case.?-2 味方
章完結したので、日曜日に“まとめ”ページの更新をします
「おいおい……寝起きでこんな奴と戦えってのか……!?」
「そういう事になるね……!」
「いや……流石に二人で、十二神将を相手にするとか……無謀もいいところだぞ?」
と、いうか……絶対無理だろ……。
「フフ、安心してよ。流石に僕もそこまでアホじゃないからさ」
「……というと?」
「援軍が居るんだよ。一人だけ呪っといたから、直に来るはずだよ」
呪ったって……。
ま、まあそれでも、一人でも援軍が来るなら、希望はあるな。
『フン。貴様らは阿呆なのか? たったの三人で我に勝とうとは……ハッ、我もナメられた物だな』
「フン、こっちだってお前に勝つつもりなんてさらさら無いさ。撃退出来ればいいんだよ撃退を」
あ、そうなんだ。
まあ、冷静に考えてもそうなるよな。
この前ハヌマーンと戦った時も、かなりの戦力で戦ったもんな。
▶フハハ、懐かしいな。あれも遠い昔の事のように感じるぞ。
でも、お前の襲来だって結構最近の話なんだよなぁ……。
「さ、魔王様。その援軍が来るまでの間、僕たち二人で神帝の相手をするよ。いけるか?」
「まあ何とかしてみるさ」
「はは、頼もしいね。それじゃあ、始めようか、神帝様もこっちを睨んで見てるしね」
俺はそう言われて、インドラの方を見てみた。
すると確かにインドラは、鋭い眼光をこちらに向けて、神気を練り上げていた。
『さて……準備は出来ているか? 我は寛大だからな、準備は念入りにするといいぞ?』
「いいんだ? それじゃあ僕たちが準備出来たって言うまで何にもしないんだね?」
『フン、いいだろう。それくらいなら許してやるよ』
「ふふ、言ったからね? それじゃ―――」
そう言うと、ルヴェルフェは何か地面に細工を始めた。
「魔王様は知ってるかい?」
「……ん? 何をだ?」
「“付与”、って魔法の事を」
「ああ、それなら知っているぞ。俺も使えるしな。だが、それがどうしたんだ?」
「―――“付与”って、実は呪術の一種なんだ。だから、僕はこの魔法がすっごい得意でね?」
ルヴェルフェは、俺に話しながら地面に何かをしていた。
見たところ、魔法陣のような物を描いているように見えるが……。
「こうやって、“付与”の魔法陣にちょっとだけ細工を加えるとね……」
ルヴェルフェは地面描いていた物を描き終えて、そこへ“付与”の魔法を掛け始めた。
「―――有り得ないことが起きるようになるんだよ。本来、“付与”の魔法には出来ないような“付与”がね」
「……? 意味が分からないが」
「……ふぅ、これで“付与”の魔法は掛け終わったよ。意味はこれから分かるさ。だから、そろそろ始めようか?」
「ん……? あ、ああ。了解した」
俺はルヴェルフェにそう言われて、武器を取り出した。
“双滅鎌トワイライト”……久々のご登場だな。
『フン、よく分からんが……もういいんだな?』
「ああ、いいよ。来なよ」
『それでは遠慮なく行かせてもらうぞッ!』
そう叫んで、インドラがこちらへ向かって一直線に飛んできたが、さらにここで思わぬ乱入者が現れたのだ。
「―――その戦い、ちょっと待ってもらおうかしらッ!?」
そこに居たのは、天使だった。
天使……まさかな。
▶いや、あの気配は……想像とは少し違うようだぞ?
『誰だ貴様はッ!!! 我の邪魔をした罪、万死に値するぞッ!!!』
「申し訳ないけど、この戦いを簡単に見過ごすことなんて出来なかったわ」
「いや、お前誰だよ。まず名乗ってくれないかな?」
「あら、そうね……まだ名乗って無かったわね。申し訳ないわ」
ルヴェルフェに言われて、項垂れた天使。
彼女は、履いているスカートの裾を摘んで、礼儀良い挨拶をしたあと、こう言った。
「―――私は、ミカエラ。大天使ミカエル様の力、【謙譲】の力を受け継いだ《天帝八聖》が一人よ。よろしくね? 皆々様」
天帝八聖……だと?
それって確か、俺の命を狙っているという……ラグエルたち《七つの美徳》の子孫……だったよな?
▶そうだな。フハハ、また新たな敵の登場か?
いや、マジで勘弁してくれよ……。
「天帝八聖……か」
『貴様は、我の敵か? それとも、味方か?』
「そうね……」
ミカエラと名乗った女性は、宙で顎に手を当てて、悩んでいたが、すぐに答えを出した。
「―――私は、そっちの味方をするわ」
そう言って、指を差した方は。
「俺たちの……味方、だと?」
「はは、なんだ。願ったり叶ったりじゃないか」
▶まさか、だな。
……ああ。本当に。
だが、どうして……?
『フッ、敵になると言うのなら、貴様も纏めて全力で叩くのみだ』
「受けて立つわ」
ミカエラは、俺とルヴェルフェの前に降りてきた。
武器は、見たところ持っていないようだ。
「それにしても、どうしてお前は俺たちの味方をしてくれるんだ?」
「あー、それはね……女の勘って言ったら分かるかしら……?」
「女の勘……?」
「そう。今はとにかく、貴方たちの加勢をしたほうがいい気がするんだよね」
何だその理由。
それでもまあ、助けてくれるってんなら、ありがたい限りだ。
『さあ、仕切り直しだ。改めて始めようかッ!!』
「望むところよ!」
そう言って、ミカエラは翼を大きくはためかせた。
さらに、光の剣を両手に生み出して、戦闘態勢に入った。
それに合わせて、俺とルヴェルフェも戦闘態勢を取る。
『先制攻撃は頂いたッ! “神帝武流・速”ッ!』
刹那、インドラが動いた。
何とか、ギリギリ目で追えるレベルのスピードでの攻撃だ。
「―――“呪盾”ッ!!」
それを、ルヴェルフェが魔力の盾で防いだ。
「間一髪……か!」
『ほう、その盾……なかなかの強度だなッ!』
「お褒めに預かり、光栄だねッ!」
『だが……我の前ではどんな耐久力を誇る盾であろうと……ッ!』
インドラは、拳に力を込める。
すると、ルヴェルフェの前の盾は、音を立ててひび割れていく。
「クッ……!」
『所詮は塵と化すのみだッ!』
「―――そうはさせないわッ! “雷切”ッ!!」
しかし、インドラがルヴェルフェの盾を突き破る瞬間、ミカエラが光の剣で斬って入った。
そこでインドラに若干の隙が生まれるのを見て、俺も仕掛ける。
「ナイスだミカエラッ! “飛剣”ッ!!」
少し後ろへ避けた事で空いた隙間に、今度は俺が割って入り、そのままインドラへと斬りかかった。
▶ついでにコイツも喰らいやがれッ!
「―――……この力はッ!」
ハヌマーンも、俺の中にいるというのに、自分の意思で電撃を撃ち放った。
どういう原理かは分からないが、俺の胸の中心から一閃の雷光が放たれていて、これで実質4対1になる訳だ。
「チッ、小賢しいッ! “神帝武流・豪”ッ!」
と、今度はインドラが大きく飛び上がった。
「上……!?」
「魔王ッ! 全力で防御しろッ!!」
「ッ、分かった!!」
ルヴェルフェに言われて、俺は魔力障壁を展開し、さらに双鎌で防御の体制を取った。
ルヴェルフェも先程の“呪盾”を展開し、ミカエラも光の剣を盾に変形させて、防御の構えを取っている。
しかし……
『フハハハハハッ! その程度の装甲では、我には到底届かんぞッ!』
声は上からだ。
一体どこまで飛んだのかというくらい、高くから聞こえてくる。
しかし、逆に考えれば、それだけの高さから一気に攻撃してくるということだ。
つまり、威力が相当な物であることは確か。
だったら―――
「もっと他の……何かをしないと……か!?」
「いや、多分間に合わない」
「じゃあどうするのよ!」
「煩いな、ポッと出の天使の分際で!」
「何よッ! 本来なら私は、アンタたち魔王軍を殲滅してる筈なのよ!? それなのに、あの神様が居るっていうから、加勢してあげてるのにッ!」
「あー、はいはい。分かったよいちいち煩いなぁ……」
おいおい、喧嘩はやめてくれよ……。
これから強烈な一撃が来るってのに……!
「それにしても、『アイツ』遅いな……」
「アイツ……?」
「―――僕がここに来るように仕向けた援軍の事だよ」
援軍……って、あの呪ったとかいう……。
「そろそろ来てもいいと思うんだけど……ッ」
しかし、ルヴェルフェは空を見上げて言った。
「―――もう、間に合わないかな? それとも……」
『フハハハハッ! そうだ、そのまま我に敗北しろッ! この雑魚どもがァァァァァァッ!』
(クッ……頼む、耐えてくれ……)
空から、インドラが降ってくる。
両手を組んで、思いっきり地面に打ち付ける体制だ。
地割れか、地震は起こるだろう。
その衝撃で、俺たちの防御が崩れて……
「いや……まだそうと決まった訳じゃ……」
『朽ち果てろッ! チェストォォォォォォォォッ!』
インドラが着地する数秒前の瞬間だった。
―――ルヴェルフェが、笑ったのだ。
「―――どうやら、勝利の女神は僕たちの味方をしているようだ」
そして、ルヴェルフェがそう言った直後の事。
「―――“鬼龍流奥義・神竜咆哮”ッ!!!」
突如巻き起こった衝撃波が、着地寸前だったインドラを吹き飛ばした。
『何奴……ッ!』
そして振り返った時、そこに立っていたのは、俺の見知った人物だった。
その、彼の名は―――
「ベルゼリオッ!!!」
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