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【完結済み】転生魔王の世界支配〜目が覚めたら魔王になってたので、世界を支配することにしました。〜  作者: テトラ
eighth:堕天使ルシファーと機械の心(【傲慢】の真実)
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case.18 別れは突然に

――死




「ラグマリア……!? い、いや……有り得ない。彼女は確かに、俺の目の前で殺されて……ッ!」



 でも……俺はそう思い、もう一度目の前を見てみる。


 すると、そこに居たのは確かにあのラグマリアだ。



 何度目をこすっても、頬を引っ張っても、頭を叩いても目の前に居るのはラグマリアでしかない。



 何故?


 俺の頭の中はそれでいっぱいだった。




「えっと……ね。説明するとややこしくなりそうだから、とにかくあれを見て!」



 そう言って、ラグマリアは後ろを向いて指を指した。


 するとそこには、



「ラグエル……さん?」



 そう。

 現在バラキエルと戦っているはずの、ラグエルさんがこちらへ来ていたのだ。


 そして今は、ラージエリさんに向けて光を放っていた。



「あれは……何をして?」


「まあ、見てれば分かるわよ」


「はあ……」



 俺は言われるがまま、ラグエルさんを見ていた。


 するとその直後、有り得ないことが起きた。



 ラージエリさんの身体が浮き上がり、切り落とされた首が繋がっていくのだ。


 さらに光は強くなり、ラージエリさんが立つ体制になった時、それは止んだ。



 そしてその後……




 ―――ラージエリさんの目が、開いた。




「あれ……私は……何を……?」


「そ……そんなッ!」



 死人が……蘇った……!?



「まあつまりは、そういうことよ……」


「え、えぇ……」



 何でもありなのか、この世界は……!


 でも……でも、良かった……。



 本当に良かった……ッ!



「―――泣いてくれてるの?」


「え……?」



 気づけば俺は涙を零していた。


 それに気づくと、堤防が決壊したかのように、とめどなく涙が溢れてくる。


 俺はそれを何度も何度も腕で拭うが、それでも溢れて出てくる。



「うっ……うぅ……嬉しくて……」


「ちょ、何でアンタが泣いてるのよッ! わ、私だって……泣きたいくらい……嬉しい……んだか……らぁ……!」



 ラグマリアは、ポカポカと俺の胸を叩いてくる。


 そんなラグマリアを、俺は思いっきり抱きしめた。



「もう、二度とこの手を離すもんか―――」



「―――ふぇ……?」



 絶対に、絶対に離すもんか。


 この温もりを。


 この笑顔を。



 この人を、絶対に守る。


 今度は、死なせなんかしない。



「ラグエルさん! 本当に、本当にありがとうございますッ!」



 俺は、遠くにいるラグエルさんに感謝の言葉を伝える。


 するとラグエルさんは、何も言わずに親指を立てて、ニッコリと笑い、そして飛び去って行った。



「あ、あの……」


「ん……?」


「んっ……そ、その……ちょっと苦しい……わ」


「あ、あっ、ご、ごめん……なさい?」



 俺はラグマリアを強く強く抱きしめていた手を、緩めながら、それでも離すことは無かった。



「な、何で……敬語になるのよ……バカ」


「ご、ごめん」


「で、でも……その―――ありがと」



 そう言って、ラグマリアはニッコリと笑った。



 ―――ああ、これだ。



 この、太陽の下で咲き誇る花のように、明るくて、綺麗で、それでいて儚い……そんな笑顔が、目の前に咲いていた。


 俺は、そんなラグマリアの事が―――



「ラグマリア」


「は、はい」


「俺は、キミの事が―――」



 ゴクリ……。


 二人の唾を飲み込むタイミングが一致する。



 辺りの緊張感が増す。


 そして俺は、勢いに乗せて、ラグマリアへと告白しようとした。




「す―――」




「―――共に死の世界へ来てもらうぞッ……勇者よッ!!!!」



「―――滅びなさい……我が神器の恨みを晴らすわッ!!!!」




「「合技、“冥王と死神の狂乱宴舞ディム・ヘルクラーカ・デスティバル”ッ!!!!!」」




 ―――刹那、俺の身体は闇に飲まれた。




「び……白夜ッ!!!」


「アガァァァァァァァァァァァァァァァッ!」



 ―――不意を、突かれた……?!


 ダメだ、そんな事考えてる余裕が無い……それくらい……痛い……痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!




「クッ……ッククク……クアハハハハハハハッ! アーハッハッハッハッハッハッ! 面白い……実に面白いッ! 我が死んだと思ったか!? 油断したな、勇者よッ!」


「貴方が惚気けている間に、魔力を蓄えさせてもらったわ。ああ、くっさいラブコメ見せてもらったわ。実に不愉快、不愉快の極みね」



 ク……ソ……!


 も……う……いし…………き……が―――



「貴様は危険因子と判断する。元々殺すつもりは無かったが、流石にこの状況では殺さざるを得ないな」


「じゃあ、殺るわよ? いいわよね? 魂食べてもいいわよね????」


「ああ、いいぞ? 次はぬかるなよ」


「分かってるわよ、それじゃあ―――死になさい」



 闇の鎌が、振り下ろされる。


 俺は……死ぬのか……。



 でも、ラグエルさんが助けてくれるのかな……?


 それとも何かの奇跡が起きて、俺が生きてたりしないかな。



 あぁ、ダメだ。


 手足の指一本すら、動かない。



 声も、出ない。


 寒い、寒い、痛い、痛い。



 暗い……怖い……。



 誰か―――たすけて……。




 ―――ガキンッ!


 金属の打ち合う音が響く。



「今度は……私が助ける番。白夜の気持ちは、しっかりと伝わってきたよ……あの時、キミが私に触れてくれた時……ッ!」



 あぁ、あれ……ラグマリアにも伝わってたのか……。


 てか、その記憶があるのか―――



「そして、私の為に戦ってくれた……! だから今度は、私がキミの為に戦う番ッ!!!」


「チッ……くさい……くさい……臭い臭い臭い臭い臭いッ! 臭いんだよぉッ! さっきからくっせぇラブコメしやがってよォ!? いいからとっとと死ねよッ!!!」



 何度も、金属の打ち合う音が聞こえてくる。



「いいから、とっとと殺せよ・・・ッ!」


「誰をよ……ッ!」


「ヘッ。テメェには言ってねぇよバーカッ!」


「な、なら誰に……? ―――ッ、ま、まさか! 白夜!」



 ラグマリアは急いで振り返る。


 だが、既に時は遅かった。



 俺の目の前には、エレボスが大剣を構えて立っていたからだ。



「―――相分かった。ではな、勇者よ。貴様との戦い、なかなかに面白かったぞ」



 ―――グサッ。



 エレボスは黒い大剣を、静かに、俺の背中、心臓部へ向けて、確かに突き刺したのだった。




「嘘……嘘よッ! ―――白夜ッ!!!」







 有り得ない。


 有り得ない。



 何で……何でよッ!



「あはぁ……いいわぁ、いいわよ貴女。その苦痛に歪んだ顔……最高よぉ……!」


「ふざけ……ないで!」



 何で……白夜が……!


 やっとまた会えたのに……少しでも離れただけであんな不安だった心が、一瞬で満たされたのに……



 それが、一瞬で零れ落ちていった。



 いや……いやよ白夜……私から離れないでよ……




「この……死神が……ッ!」


「何よ、その目は」


「殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すッ!」


「あらやだ、こわぁ〜い。エレボス、この子天使なのに殺すとか言ってるわよぉ〜?」



 この……クソブタが……!


 あんまり調子にのるなよ……!



「フッ、言わせとけ。どうせさっき我らに負けた雑魚なのだから」


「……クッ」



 確かに、私はさっきコイツらに負けた……。


 その事実が、私の胸を締め付ける。



「あぁもう、ダルいわぁ……」


「諦めよ、アルカナ。どうせコイツも、あの勇者みたいになるのだから」



 あぁ、また死ぬのかしら……私。


 でも、彼と同じ世界に行けるなら、別にそれでも―――





「―――にぃは死んでません。にぃは、このあとすぐ、蘇ります」





 そんな考えをしていた時、その子は突然現れた。


 倒れた兄の前に立ち、そしてエレボスとアルカナに静かな敵意を向け、そう言い放った少女。



 ―――巫女、皇月夜。



 彼女は『未来予知』の出来る、この世界唯一の存在である。


 そんな彼女は、今、“兄は蘇る”と言ったのだ。




「だから、それまで貴女は諦めないでください。ラグマリアさん―――」

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