case.7 機械の正体と加速する恋心
また安直な恋を発生させてしまったよ……
場面戻ります。
「―――とまあ、そんな訳でここに来たらしいですね」
「ふむ……話の内容自体は、先程ベルゼリオやルヴェルフェ殿から聞いた内容と大差ないですな」
一軒のログハウスの中で、俺とミカエラ、そしてベルゼリオとヤマトというじいさんの四人で対談をしていた。
ちなみにディラは、横のソファーの上で寝ている。
「それで、俺に聞きたいことって?」
「ああ、その事ですか。それはですな―――」
何か意味深な様子で口を開いたヤマトのじいさん。
少し重い質問でも来るかと思って身構えてしまう。
そしてヤマトは言った。
「―――御主、もしかしなくても魔王だな?」
「え……? あ、ああ。一応魔王だが……」
「それなら―――」
何だ?
俺が魔王で有ることと何か関係がある話なのか……?
「それなら、もう一つ御主らに言っておかねばならない事がある」
「……?」
「《電子大国ドライガル》……その誕生の話はしたな?」
「あ、ああ。さっき聞いたが、《十二神将》のハーデスが建国、支配をしている国なんだろ?」
「その通りだ」
サラッと言ったが、やっぱりにわかには信じ難いな。
修行をする為に来たこの《龍の隠れ里》が、《十二神将》のハーデスによって滅ぼされ、代わりに《電子大国ドライガル》という超発展大国を築き上げたとは。
その話は、俺が話す前にベルゼリオとヤマトから聞いていた。
「だが……それがどうしたんだ?」
「ウム……御主はまだ、ドライガルに住む住民……あの機械兵共の事を見たことが無いのだよな?」
「ああ。話を聞いただけだ」
「今から我が話すのは、それについてだ」
「それ……?」
「―――あの国に住む、機械兵の真実……それについてを話そうと思う」
そう言うと、ヤマトは語り始めた。
「御主には酷だと思って黙っていたのだがな。魔王を前にしては、この話を隠し通すのも忍びない……そう思ったからこそ話させてもらう」
「……受け入れる覚悟は……ある」
今までどんな残酷な状況も乗り越えてきたんだ。
それに、俺自身も残酷な行いはした事がある。
だから、話を聞く覚悟なんて簡単に出来た。
「それじゃあ、話すぞ」
「ああ」
「結論から、単刀直入に言わせてもらう」
そう言ったヤマトは、少し俯き、だけど覚悟を決めたのか目を見開いてこちらを見つめ、やがて言ったのだ。
驚くべき、真実を。
「―――あの国に住むハーデスの配下である機械兵……いや、機械兵共は、魔族の肉体を依代として行動している」
「……ッ!」
「もう少し補足しよう。我らが住んでいた《龍の隠れ里》と同じような形で、《魔族の隠れ里》も存在していた。こちらの世界の魔族の住処だ」
「それが……一体どうしたと……?」
「―――そこも、我らと同じようにハーデスの手によって滅ぼされた。住民は全員、生け捕りにされてな」
「―――ッッッ……!」
なんてことだ。
どうして、また魔族が……!
「ハーデスは捕らえた魔族の肉体を依代として、自らの配下である冥府の住人、魂的存在である死神共を憑依させたのだ。もちろんその時点で依代である魔族は死ぬし、今ではあの様な機械兵に改造されてしまっているからな……原型すら留めていないよ」
「……ちなみに」
「……うん?」
「ちなみに、どれだけの魔族が殺されたんだ」
「具体的な数は分からぬ。だが……かなりの数の魔族があの里には住んでいたようだからな……。ドライガルのような大国が築き上げられるのも、つまりはそういう事なのだろう」
クソ……ッ!
また、俺は何にもできなかった……!
いつも俺が来る頃には全てが終わったあとじゃないか……。
何だよ……魔族が虐げられない世界を作る?
そんなの、このままじゃただの妄想で終わっちまうぞ……。
虚言になっちまうぞ……!
ダメだ。そんな事は許されない……!
あの日誓ったんだ。
ルインと、二人で。
この世界を魔族の虐げられない世界にするって。
だから俺は……!
「せめて……せめて仇だけはしっかりと取らないと……ッ!」
「主様……」
俺は魔王なんだ。
今からでも救える魔族の命は救ってみせる。
そしてそんな酷いことをした今回の事件の首謀者、神ハーデスをぶっ潰す。
「分かった」
「主……?」
俺がそう呟くと、心配したベルゼリオが顔を覗いてくるが、俺は「大丈夫だ」と言って言葉を続けた。
「情報を教えてくれてありがとう。これで心置きなく全力を尽くせる」
「という事は……」
「ああ。もちろん俺は、今回のヤマトの提案……ハーデスをぶっ潰すってのに賛成だ!」
「ほほ、感謝致す。それで早速なんだが―――」
ヤマトは白刀を鞘から引き抜きながら、
「―――早速修行を始めたいと思うのだが」
そう言った。
これに対する俺の答えはもちろん。
「ああ。時間も無いんだろ? それならさっさと始めよう」
「ようやく修行開始だな……! 腕がなるわ!」
「ほほー」と機嫌良さそうに家を出ていくヤマトに、ベルゼリオが続いた。
「我が主、私は先に師匠の下へ向かいます。主も、ミカエラを連れて早く外へ来てくださいね」
「ああ。分かったよ」
「それではお先に」
そう言うとベルゼリオも、師匠ヤマトの下へと走っていってしまった。
家には俺とミカエラが取り残される。
「それじゃあ、俺たちも行きます―――」
「―――嫌だ」
ギュッ……。
突然、ミカエラが腰に手を回して抱き着いてきた。
「か―――って……おまっ、何をして……!!」
「ダメ。離さない」
慌てて離れようとする俺だったが、それをミカエラが逃さない。
強く抱きつかれて、俺が無理矢理振りほどこうとすると一緒に倒れそうで、彼女に怪我なんかさせる訳にはいかないから、と、うまく抜け出すことが出来なかった。
「ど……どうしたんだいきなり!」
「……少しだけ……こうしてたいの」
「ど、どうして!?」
「……怖かったから」
その言葉を聞いた直後、俺は暴れるのをやめた。
ミカエラが、震えていたから。
「……さっきね、私少しだけ嘘をついたの」
「嘘……?」
「私、自信がついたかも、なんて言ったでしょ? でもね、あれ―――嘘なのよ」
「え……?」
だんだんミカエラの抱きつく力が強くなっていく。
「私……やっぱりまだ怖いのよ。ラグマリアとラージエリが、死んだんじゃないか……って」
「ミカエラ……」
「でも……貴方の言うとおり信じるしかなくて……もう、私……どうすればいいか、分からなくて……っ!」
言いながら涙が溢れていく。
よっぽど怖かったのだろう。
だから俺は安心させようとして、抱き締めてあげた。
「―――えっ?」
「大丈夫だ。怖くない。俺が着いているから。俺を、信じてくれ。ミカエラ」
子供をあやすように、ミカエラに囁いた。
のだが、後にこれが着火剤となっていたことを、俺は知るのだった。
何が起きたか。
それは、学生時代最も俺が憧れていたイベントであり、どんな人からでもされたら嬉しいイベント。
青春の象徴とも言える、ラブコメ最大の盛り上がりのイベント。
そう、それはつまり―――
「―――好きです。好き、好き。貴方が大好き。私だけを見て……私だけを守って……!」
「え……っ……?」
―――告白イベントの発生である。
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