case.7 罪と徳
記念すべき100話目です!(たぶん)
ガバガバ設定なの許してクレメンス〜
今度改稿しますから!
『ラグエル、だと……?』
そう言ったのは俺ではなく、ベルゼブブだった。
何か、知っているのか?
俺のその当然の疑問に、ベルゼブブは「ああ」と答える。
『―――七つの美徳……我らはそう呼んでいる存在だ。我らとは対極に位置していて、我らが“陰”、彼女らが“陽”の気を扱うことで広く知られている筈だ』
『全員が女天使で構成されていて、しかもソイツらが俺らを狙っている……つまりは殺そうとしているとくりゃァ……』
『―――ボクたちの、完全な敵だね』
ベルゼブブの言葉に続いて、サタンとアスモデウスも説明してくれた。
敵、か。
それなら分かりやすくて良いな。
俺は目の前で激しく輝く光を見ながら、“神剣・神滅”を取り出した。
『あら、だから敵対するつもりはないのだけれど。はぁ、血気盛んな坊やだこと』
そんな声が聞こえた時、目の前の光はさらにその勢いを増した。
『魔王……ヤツが来るぞ……ッ!』
ベルゼブブがそう焦った声を出した直後のことだ。
光の中から、人影が現れた。
背中から覗く6枚の白き羽。
頭の上で煌々と輝く金色の輪。
スラッと伸びた長い脚。
白き衣に全身を包まれたその女性は、金色の瞳でコチラを見て、そしてこう一言。
『―――貴方が……そう。それに、この前喚んだ子たちも居るなんてね』
この前喚んだ、だと……?
そんな言い方、まるでコイツや、その仲間が皇兄妹をこの世界へ召喚したみたいな……。
『私がラグエル。【忍耐】の徳を司る聖族の天使。自己紹介はコレで充分かしら、異世界の魔王様?』
やけに高圧的な態度で自己紹介を決めたラグエル。
七つの大罪が、それぞれ“罪”を背負っているのと一緒で、七つの美徳はそれぞれ“徳”を持っているのか。
それで、ラグエルは【忍耐】を司ると。
「一つ聞かせて欲しいことがある」
『何かしら、今なら何でも答えてあげるわ』
「それならお言葉に甘えよう。なぁ、ラグエルとやら。何故お前はココに来た?」
それも突然。
なんの前触れも無く、だ。
当然の疑問だろう。気にならない方がおかしい。
コイツの目的は一体何なんだ?
『―――私たち美徳に、出撃命令が下されたのよ』
「出撃命令……?」
『そうよ。“七つの大罪”を滅ぼす為に、ね。でも、目的はそれだけじゃないの』
まだ、他にもあるのか。
『私たち“美徳”は、それぞれその象徴となる“徳”を持っているの。私なら、さっきも名乗ったけど【忍耐】を司っているようにね。もちろん他のメンバーもそれぞれ司る“徳”があるわよ』
それは、まあ七つの大罪と一緒だな。
罪と徳、正反対の存在……か。
『それで、私が出撃した目的の二つ目だけど。その“徳”に一番近いモノを持っている人の所に現れて、その人を眷属として育てることなのよ』
徳に一番近いモノ……?
ラグエルは【忍耐】を……と、いうことは、まさか俺がその……?
『気づいたようね。そう、そうなのよ。私と一番近い波動の持ち主を探していたら、貴方に辿り着いたってワケ。貴方から、強い“忍耐力”を感じたのよ』
もしかして、俺が皇兄妹+αと戦っていた時の事か……?
確かに、あの時は耐えなきゃって思ってたけど……。
『まあつまりは、そういうことよ。大人しく私の下僕になりなさい』
目の前の天使は、宙に浮きながら脚を組み、人差し指を真下に指した。
いわゆる、「土下座しろ」だとか「おすわり」みたいなのを強要するような仕草だ。
だが、俺はそんな物に従わず、こう言い返してやった。
「嫌だね。俺だって上に立つ者なんだ。そんなヤツが、誰かに頭ペコペコ下げてたらダサいだろ? 部下に示しがつかないんだよ。だから俺は、“魔王”としてお前のその提案を受け入れないことを宣言する」
『貴方、正気? 七つの美徳の下僕になれるのよ? 光栄でしょう? さあ、早く言いなさいよ。「下僕にしてください主様〜」って』
「しつこい女だな。俺はならないと言ったんだ。これ以上は言わないぞ」
キッパリと断りを入れた。
だが、こういう展開の時……この後がどうなるかなんて、容易に想像できる。
どうせ、「それなら実力行使で〜」とかなんとか言うんだろ―――
『いいわ! それなら実力行使で貴方を下僕にするわッ!』
ほらねー。
どうせこうなると思ったよ。
さて……まーた戦闘か。
しかも今度は天使様ときた。
うーん……どうしよ―――
『―――我に、任せてくれないか?』
―――う……?
なんだ……? ベルゼブブ、今……なんて?
『だから、今回のことは我に任せてほしい……と言ったのだ』
いや、でも……どうやって?
『あるだろう? “大罪解放”……それで貴様の身体を我に使わせろ』
……ああ、そういえばそうか。
でも、勝算はあるのか?
『少し、アイツとは因縁があってな。どうしても、我が戦わないといけないイケない気がするんだ。頼む、やらせてくれ。我に、やらせてくれ』
……仕方ない、か。
良いだろう。お前に、託すぞ?
『チッ、しゃあねぇな。今回は爺さんに譲ってやるよ』
サタン、まあ仕方ないさ。
今回は我慢してくれ。
『ボクも戦いたかったけどなー』
アスモデウスまで……。
お前まで、そんな事を。
まあ、今度戦う機会を設けてやるから……。我慢してくれな。
『あら、驚きで声も出ないのかしら』
俺が俺の中の大罪たちと話している間、ラグエルの目には俺が驚いて声が出ないと思ったらしく、そのまま直球にそう聞いてきた。
「いいや? ちょうど準備が終わった所だ。存分に争おうじゃないか」
『ふふっ、いいわ。いいわその態度。私、貴方のこと好きになりそうだわ?』
その言葉を聞いて、俺の背は一瞬で凍りつく。
いや……コイツに好かれるのだけはなんか嫌な気がするんだが……。
『それじゃあ、始めましょうか』
「ああ、いいぜ」
ラグエルは、地面に降り立った。
そして一瞬で、光の剣と光の盾を生み出した
さて……それじゃあベルゼブブへとバトンタッチするか。
「少し、待ってな」
『……?』
俺は、ラグエルに少し待つように言って、“大罪解放”の準備を始めた。
俺の言葉に疑問を感じたのか、ラグエルは頭の上に「?」マークを浮かべているが、そんなの気にしない。
……さて、ベルゼブブ。
準備はいいか?
『ああ。勿論だ魔王。むしろ戦いたくてウズウズしてるくらいだ』
『ヘッ、老いぼれがァ……。まっ、今回は譲ってやるよ。仕方ねェなァ?』
『許せサタンよ。今回ばかりは致し方ないだろう?』
『まあ、あの女にはさんざん絞られてたからなァ、爺さん』
絞られ……て?って一体何があったんだ……?
「まあいい。ベルゼブブ、そろそろ行くぞ?」
『了解した』
……よし、始めるか。
今回は詠唱をちゃんとしよう。
少しでも解放していられる時間を延ばすために。
そう思い、俺たちは言葉を紡ぎ始める。
「―――罪を背負いし我の名はルミナス」
『―――罪を創りし我の名はベルゼブブ』
「我は喚ぼう。【暴食】の名を冠する汝を」
『我は応えよう。【支配】の王よ』
「さあ、【暴食】し尽くせ。【暴食】尽くせ」
『汝の望みは今受け入れられた。これより、“大罪”を執行する―――』
『「“大罪解放―――【暴食】”」』
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