。



「まあいい……積もる話もあったのだろう?」


「い、一応」


「それなら致し方ない。だが、その分の埋め合わせはしてもらうぞ」


「分かったよ。何でもやるから、何でも言ってくれ」


「ほう? 何でも? 今御主は、何でもと言ったな」


「―――あ」



 言ってから俺は後悔した。


 そういうば“何でも”なんて単語、簡単に使っちゃいけないんだった―――



「フフ」


「え」


「フフフ……なら、御主には我の教える全ての剣技を習得してもらうまで修行を終えんぞッ!」


「全ての……剣技を…………!?」



 この時俺は人生の終了を悟った。


 何故なら、ヤマトの目に炎が宿っていたからだ。



「見たところ、この中では御主が一番レベルが高いようだしな。少なからず剣技を会得していると見える」


「え……? 分かるのか?」


「ああ。剣を扱った事のある者には、独特のオーラがあるからな」


「オーラ……」



 でも俺は、誰かに剣を習ったことなんて無いしな……。


 そういうのが見えるヤマトは、結構すごいのかもしれないな。


 それに、オーラとやらが見える俺も、な。



 ―――……すまん、それはちょっと言い過ぎたな。




「して、どうだ? 我の教える剣技全てを習得する覚悟はあるか?」


「……そうだなぁ」



 まあ、一度“何でも”なんて言っちゃったしな。


 今更「やりません」なんて言ったら、あとで俺が後悔しそうだし……。



 男に二言は無し、だな。



「―――分かった。俺に剣を教えてくれ。ハーデスを討つための力を、俺に与えてくれ……“師匠”」


「ホホ……良いではないか。いい目をしておるわ」



 ヤマトは俺たちに背を向けると、ログハウスの裏手を指差して言った。



「―――あっちじゃ。皆、あそこで修行をしておるぞ。着いてこい。案内しよう」


「ありがとうございます」



 一応剣の道を教えてくれる師匠という事で、口調を敬語にしてみた。


 こっちの方が態度的にも、雰囲気的にもピッタリだろう。



「あれ? 私は?」



 一人だけ何にも言われなかったミカエラが、私は、と不思議に待っている。


 が、すると今度はそこにディラがやって来た。



「フハハ、なら余り物のお前は我とだ。神の力をお前に与えてやろうッ!!」


「―――え」


「さあ行くぞッ!!! “神帝武流・ソク”ッ!!!」


「は……? ―――きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 ディラの超速が出る技で、ミカエラは引っ張られて飛んでいってしまった。


 一瞬にして姿が見えなくなったが、あれはあれで面白そうだから、と俺は気にせずヤマトの後を着いていったのだった。




 色々あったが、また心機一転、頑張ろうじゃないか!



 まずはヤマトから剣技を教わるところからだな。


 サタールもびっくりするくらいの剣技を習得して、ヤツを驚かせてやろうか……!


 いいな、何だか少しワクワクしてきたぞ……!





 ここから俺はまだまだ強くなってみせる。



 ようやく本来の目的が果たせそうなんだもんな。


 強くなりたい、っていう俺の目的が。




 やっと……やっとだ。

 やっと始まる!



 さあ、守る為の力を得るための、修行開始といこうか……ッ!

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