case.5-3 支配者フルーレティ
昨日は遅れてしまって申し訳ありませんでした……
以後気をつけます!
それではどうぞ〜!
「―――海の王たる私の力を喰らいなさい」
「ヘッ、なんだァッ!? まさかテメェ、俺に勝つつもりなのかァ!?」
「勿論よ。貴方もダーリンの駒になるといいわ」
「誰がクソ魔王の駒なんかになるかッ!」
そう言いながらフラウロスは何度目か分からない突進を繰り出す。
まるで闘牛のような突進だ。
フラウロスが闘牛なら、ムルは闘牛士だろうか。
ヒラリと和装を翻し、フラウロスの突進を躱した。
「チッ、やっぱり逃げるのだけはウメェみたいだなァ! いいぜ、まずはテメェからブチ殺してやるよッ!」
オーラが変わった。
先程までの魔力とは、異なる波動を感じる。
ガシンと拳同士を打ち付け、不敵な笑みを浮かべているフラウロス。
「いいわ……来なさい」
チャンスは一回だ。
同じ技を何度も喰らうほどフラウロスも馬鹿ではないだろう。
なら、その一回で決着をつけないといけない。
「行くぜェ……?」
フラウロスは鋭い眼光でこちらを睨みつける。
周囲にプレッシャーがかかる。
「―――“災厄たる破壊の一撃”ッ!!!」
フラウロスが技を放つ。
恐らく“破壊”の魔力が籠もっているであろう拳が、一瞬にして目の前に現れた。
しかしムルは動じない。
フラウロスが動くより早く、舞ったからだ。
「アハッ☆ この戦いは私の勝ちみたいね」
刹那、フラウロスは海に飲まれた。
「オゴゴゴッ……ガハッ! ナ……んダこりゃァッ!」
フィールドが一瞬にして海に変わったことにより、フラウロスは溺れた。
不意を突かれ、今のフラウロスは隙だらけだ。
もちろん、それをムルが叩かない訳も無く。
「―――水舞:肆ノ型『水龍』」
海中でムルは再び舞った。
ムルの扇から水が集まり、そしてそれは龍の形を形成していく。
そして大きな龍が出来上がり、それは咆哮と共にフラウロスへと襲いかかる。
「チッ……! こ……の程度……ッ―――」
「させません。水舞:弐ノ型『水手裏剣(みずしゅりけん』ッ!」
“魔力”を込めた拳で、何とか“水龍”を破壊しようとするが、それはムルが許さない。
瞬時にそれを察知し、対抗して技を放つ。
扇から水で出来た小さな手裏剣がいくつもフラウロスへと飛んでいく。
それはフラウロスの行動の妨害をした。
もちろん、それによってフラウロスの動きは止まり、直後そこへ“水龍”がやってくる。
『GRYUUUU!!!!!』
「チッ……クソ……ガァァァァァァァッ!!!」
直撃。
水中で身動きが取れないフラウロスは、水龍をまともに喰らった。
海中でしばらく、フラウロスは気絶してプカプカとしていたが、やがて水は突然消えてしまった。
「―――ハァ。やれやれ、ですね。これだから脳筋は……」
すると紳士風の悪魔、フルーレティがフラウロスがいた場所へやってきた。
「フラウロスはもう駄目です。使い物になりません。次は私が相手を致しましょう」
そう言いながらフルーレティは気絶したフラウロスを魔法で浮かせて、そのまま後方へポイッと投げ捨てた。
さらに、
「あ、ちなみにこの程度でもボクなら解除できちゃうからね」
と、背後から声が聞こえる。
メフィストフェレスだ。
先程もそうだが、魔法を消すのが得意なのだろうか。
気づけばいつの間にか、ムルの作った海のフィールドは消えていた。
ムルの舞は、限りなく魔法に近い術なので、そういう力があるとなれば、かなりの苦戦を強いられるだろう。
「それでは連戦になってしまい、申し訳ありませんが……少々手荒くいかせていただきますよッ!」
ムルは連戦で疲れているのにも関わらず、フルーレティは高速でこちらへ向かって飛行してきた。
「クッ……レディの扱い方がなってないわよ……ッ!」
そう悪態をつきながらも、ムルは回避行動を取る。
まずはフルーレティの戦い方を見極めなければ。
そう思いながら、ムルは一度攻撃を仕掛けてみることにした。
「雷舞:壱ノ型『落雷』ッ!!!」
扇の先から、一閃の雷光がほとばしる。
「無駄です。その程度の攻撃では、私には届きませんよ」
そう言ってフルーレティは人差し指を前に突き出した。
すると、ムルの放った雷光が突然消えてしまった。
「何を……したの?」
「それは、私のセリフですよ。海王、貴方がフラウロスを倒したあの技、あれは一体何なのですか?」
どうやら、ついさっきの攻撃が気になっていたらしく、ムルの言葉を皮切りに逆に聞き返してきた。
だから、ムルは答えた。
「じゃあまず私から。先程の技は……言ってもわからないと思うけど、“合技/海舞:陽ノ型『嵐』”という技を使ったわ」
「合技……カイブ……?」
「まあ、簡単に言ってしまえば、辺りを海にする技ね」
「ああなるほど。それは良い選択をしましたね」
突然、フルーレティは「ハハハ」と笑いながら拍手を始めた。
「な、なによ」
「いや。フラウロスとの戦い方をよく分かっていらっしゃるようで。確かにヤツは液体……つまり水に弱いのですよ」
「ヘェ……じゃあ予想通りね」
「その通りでございます」
「じゃあさっさとアンタも何をしたか教えなさいよ」
ムルは少し苛立ちを覚えながら、フルーレティに問う。
「分かりました。先程の力……私の魔力、“支配”の能力を使いました」
そう、フルーレティは言った。
“支配”の力、と。
その瞬間、ムルの中で何かが砕けた。
「―――それは、どういう力なのかしら」
ゆらゆらと揺れながら、そう問い詰めるムル。
言葉には自然と殺気が籠もっていた。
「そうですね。……まあ、貴方たちのよく知る人物と同じ力ということは言えますね。ええ、全くと言っていいほど同じ力ですので」
この時だ。
この時、ムルを縛り付けていた物は完全に壊れ去った。
「―――殺す」
そう、一言。
その瞬間、フルーレティは気がついた。
言ってはいけないことを言ってしまったのだと。
「貴方は、タダでは殺さないわ」
そして一瞬にしてムルはフルーレティとの距離を詰めた。
さらに器用なことに、その距離を詰めている間に舞を踊っていたのだ。
「―――氷舞:壱ノ型『氷牢』」
まずはフルーレティの周囲を氷の牢獄で囲んだ。
そして、それを対処されるより早く、ムルは再び舞った。
「氷舞:弐ノ型『凍結』」
何かをする際に必ず使う手足や、他にも口を『凍結』によって氷漬けにした。
「―――ン……ン」
そしてさらに、今までに使ってこなかった舞を繰り広げた。
「土舞:壱ノ型『生埋』」
土舞。
舞技の中で最も残酷な技の多い舞。
今使った『生埋』も、相手を落とし穴に埋める技だ。
生きたまま、地中深くに。
「まだよ。土舞:参ノ型『混凝土』」
さらに、穴の開いた落とし穴を、コンクリート……すなわち鋼鉄の土で埋めていく。
もう、充分すぎるくらいに攻撃をしたが、まだムルは止まらない。
「炎舞:壱ノ型『溶岩』ッ!!」
コンクリートと共にマグマも流し込んでいく。
落とし穴に、手足と口を封じられた状態で、フルーレティはコンクリートとマグマによって上から埋められていく。
文字通り、“生き埋め”だ。
「アハハ。貴方はこうなって当然だよ。だって貴方は、あの人と同じ“支配”の名を使っているのだか―――」
そう、蕩けた顔で言っていたムルに、背後からメフィストフェレスが話しかけた。
「アンタさ、馬鹿なのか?」
「……? 何がよ」
「―――この程度で、“支配者”が敗れるとでも?」
「ハ……? 何……をッ……!?」
そう、言った直後の事だった。
「―――フフフ。フフフフ。フハハハハハハハッ! ええ、ええ。面白かったですよ、貴方の攻撃。しかし、それも無駄な足掻き。私の前には敵わないのですよ」
ムルの目の前に居たのは、生き埋めにしたはずのフルーレティだった。
彼は、ムルを見ながら言う。
「正直に言わせていただきましょう。貴方は―――弱い」
その一言で、ムルは感じた。
フルーレティが、フラウロスほど単純な相手ではないと。
簡単に勝てる相手ではないと。
「いいわ……そこまで言うのなら、分からせてあげる。私の力をッ!!!!」
この章、思ったより長くなりそうです
というかバトルしかしてないので、この章が終わったら、しばらく日常パート平和パート入ろうと思います
ブクマや評価をぜひぜひお願いします!!




