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【完結済み】転生魔王の世界支配〜目が覚めたら魔王になってたので、世界を支配することにしました。〜  作者: テトラ
eighth:堕天使ルシファーと機械の心(【傲慢】の真実)
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case.2 それぞれの地にて

今日あたりに一覧表の更新と、序盤数話の改稿をしたいな〜、と




「ほう? 我に逆らうか、小さき神よ」


「ったり前よ! もう、アンタだけは絶対に許さないんだからねっ!」



 ムルは怒っていた。


 この世界の誰よりも、怒っていた。



 その理由は簡単だ。



 ―――魔王ダーリンが全然会いに来てくれない。



 海底で待っていれば、いつかは向こうからやって来るだろうと思っていたが、それが誤算だった。


 いつまで経っても彼はやって来ないし、海底でずっと一人ぼっちということもあり、もうとにかく誰かに構ってほしくて仕方なかったのだ。




「フッ、面白い。やれるものならやってみろ、雑魚が」



 ピキッ。


 この時、ムルの心の中の何かに、亀裂が入った。

 そして怒りは募っていく。



「アンタだけには……負けないっ!」



 そう、覚悟を示すように言い切ったムルは、懐から扇を二つ取り出した。


 そんな彼女を見て、ベルゼブブとラグエルも覚悟を決める。



「ハァ、仕方無い……か」


「そうみたいね。このまま彼女を見捨てるのも嫌だしね」



 二人は、そう言いながらムルの隣に降り立った。



「あ、貴方たち! 助けてくれるのっ!?」


「ああ。ルシファーと面識があるのは我々だしな」


「狙いも私たちだしね」



 まさかこんな事になるとは、そうベルゼブブは思った。 

 かつて魔界最強とまで呼ばれるほどの実力を有していたルシファーと、3対1とはいえ戦うことになるとは。


 彼のスキルは、『明宵の明星ライトオブダークネス』。

 太陽と月を……もっと言えば、明暗を入れ替えたり、その光度の濃度を操ることのできる能力だ。


 他にも、『強制堕天フォールンフォース』のスキルを持っている。

 これは、対象を文字通り強制的に堕天させ、自らの手中に収める能力を持っている。

 さらにこれは、スキルや技、属性などに使うとその効力を反転させることができる。



 基本的にルシファーの戦闘スタイルというのは、完璧主義であり、自らの手を汚すことは殆ど無いのだ。


 スキル『召喚サモン悪魔デーモン】』の能力で、無数の悪魔の軍勢を召喚し、数の力で相手を蹂躙する。

 そして、強敵が現れた時は自分が出撃して、一瞬で終わらせる。


 そんな戦い方をするのが、彼の特徴だ。



「さて、あれからお前は強くなったのか……楽しみだな。ベルゼブブよ」


「ヘッ、こんな老いぼれに戦うことを求めるんじゃない」


「老いぼれとは言うが、まだまだ見た目は若いではないか」


「世辞はいらん。さぁ、晩までに決着をつけるぞ」



 いや、もっと早く終わらせないといけない。

 ベルゼブブは言いながらそう思った。


 確かルシファルナは言っていたはずだ。

 『一時間程度』で帰ると。


 ルシファーの目的がルシファルナなら、その一時間以内にこの戦いは終わらせないといけないのだ。



「おい、海王ムル」


「何よ」


「一時間以内に終わらせたい。最初から本気で頼めるか」


「いいわよ、任せなさい。私今すっごい怒ってるから」


「……あらあら、魔王も罪作りな男ね」



 ラグエルはムルの怒る理由が分かって、呆れたようにそう零した。



「さあ、始めましょ? 力の差ってのを思い知らせてあげるわ」


「フッ、面白い。そのセリフが、我と貴様ら、どちらに適しているか思い知らせてやろう」



 ラグエルの挑発にルシファーが答える形で、戦いが始まろうとしていた。



 これは新たな聖戦である。



 何故ならこんな組み合わせカード、滅多に見られない特質な物なのだから。



■□■□■


《魔界にて/(ルシファルナ視点)》




「さてと……」



 魔界に到着しました。

 これからどうやってこの世界の人たちを移住させましょうか。




 ―――《魔界デストピア》には、現在約1万体の魔族が住んでいる。

 

 生まれたばかりの子供から、数百年生きる老人まで、様々な年齢層が存在している。


 そんなこの魔界で、私は以前、長を務めていました。



 まだ、この世界の人々が私のことを信じてくれているなら、私の呼びかけに応えてくれるなら。

 きっと、上手くいく筈。

 

 今は、皆が私のことを信じてくれていることを、祈るしかない。


 そう思いながら、私はとある場所を目指して歩き始めた。





「あっ、ルシファルナさんだ!」


「兄ちゃん、帰ってきてたのか!」


「またリーダーしてくれんのか!?」



 私が町を歩いていると、町の人々が私を見つけて声をかけてきた。


 私は軽く会釈をしながら、そのままこの世界の一番高い建物である、《デスタワー》に向かって歩いていた。



 デスタワーから、拡声魔法を使いながらこの世界の人々に呼びかける。


 それが行く目的だ。



 デスタワーへ行くには、旧魔王城を抜けなければならない。

 旧魔王城は、今は誰もいないはずだから、通り抜けることができるはずだ。



「この城に来るのも久々ですね……」



 なんて、私はその大きな城を下から見上げながら言った。


 さて、こんな感慨にふけっている場合ではない。

 約束の一時間というのは、早く過ぎてしまいそうだから、早く目的を果たさねば。



「ハァ……」


 何でこんな面倒くさい配置にしたのか。

 魔王城を抜けないと行くことのできない《監視塔デスタワー》など、まるで意味をなさないではないか。


 これを設計した人は何を考えているのだろうか。

 私なら、もっと上手くやれたのに。



 なんて、心の中で愚痴を零しながらも、一歩ずつ魔王城へ向かって進んでいた。




 ―――その時だった。




「ッ……!」



 ―――ドォォン……。


 前方に見える壁が、突然粉々に砕かれた。

 何だ、今のは……?


 私はすぐに後ろへ振り返った。

 気配がしたのが、私の背後だったからだ。



「フン」



 私は、ソイツと目が合った。

 その時、背筋が凍りつく感覚を覚えた。



 全てを見通しているような、暗い目。

 あり得ないほどの威圧感を放つ背丈。

 頬についた十字の傷跡。


 そして何よりも、その盛り上がった尋常じゃない筋肉量が、ソイツの強さを物語っていた。



「貴方は、一体……」



 私は、当然の疑問を言葉にした。


 その言葉に、男は答える。



「我か? 我は―――冥王エレボス。かつて冥界を支配していた王である」



 それは、私にとって、死の宣告に近いものであり、尚且つこの魔界にとっての、終焉を意味する言葉であった。



 私は知っていた。

 冥王エレボスが、どんな者なのかを。


 エレボスは、彼自身の言葉にあったように、かつて冥界を支配していた王である。

 のだが、それを、あのルシファー様によって一瞬で壊されてしまった。


 エレボスの地位も権力も、富や名声だって奪われた。

 冥界は壊され、今はもう存在しない。

 さらに、冥界に住んでいた死神たちまでもが蹂躙し尽くされ、冥界はルシファー様の襲来で、一瞬にして“無”となったのだ。


 エレボスは降伏した。

 ルシファー様の配下となる道を選んだのだ。


 それからルシファー様はしばらく姿を消してしまったので、エレボス共々行方が分からなかったのだが……。



 まさか、今ここで出会うことになるとは思ってもいなかった。



 今、エレボスが剥き出しにしている感情は、“怒り”。

 それは、膨張しきった筋肉や、溢れ出る“死”の魔力で分かる。


 すくんでしまいそうな殺意に、私は怯えてしまう。



 これはきっと、戦闘になる。


 しかし、私に対処することができるのだろうか。

 《魔帝八皇》最弱と呼ばれていた、この私に。



「フン、腰抜けが。脚が震えておるぞ」



 エレボスにそう言われて、私は気づいた。

 自分の脚がガクガクと震えていることに。



 ―――怖い。



 正直、どうして突然襲われたのか分からない。

 何故、ルシファー様と共に行動していたはずのエレボスが、一人で、しかもこの魔界に来たのかも。


 何もかも分からない状態で、突然襲われたのだ。

 怖くないわけがない。



 だが、やらなくちゃいけない。

 そう、魔王様に教えられたから。



 もっと自信を持て、と。

 そうも教えられた。



 私は《魔帝八皇》の一人。

 偽物とは言え、【傲慢ルシファー】の継承者なのだ。


 ……私なら、何とかできる……!



「魔界の民は……私が守る……ッ!」


「フッ、威勢だけは良いようだ。その勇気に免じて、せめて一撃で終わらせてやろう」



 私は弓を、エレボスは大剣を引き抜いた。



「いきなりですまないが、嫌とは言えあるじの命令なのでな。貴様を捕縛させてもらうぞ」



 その、言葉に。


 私は疑問を抱いた。


 しかし、その疑問をエレボスに聞き出す前に、彼は攻撃を仕掛けてきた。



「さァッ! 死ぬがよいッ!!!」



■□■□■


 《森ノ大国にて/(レヴィーナ視点)》




「さーてと、やる事やってとっとと帰りますかー」



 私は、《森ノ大国》へ再びやってきた。


 向かう目的地は、《弓手の村》。

 私の知り合いの子が暮らしている、のどかな村だ。


 あの村には、大体50人くらいが住んでいるだろうか。

 まあ、大した数では無いのだが、何故私がこうしてこの村へ向かうのか、というと。



 この村は、周辺の村々から度々襲われているのだ。

 今まで、どれだけ作物の盗難にあったか分からない、とその知り合いの子が嘆いていたのを覚えている。


 村長さんも、「困った困った」と言うばかりで行動しない無能だ。


 だから、この機会に皆を連れて行こうと、そう思った。



「みんな元気かしら〜」



 村の近くに転移したので、そのまま村へ向かってスキップで移動していた。


 

 もうまもなくで村へ着く。



 そんな矢先の出来事だった。



「……ウソ」



 火の手。

 黒煙。

 叫び声。



 ―――龍の咆哮。



 一瞬で感覚器に入ってきた情報を整理していく。


 村が……燃えている。



 私はその事実に、軽く絶望感を抱きながらも、こんな時こそ冷静にならなければならないことを思い出す。



 まずは、しっかり観察しないと。



 いや、それよりも先に住民の避難をしないといけないか。


 そう思った私は急いで村へと駆け出した。




「に……逃げろッ! 龍だッ! 龍が出たぞォォォォッ!」




 そんな声が響き、住民たちは慌てて散開してしまう。

 駄目だ、バラバラに動くと、その分危険が増してしまう……!


 ここはなんとか私が先導しないと。




「“癒やしの矢雨アローレイン・ヒーリング”」




 範囲回復技で、かつ水属性の技を放つ。

 だが、こんなもの焼け石に水だ。


 どうにかして皆の目を私にひかないと。



「皆ッ、聞いてッ!!! こっちよ! こっちへ逃げるのよッ!」



 私は、“拡声魔法”を使い、慌てふためく住民たちに指示を出した。


 彼らはその声に少し驚いたものの、すぐに私の顔を見て、落ち着きを取り戻していった。



「レヴィーナ……様だ! レヴィーナ様がお戻りになられたぞぉぉぉ!」


「よし、お前たちッ! 女子供を優先して、レヴィーナ様の方へ逃がすのだ!」



 よし……成功だ!

 やっぱりアタシは天才なのかも!♪



 徐々に人は集まってきた。

 皆、私に言いたいことがありそうだったが、私はそれを聞く前に火が燃え盛る村へと歩き始めた。



「レヴィーナ様……」


「ヤツは……ヤツは危険です……どうか、ご自愛下さい……!」



 何人かが我慢できずにそう言うが。


 私は少し怒っていた。



 それは何にか。


 答えはたった一つである。



 この村をこんな焼け野原にしたあの龍に、である。



「アンタだけは許さないわよ。ただじゃ死なせないわ」



『GRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』



 ハァ……龍にいい思い出は無いのだけれどね。


 これも何かの運命なのかしら……。



 不本意だけど、この村を焼かれた住民たちのためにも、ここは《魔帝八皇》の一人として、活躍するとしますか……!



「―――さあ、パーティーの始まりよ。愉しく踊りましょ?」



思ってます

ブクマや評価、拡散での応援ぜひぜひよろしくお願い致します!

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