表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/369

case.3 消えた里の行方

コミケ一日目ですね!

まあ僕は行きませんけど



「ホントにただの森だな……」




 こんな所に何かあるとは到底思えないが……





『―――何者だ。なぜ我の後をつける』





 刹那、首元に突きつけられる金属の香りが、僕の鼻を襲った。



「誰だ……?」



 尋常じゃない殺意と、全く感じることの出来なかった気配。


 僕たちは、もう随分と森の奥まで進んでいた。



『如何様か。それだけ答えるが良い』


「ぼ……くたちは」



 淡々と並べられた言葉の一音一音に、ハッキリとした殺意が乗せられている。


 本気で、僕たちを殺そうとしている。



 正直に答えないと、僕は確実に殺されるだろう。


 だが、かくいう僕にも、嘘をつく理由は無い。


 シンプルに今の目的を言えば―――



 そう考えた直後だった。




「―――師匠!!!」



「し……え?」




 ベルゼリオが、僕の背後で構えている人物に向かって、そう言ったのだ。



「ぬ……御主、まさかベルゼリオか……?」


「はっ。我はベルゼリオに御座います」


「ほほう……こりゃまた懐かしい顔だなぁ……」



 依然として僕の首元には剣が突きつけられているが、ベルゼリオと“師匠”と呼ばれた人物の会話は続いていく。



「あ、あの……流石にそろそろコレをどかして貰えると……」


「ならん」


「……え?」


「ならんと言ったのだ」



 何故だ…………何故……!?



「理由を……聞いてもいいですか」


「貴様からは邪気を感じる。貴様のような輩が、一体どうしてこんな森の深奥まで来ようか」


「あー……そういう」



 ってことは、理由をちゃんと説明した方が良さそうだな……。



「フン、厄介なジジイが師範様と来たわけだ」


「そうね。ちゃっちゃと説明なさい、ルヴェルフェ」



 なんて他人事のようにディラとリアが言ってくるもんだから、少しムカついたが、そこは何とか冷静になった。


 そして僕は、じいさんに事の顛末を話し始めたのだ。






「ほほ、そうかそうか。我を探しに来たとな。それは済まないことをしたな。この通り、キチンと詫びさせて貰おう」


「ああいや、別にいいですよ。それよりも、やっぱり貴方が……」


「ああそうだ。我こそが、《龍の隠れ里》に君臨した“龍神”、名をヤマトと申す者だ。宜しく頼むぞ」



 ヤマト……そう名乗ったじいさんは、自己紹介を丁寧にしたあと、



「ひとまず、落ち着いて話が出来る場所へと向かうとしよう。こっちじゃ、着いて参れ」



 そう言って、僕たちを森の、さらに奥の方へと導いていった。



 気づけば森を抜け出て、一つの大きな草原へと辿り着いた。


 そして丘の上には、一軒のログハウスが立っているのが見える。



「あそこじゃ」



 ヤマトはそのログハウスを指差しながら、再び歩を進めた。


 僕たちはそれに従って後を着いていく。



 その間特に何事も起きず、気づけばあっという間にログハウスへと到着していた。



「ささ、入れ入れ」


「お、お邪魔します」



 言われるがままログハウスの中へと入っていくと、本当に一人暮らしなんだろう、と実感出来るほどの空気が漂っていた。


 家具も全体的に古くさいモノで統一されていて、逆にそれが哀愁を感じさせていた。



「何も出せなくて済まないが、早速話をしようじゃないか」


「ああ、お構いなく」



 用意された木の椅子に、僕とベルゼリオは腰掛けた。


 そしてディラとリアだが……



「フム、この地はなかなかの魔力量だな」


「ええ、自然治癒力が向上してくれるから、助かるわね」


「怪我人の治療ですかな?」


「ああ。もしよければ、治療器具や薬品があれば助かるのだが」


「それでしたら……」



 と、ヤマトは戸棚から一つの木箱を取り出して、それをディラに渡した。



「そこに、里秘伝の霊薬や、傷薬が入っております故」


「済まない、ありがたく頂戴しよう」


「いえ。そちらの方々……特に男性の方には話をするべきだと、我の直感が告げている故、気にせず使ってくだされ」


「感謝する。それでは我らは二人の集中治療に入る。お前たち、邪魔をするなよ」



 と言い残して、バタンと出ていってしまった。


 部屋には僕とベルゼリオ、そしてヤマトが対峙する形で取り残された。



 閉じていた口を最初に開いたのは、ヤマトだった。



「して……如何様で我を探していたのだろうか」


「師匠。それは私から話させてください」


「ああ。聞かせてくれ」


「私は……私たちは強くなりたいのです。強くなりたい……そう思った時、真っ先に師匠の事が頭に浮かびました。そう思ったからこそ、私たちは《龍の隠れ里》へと向かって来たのですが……」


「着いた先は、意味不明なロボットがうじゃうじゃいる超大国……という訳だ。これは一体どうなっている?」



 僕は、ヤマトにそう聞いた。


 するとヤマトは、拳を強く、硬く握り締めた後、重々しく語り始めた。



「―――あれは、つい最近の事じゃった」



 そう言ったのを皮切りに、ヤマトは今まで里に起こった出来事を、淡々と並べていった。



「昔は、長閑な里じゃった。それこそ、ベルゼリオが居た頃は特にな。だが、ある日突然、“ハーデス”を名乗る死神が現れてな」


「ハーデス……だって!?」


「ヤツが、里を滅ぼし、代わりにあの様な国を築き上げた。国の名は、《電子大国ドライガル》。そして住民は、全て人の手によって生み出された無機質な機械人形共……。里は変わってしまったのだ」



 続けてヤマトは言う。



「里の生き残りは我、ただ一人じゃった。どうにかして復讐をしようと誓った我は、魔力が多いからとハーデスによって取り残されていたこの森の奥にある、秘境の中の秘境……《神秘の草原》にこのログハウスを建て、そこで一人、復讐の機会を虎視眈々と狙っていたんじゃ」


「一人で……ずっと……」


「そんな訳で、里の行方と、我がどうしてここに拠点を構えているかの説明をした。そして今の話を聞いてもらって分かったと思うが、我の目的と御主らの目的は、噛み合っている。故に我は提案しよう―――」



 ヤマトは勢いよく立ち上がり、そして手を伸ばして言った。



「我と、共に戦ってはくれないか? もちろん、御主らに稽古はつけよう。我に出来る事なら何でもする。だから……あのハーデスとかいうイカレた死神を殺すのに、協力してほしい!」


「あー……」



 なるほど、そう来たか。


 確かに、僕たちの目的は“修行”だ。


 だが、ハーデスを倒すのに協力するとなると……。




「―――分かりました、師匠ッ! なあルヴェルフェ、良いだろう!?」


「……」



 クソ……この考え無しが……。


 だがまあ……いくら考えたところで、結局答えは一緒だったろうがな。



 答えはもちろん……



「イエスだ。僕たちも喜んで協力させてもらおう」


「……有り難う。有り難う……ッ! この御恩、いつか必ず返させて貰おう……!」


「いやいや、そういうのは戦いが終わってから言うもんだろうに……」



 そんなこんなで、僕たちの今後の方針が確定したのだった。



 《十二神将》……その中でもかなりの力を誇る最強の神、ハーデスを倒す……。


 なかなかに骨が折れそうなミッションだが……



 それでも、僕たちは戦わないといけない。



「さぁて……一体どうなることやら―――」




 ―――何だか少しだけ楽しくなってきたぞ。

ブクマ…………!!!(懇願

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ