case.3 極華炎雷
タイトルかっこいいけど内容は無いよう
「で、デート……!?」
「う、うん!!!」
突然、俺はラグマリアからデートのお誘いをもらってしまった。
いくら暇な時間が出来たからといって、流石に大胆すぎる気もするが……。
「え……っと」
暫く、俺は言葉に詰まってしまった。
それは、純粋な嬉しさと、他の皆がやることやって働いてるのに、俺たちだけ遊んでていいのかという迷いからくる葛藤があったからだ。
しかし、断れば今後の俺たちの関係にヒビが入るのは間違いなく、さらにラグマリアの心に傷を負わせてしまうかもしれない。
それに、ラグマリアを見ると、顔を真っ赤に染め上げ、俯きながらモジモジしている。
つまりは相当な勇気を振り絞った訳だろう。
俺にはそれを無碍にすることは出来ないし、もちろん断わる理由も無いので……俺の答えは当然、
「―――ああ! 一緒に出掛けよう!」
そう、元気よく、ハッキリと返したのだった。
■
「ふふ、やった……! 白夜とデート……白夜とデート……!」
「そんなに嬉しかったのか……?」
「うん!!! 白夜の前でなら、素の私でいられるし、そもそも白夜とデートだなんて! もう今日は歴史に残る最高に一日になるよねっ!」
す、すごいグイグイくるな……。
だが、そんな所も非常にグッドで可愛いのだがな。
「そんなに期待させてるなら、俺もその期待に応えられるように努力しないとな」
「ううん! そんなに気を使わないで! 私は、普通に楽しむのが楽しみなの!」
「普通に……か。それもそうだな! 一緒に目一杯遊んでやろうぜ!」
「うんっ!」
さて、デートするのはいいのだが……一体何処へ向かえばいいのか。
俺はまだこの世界に来て日が浅い。
だから、この魔王城……もとい魔王領の事しか知らないぞ……?
「えっと……それで場所なんだけどね?」
「あー、やっぱその話は避けられないよな……。すまん、ラグマリア。俺……まだこの世界にどういう場所があるのか、とか全然知らなくて……」
と、俺は素直に謝った。
期待してもらったのに、とても申し訳ない。
「あ、全然大丈夫!! というか、もう行きたい場所は決まってるの!」
「ちなみに、そこは何処なんだ……?」
「―――《中央商帝国アルマス》。この世界で、一番平和な国だよ」
《中央商帝国アルマス》……?
初めて聞いたな……。
「アルマスって、最先端のスイーツとか、ファッションとか色々あるからさ、行きたいのよ!」
「スイーツにファッション……か」
「それにカッコイイ魔道書の店もあるのよ!」
カッコイイ魔道書……だと?
それはちょっと気になるな。
「まあ、俺はさっきも言ったけど行く場所の宛が無いから、ラグマリアの行きたい所に合わせるよ」
「ホントに!? ありがとっ、白夜!」
ギュッ。
俺の胸に飛び込んでくるラグマリア。
あ……やばいかも……これ。
「ら……ぐまり―――」
俺が、その勢いのまま、彼女を抱きしめようとした、その瞬間だった。
「―――おうおう、さっき別れたばっかりなのに、お熱いこって!」
突然、俺たちの元へサタンさんがやって来たのだ。
「さ、サタンさん!?」
「な、何しに来たのっ!?」
ガバッ!も勢いよく離れ、一定の距離を取ったあと、俺たちは警戒するようにサタンさんを見た。
するとサタンさんは笑いながら、
「ハハハ! スマンスマン、別に悪気があった訳じゃないんだ。少し話があってな」
「は、話……?」
「そう。少しお前たちに試してもらいたい事があったんだよ」
一体何だろう。
《七つの大罪》のリーダーであるサタンさんが俺たちに頼み事だなんて。
「まあ、別に大したことじゃ無いんだがな? ―――俺、“炎雷”って技を使えるようになりてェんだわ」
「えんらい……?」
「そうだ。炎と雷の合成魔法、しかもそれの初級レベルのヤツだ。―――恥ずかしい話だが、俺ァ炎属性以外の魔法が使えなくてな。それをさっきベルゼブブに馬鹿にされてよ……それで―――」
悔しくて、練習してたけど……って感じか?
なるほど、それならば。
「俺は、いいですよ? ただ、俺も雷は使えないので、ラグマリアと二人で……になると思いますが」
「えっ、私と!? やるやる! ……あ、やるわっ!」
「何、本当か!? それなら、やり方は教えるから、是非やってみてくれ!!」
「わ、分かりました!」
と、俺たちはデートに行く前に、サタンさんに捕まって、魔法の練習をする事になってしまった。
■
「―――とまあ、大して難しいことはねェんだが、二人でやるとなると、息の合わせ方が少しムズいかもしれねェなァ」
「なるほど……」
俺たち早速、サタンさんから“炎雷”と、そしてさらにその進化系である“極華炎雷”という魔法の使い方を教わった。
俺が炎を。
ラグマリアが雷を。
それぞれの得意属性の魔法を、上手く噛み合わせ、互いが反発し合わないよう息を合わせて撃たないといけない。
つまりこれは、二人でやる場合、互いの信頼が成功のカギとなるのだ。
両属性を使いこなせる場合は一人で出来るのだが、ラグマリアも炎属性が使えないとの事だったので、二人でやる事になった訳だ。
「んまあ、とりあえず試してみてくれ」
「……分かりました!」
さて、まあものは試しか。
俺は、ラグマリアの方を向いて、軽く頷いた。
「準備はいいか?」
「ええ、もちろん」
そう言いながら、俺は右手に炎を、ラグマリアは左手に雷の力を集めた。
「―――さァ! 撃ちなッ!」
俺たちの準備が出来たのを見て、サタンさんが砲撃命令を出す。
それに合わせて俺たちは、技を放つ。
「いくぞ、ラグマリア!」
「ええ、見せてやりましょう! 私たちの力をっ!」
俺たちは自然と手を繋ぎ、そして同時に炎と雷を撃ち出した。
俺たちが撃ち出したそれは、正面でぶつかり合い、爆発を起こすかと思われたが、意外にもそれは起こらず、上手いこと一つの球体となった。
球体の中では炎と雷が蠢いており、まるでスノードームのようになっていた。
「―――成功なのか……?」
「いいやまだだ、最後はそれを好きな方向に撃ち込むだけさ! ―――来な! 俺が受け止めてやらァ!」
ガバッと大きく両手を広げ、完全に攻撃を受け入れる態勢に入ったサタンさん。
俺は、そんなサタンさんに、球体を撃ち込んだ。
もちろん、魔法を放つ要領で魔力操作によって撃ち放った。
……物理的に撃ち込んだ訳では無いぞ。
「ウォォォォォォォォォォォォォォッ!」
“炎雷”が当たる前から叫んでいるサタンさんに、球体が直撃する。
ガラスのように割れて砕けたそれからは、溜め込まれていた“炎”と“雷”が一気に解き放たれ、攻撃対象を包み込んだ。
「ヌウゥゥゥゥオオォォォォォォォォッ!」
痛いのか楽しいのが分からないが、途中から叫び声の中に笑い声も聞こえてきていた。
暫くして“炎雷”は消えて、そこには上裸になったサタンさんが立っていた。
「フフ……フハハハハッ! すごい……すごいぞッ! これで初級合成魔法だと?! 笑止! 笑止であるぞ!」
「あの……今ので良かったんですか?」
「ああ! 期待以上だッ! お前たち、続けて“極華炎雷”の方も撃ってみろ!」
「え、あ、はい! 分かりました!」
という訳でまた俺はラグマリアの方を向き、軽く頷いた。
「よし、もう一度。さっきのより強力なやつだ!」
「ええ、任せなさい! 技を撃つついでに、せっかくだからカッコよく決め技みたいにしましょう!?」
「はぁ……?! ―――いいぜ!!」
二人ともノリノリだ。
サタンさんに褒められて、少し鼻が高くなっているせいだろう。
もう、とことんやれるとこまでやってやろうじゃないか!
「行きます、サタンさんッ!」
「ああ来いッ!」
魔法は口上によって強化されるんだったよな。
それなら、カッコよくキメるっていう注文にもピッタリじゃないか!
とりあえず勘でやってみよう―――
「―――大気を揺るがすは、我が憤怒たる鬼神の炎なり!」
「白夜……! ―――悉く敵を穿ち、天地を喰らう天神の加護を受けし神雷が、今鬼神の炎と一つになる時!」
「「―――我らの炎雷は、極大なる華を咲かせるだろうッ!」」
俺たちは両手で放つことのできる最大限の炎と雷を前方に向けて撃ち放った。
そしてそれは、“炎雷”の時と同じように、一つの球体を形成していく。
ここまで来れば先程と要領は一緒だ。
さあ、決めようか。
「―――“極華炎雷”」
球体は、俺の言葉と共にサタンさんに襲いかかる。
「―――クハハハハハハッ! ウォォォォォォォォォォォォォッ!」
笑いと叫びが入り混じった声を上げながら、サタンさんは俺たちの攻撃を受けた。
先程の比にならない位の大きな“炎雷”が、サタンさんを包み込む。
その魔力量は、今までの中で最高クラスとも言えるような物だった。
「ク……ハハハハハハハッ! オォ……ォオォォォォォォォッ!!!」
これもまた、暫くの間サタンさんを包んでいたが、やがて消えていった。
「ハァ……ハァ……」
そして、疲弊したサタンさんを見て、俺とラグマリアは、
「―――燃やし尽くしたぜ……!」
「―――じゃあね〜!」
と、まるでゲームのキャラクターみたいな決め台詞を言ったのだった。
そして、ラグマリアが言った通り、俺たちはその場から離れていく。
サタンさんは「助かったぜェ……」と言いながら手を振っていた。
まだ身体が燃えながらも、だけど。
「さ、二人だけの技も手に入れたことだし、そろそろ本題に戻りましょう!」
「デート、だよな!」
「ええ! それじゃ《中央商帝国アルマス》に向かって出発よ!」
「おー!!」
そして俺たちは、早速デートをするべく、《中央商帝国アルマス》に向かうのだった。
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