case.12 魔王会議2
祝50000pv突破!
ありがとうございます!!!
次回から新章です!
―――決まった。
絶対カッコよかった。
今のはまさに俺って感じがして良かっただろ!
▶それを自分で言ったらなァ……?
まあまあ、いいじゃないか。
このセリフを言うのも多分久々だし。
『―――嫌よ。誰がアンタの傀儡になるもんですか!』
「………………」
俺はそういうラグエルをジト目で見つめた。
『なっ、何よッ! 何で私をジト目で見てくるの?!』
「いや、だって……」
コイツ、超嬉しそうな顔してるんだもん。
こんなの、ベルゼブブに聞かなくてもわかるぞ。
あの表情は、「はい喜んで!」的なニュアンスを含んでいるだろ。
『フッ、その通りだ。魔王、お前もなかなか分かるようになってきたじゃないか』
だろう?
まあ、ラグエルがそれを望むなら……さっさと終わらせますかね。
「あーもう、良いか? ほんじゃ、『支配』っと」
▶っしゃ! 『支配』を発動するぜ!
俺は一瞬でラグエルに近づいて、そして軽く手をかざしてスキルを発動した。
そしてこれまた一瞬でラグエルの目からは光が消える。
支配完了だ―――
「ほいよ」
俺はパチンと指を鳴らして、普通に会話できる状態にレベルを落とした。
すると、ラグエルの目には光が戻り、ニヤリとしてこう言った。
『あーらら、魔王に支配されちゃったかー。もう私、何もできないかもー。ごめんなさいーみんなー』
すっげぇ棒読み。
こんなん誰でも演技だって気づくと思うけどな。
とはいえ、これで終わりかな?
『あー、なんだか私眠くなってきちゃったー』
そう言いながらラグエルは、訓練場の出口をちょいちょいと指差した。
あー、ひとまずこの場を離れようとしているのか。
オーケーオーケー。
俺は、その場に居た全員に移動するように指示を出した。
そのついでに、他の魔王軍のメンバーも呼んで、再び《魔王会議》を開くべく、移動先を城の会議室にして、俺たちは移動を開始した。
■
「今回の議題は至ってシンプルだ」
そう、俺は切り出した。
早すぎる再来、再びの魔王会議だ。
会議室に居た全員の視線が俺に集まった。
「議論すべき点は大きく二つ。《勇者と巫女》……すなわち皇兄妹の今後について」
俺は、両隣に座る皇兄妹を見ながら言った。
あ、ちなみに俺の両隣を取れなかったルインとアスモフィがすっげぇ怒気とか殺意の籠もった瞳で皇兄妹を見ているんだけど、とりあえず二人が怖がってるからやめてほしい限りだ。
「そして、今回の急襲。ラグエル、お前たち七つの美徳についてだ」
今度は俺が正面に座るラグエルの方を見て言った。
ラグエルは皆の視線が集まるのを感じたのか、一つ微笑んで見せた。
「それでは一つ目。皇兄妹の今後についてだ」
今後の道なんて、彼らに選ばせればいい。
そう思うかもしれないが、忘れてはいけない。
彼らがこの世界に来たのは僅か数週間前。そしてレベルもまだ低ければ、戦闘経験があるわけでもない。
さらにこの世界においてとても重要な役割となる役職、勇者と巫女をそれぞれが持っている。
ここまで好条件が揃えば、各国は黙っていないだろう。
もし俺がどこかの国の王であれば、これを手中に収めるに決まっている。
その存在が、この世界に蔓延る憎き魔族を滅ぼす鍵になるのだからな。
しかし実際はどうだろうか。
今ではこうして、「兄貴」だの「おにいちゃん」だの呼ばれて、《魔王》である俺がすごい親しい存在となってしまった。
それは、同郷の存在であるからというのが一番大きな理由だろう。
ちなみに俺がどうしたいか、だが。
このまま彼らを保護していたい。
他の国の奴らに渡してしまえばどうなるか、一目瞭然である。
どうせ戦争に、魔王軍殲滅戦に参加させられるに決まっている。
俺は、それが嫌だ。
「俺たちは―――」
兄の白夜は立ち上がりながら言った。
「俺たちは、ここに居たいです。貴方が、魔王ルミナスがここにいる限り、ずっと。貴方が戦い方を教えてくれました。貴方が居たから、俺たち兄妹は生きる術を手に入れられたんです。そんな貴方に敵対する可能性が、この国の外にはたくさんあるんですよね?」
「まあ、な」
「だったら、この国で、ずっとずっと貴方と一緒に居たいです。勇者がどうとかじゃありません。俺がそうしたいんです」
……っ。
「私も、私もおにいちゃんがずっと一緒に居ればいいなって思う。二人のおにいちゃんに囲まれて、私はもっと幸せになれるから! それに、アスモフィさんはとっても優しいおねえちゃんですし!」
「もう! 月夜ちゃんは〜! かわいいわね〜!」
―――自然と、涙が零れていた。
「主様……」
心配そうに俺の顔を覗き込むルイン。
そんなルインの顔を見て、心配させまいと涙を拭い去った。
「すまない。嬉しくてな。お前たちが、そうしたいなら、そうすればいい。ここでは誰も、強制はしないさ。な? お前たち」
俺は、会議室に居た全員にそう問う。
すると皆は「愚問だ」といった様子で頷いた。
「ありがとうございますっ! 皆さん!」
「わ、私からも! どうもありがとうございます!!」
とても、微笑ましい光景だ。
俺としても、望んでいた結末になって嬉しい限りだ。
さて、この空気で続けるのもあれだが、二つ目の議題へ行こうか。
「さて、ラグエル。今度はお前の番だ。全部話してくれ」
そう言うとラグエルは、「ええ」と言って語り始める。
「そうねぇ……まず何から話そうかしら」
「聞きたいのは二つだ。“七つの美徳”の出撃目的と、そのメンバー構成」
他にも何かあるなら聞きたいが、ひとまずはこの二つだろう。
今回ラグエルを仲間に引き入れたことで、他の美徳のメンバーが襲ってこないとも限らないからな。
「目的、ねぇ。それはさっき話したから特に言うことはないわよ?」
と、いうことはそれぞれのメンバーが冠する“徳”と、最も近い波動を持つ者の所へ現れ、仲間へと引き入れようとする……ってやつだな?
「それで、メンバーだけど……。面倒だから、後でちゃんと教えるわ」
……コイツ、マジで適当だな。
話すのがダルいのか、それとも疲れているから今は話したくないのか……。
どちらにせよ、これじゃあ話が進まない。
「そうね、分かったわ。それじゃあ、私の今後について、と《天帝八聖》について教えるとしましょうか」
???
前者は分かる。
だか後者はなんだ?《テンテイハチセイ》?
「待ってね、ちゃんと説明するからそんな難しそうな顔しないで」
そう言いながらラグエルは再び語り始める。
「まず、私の今後だけど。これは言うまでもないわ。貴方、魔王の中に住ませてもらうわよ?」
「は?」
「いや、は? じゃないわよ、貴方七つの大罪を内に取り込んでいるのでしょう? なら美徳も回収しといた方がいいわよ」
「その理由は?」
「―――貴方、元居た世界に帰るつもりはなくて?」
……!!!
元居た世界に、帰る……?
それって、日本に……?
「まあ、何にせよ。双神と戦うつもりなんでしょうから、先に言っておくわ。貴方はこれから、《魔帝八皇》《天帝八聖》《十二神将》《七つの大罪》《七つの美徳》のメンバー全員……つまり計42の力を貴方のもとへ集結させないとあの二人には勝てないわよ」
は?
今なんとおっしゃいましたか。
「双神……今は喧嘩状態だけれど……すぐに仲直りするでしょうね。そうなったら、貴方が為すことを全力で邪魔してくるはずよ。先のハヌマーン急襲の一件で、双神の、それも一番厄介な『創造』の力を持ったアダム神が貴方のことを敵視しているみたいだからね」
それほどまでに、強大な存在……。
そんな奴らの片割れが、俺と戦おうとしている?
いやいやいや、キツイって……。
さすがに、俺なんてスキルも何もなきゃ……何もできない雑魚……なんだから。
「ま、その《天帝八聖》なんだけどね。簡単に言えば、そこにいる《魔帝八皇》とほぼ一緒よ。彼女たちは美徳の子孫なの。私たちと同じ徳を受け継いでいるわ」
……俺は、軽く絶望していた。
ラグエルの言葉を聞き流しながら、これからどうしようと。
まさか、これから双神と戦うことになるとは……。
まあ、分かってはいた。
だからハヌマーン戦の時も、アダム神とやらに宣言してやったさ。
でも、さっきのラグエルの言葉……。
伝説級の奴らを、計42体集めるだと……?
俺一人の力じゃ、絶対に無理だ。
じゃあ仲間に頼ればいいのか?
それじゃあ、俺が強くなれない。
強く、ならなきゃ。
双神に皆が、殺られる。
それは、絶対に避けないと。
……努力するしかないのか、な。
「ま、そんな深く考えなくてもいい―――」
「―――会議はこれにて終了とする。各自自由にしててくれ」
俺は、考えるより、動いていた。
ラグエルの言葉を遮って、誰よりも早く部屋を出た。
俺一人で、何もかも守れるようになるには……。
相当な努力が必要だろう。
これから、《天帝八聖》《十二神将》《七つの美徳》と、連戦になるだろうし。
双神まで来るときた。
そうしたらきっと……俺は。
……すまない、皆。
―――俺は……。
■
―――その翌日、魔王が消息を絶った。
魔王が居なくなったルナ城は、騒然としていた。
ブクマや評価、何卒よろしくお願いします!




