case.9 強くてニューゲーム
毎日更新してます!
拡散たのむぅぅ
『魔王に“死”は訪れない。未来永劫な。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目を開けると、そこは森だった。
一体どれだけ眠っていたのだろう。
大丈夫、ちゃんと記憶はある。
さっきまでの俺のことはよく覚えている。
(確か、飛ばされるのは数時間前……だったよな?)
とりあえず、辺りを確認する俺。
まず、周りは木、木、木。
ということは、ルインと一緒に洞窟を出た後の話になるな。
(じゃあルインは何処に居るんだ?)
そう思い、ルインを探し始める。
ふと、足元を見ると、
「うーん……?」
「うおっ!」
地面でぐっすり眠るルインの姿があった。
「ルイン!」
「うにゅ……あるじはまぁ……?」
寝ぼけながらも、段々とルインの意識は戻ってくる。
「はっ! 主様!」
「大丈夫か?」
手を差し伸べ、ルインを起き上がらせる。
「ルイン、俺たちが今何をしているところか分かるか?」
「はい……? えっと……あっ、そうです! 私たちは今あの洞窟を出て少し歩いたところで、目的は情報収集だったかと!」
「ありがとう」
(洞窟を出た直後……と、いうことは)
―――木陰からあの獣人が出てくるあたりか。
(記憶を引き継いでる、ってのは強いよな……。こういうのには何か代償が付きものな気がするが……)
「主様? どうなされたのですか?」
「ああ、いや。何でもない。そろそろ行くとするか」
この先起こることは知っているから、全て先読みして行動しないと。
そして俺たちは歩き出す。
歩きながら俺はステータスを確認した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ルミナス】
性別:男
種族:半神
職業:魔王
スキル:『支配』
:『召喚・使役』
:『憤怒』
:『守護』
:『転生』
:『嘘』
技能:魔刃
:破滅の願い
持ち物:無し
称号:『魔を突き進む者』
支配……・ルイン:夢婬魔
……・――――――――
全ステータス:―――測定不能
所持SP:3000
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふむ、なるほど。
サファイアの名前が消えてるな。
それに能力の引き継ぎも出来てる。
「それにしても、さっきの主様のお言葉、とってもかっこよかったです!」
「さっきの、俺の言葉……?」
「はい! あの、俺は魔王になる! ってやつです!」
「あ、あー、そこか……」
ほんとに洞窟出てすぐのあたりだったんだな。
「?」
ルインが何やら不思議そうな顔して、覗き込んでいるので、軽く誤魔化した。
「ああ、何でもないぞ。安心しておけ、俺が救ってやるからな」
「はい!」
ふむ……そろそろだろうか。
「ま、魔族だ! 魔族が出たぞぉぉ! クソ、クソが! 死ね! 死ね! 魔族なんて死んじまえ!」
フッ……予想通り。
ここで何本も矢が飛んできて、ルインがそれを喰らってしまう。
あの時の俺は咄嗟に動くことは出来なかったが、今の俺はもう違う。
「『守護』」
静かに、スキルを発動した。
スキルはルインを守護防壁で包む。
「ひゃっ!? え、ええ!?」
「チッ! クソがァァ!」
突然襲われたことに驚くルインと、防がれたことに動揺し、突撃してきた獣人。
だが、俺は一切動揺せず動き出す。
「ルイン、落ち着け。俺が守るから安心して見てろ」
「はっ、ひゃい!」
獣人と相対するように駆け出す。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!」
「吹き飛べ。“魔刃”」
魔力による斬撃。
魔刃は獣人の腕を切り飛ばした。
「ウアァァァァァァ! 痛い痛いいだぃぃいい!」
痛がる獣人を横目に、俺はルインに問う。
「なぁルイン。何か攻撃系のスキルで使いやすいものはないか?」
「こ、攻撃家のスキルですか? えっと、それなら……『大魔道』とかですかね」
「『大魔道』?」
「はい、あらゆる魔法を無詠唱で唱えられるようになるスキルなのですが……」
「ふむ、採用だ。ありがとう、ルイン」
「いえいえ! ですが、採用……とは?」
「まあ見ていろ」
俺は空を見上げ、語りかける。
「なぁ、居るんだろ? “神サマ”。魔王からのお願いだ。スキルをくれや」
返事はない。
「はぁ……なら申し訳ないが、実力行使だ。俺の前に屈しろ。『支配』」
何処に居るかも分からない神に向けてスキル『支配』を使う。
だが……―――もちろん、何も反応はない。
(ふむ……やはりこういう事ではないか……。思い出せ……俺。今までどうしてスキルを手に入れられたんだ……?)
『憤怒』を手に入れた時は、この獣人に対する怒りが最高潮に達した時に。
『守護』を手に入れた時は、ルインを守りたいという思いが強くなった時に。
じゃあ『転生』は……?
確か、ルインが死んで……怒りだけじゃなくて悲しみとか、そういう色んな感情がごちゃまぜになってた時に……だったか。
そして俺は一つの可能性に辿り着いた。……というか、一つの共通点に気付いた。
(どれも、感情がピークの時に獲得出来てるのか)
つまり、“対象”に対する感情が強くなった時、スキルは自動的に獲得出来る、ってことか?
物は試しだ。
……とも思ったが、そういえば俺、“感情”がそもそも無いんだったな。
ってことは無理だな。
「チッ、まあいい。魔法が無くても貴様は殺せる」
「ヒイッ……! 何なんだよ、お前ら!」
「魔王。魔王ルミナスだ。死ぬ前に覚えておきな」
「しっ、しにたく」
「“魔刃”」
言い終わる前に技を放つ。
首をスパンと切断し、獣人を迷いなく殺す。
チッ……こんなことをしても何も感じねぇのかよ……。
「主様……」
「行くぞ」
不安そうな声でこちらを見るルイン。
だが、俺はそれに応えられず、無愛想になってしまった。
何故か、自分が、自分じゃないみたいな気がして、少し――なってしまった。
(俺は今……何を……?)
考えが纏まらない。
感情が無いから……なのか?
(クソ……一体何なんだよ……)
もういい。先のことを考えよう。
まずは魔法を覚えたい。
そしてその手がかり……というか心当たりはある。
それは……
反対側から歩いてくる3人のパーティー。
「あのー、何かお困りで……」
「待っていたぞ。“転生勇者”たちよ」
「えっ…、何で……!?」
まるで先読みをされて驚いているかのような顔をする“転生勇者”の橘勇斗。それとその仲間たち。
こいつらを使ってどうするか。
そう、こいつら“転生勇者”たちを『支配』して教えてもらう。それしかないだろう。
どうせ敵意を持っているのはわかっているのだ。
『支配』を使っても何も問題は無いだろう。
「問答無用だ。俺の傀儡となれ。『支配』」
そして抵抗する暇もなく、転生勇者のパーティは脱力し、目から光を失う。
俺はこのタイプの『支配』を“完全支配”と呼んでいた。
「おい、そこのお前。ミミ、だったか。俺に“魔法”を教えろ」
「はい……」
俺はその後、時間にして大体2時間くらい、魔法についての基本的なことを教えてもらった。
まず、空気中に存在している魔素を身体で魔力へと変換していて、それをコストに魔法を発動している、という原理らしい。
だから魔素が濃いところで魔法を使えば、自然と魔法の威力は上がるらしい。
この森は、別名「魔素の森」とも言われているくらい魔素がこい森だったので、俺が魔法を使うのは全く苦ではなかった。
それに……スキルも手に入れることが出来た。
俺は再び勇者たちに向き直り、そして言った。
「よし、お前らはもう用済みだ。……いや待てよ? お前ら、命令だ。向こうの洞窟に言って、雑魚共を殲滅してこい」
そう勇者たちに命令した。
まあ雑魚処理くらいならしてくれるだろう。
「「「はい……」」」
ゆっくりと洞窟に向かって歩いて行く勇者たち。
「主様、何だかすごい変わりましたね」
「ああ、俺にも色々あったんだ」
ここはあえて誤魔化した。
変にルインを心配させたくないから。
「さあ、俺たちも洞窟へ行こう。これからパーティの始まりだ」
「パーティ……? あ、主様! 待ってくださいいい!」
俺が洞窟へと向かい、それをルインが追ってきた。
さあサファイア。裏切ったお前にはそれ相応の“罰”を受けてもらうぞ。
▶スキル『魔道』を手に入れました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ルミナス】
性別:男
種族:半神
職業:魔王
スキル:『支配』
:『召喚・使役』
:『憤怒』
:『守護』
:『転生』
:『嘘』
:『魔道』
技能:魔刃
:破滅の願い
持ち物:無し
称号:『魔を突き進む者』
支配……・ルイン : 夢婬魔
……・――――――――
……・橘 勇斗 : 転生勇者
……・水瀬 美怜 : 転生勇者
……・滝 真奈美 : 転生勇者
全ステータス:―――測定不能
所持SP:3000
明日は2作同日更新!




