60,生徒会
初登場、生徒会のメンバーです。
Side蜜柑
ふぅ……生徒会での見回りって言うのも疲れるなぁ。
それに、何で生徒会長の筈の私がこんなことしなければならないんだろう。
いくら発案したのが私だからって……みんなやる気無さ過ぎだよぅ。
「三矢谷君なら、愚痴を言いながらでもやってくれそうなんだけどな……」
私は、この学園内でも結構有名になっている、体育祭の借り物競走の時には共に競い合った三矢谷瞬一君のことを思い出しながら、そんなことを呟く。
……けど、今はそんなこと関係ない。
確かに見回りは必要なことだと言ったけど、いくらなんでもこの学園でそう何回も事件なんて起こるわけ……。
「……え?」
そう思っていた矢先。
空き教室であるはずの場所から、何人かの生徒が出てくるのが見えた。
慌てて私は身を隠す。
そして、そっとその様子をうかがうと、
「……あれは」
女の子が一人、何人かの男女に連れていかれているのが見える。
そして、別室に移動される……あそこは、視聴覚室?
「……とりあえず今は生徒会室に戻ろう。そして、緊急会議を開こう」
私は急いで生徒会室に戻り、このことを報告しに行くのだった。
「何ですって!?」
「まさか会長の言っていたことが役に立つなんて……」
「何? 私が言ったことがそんなに信用出来なかったの?」
「い、いえ。この学園は平和ですから、そんなことをわざわざする必要もないのではと思っていだだけでして……」
「……会長、今は会長が見てきたという事件のことについて報告して頂きたいのですが」
「あ、うん。そうだね」
メガネをかけた、生徒会副会長である……三馬光利君にそんなことを言われる。
そうだね……まずはあの事件のことについて報告をしないと。
「それじゃあ、さっき私が見てきたことを報告するね」
私はさっき見た光景をありのまま告げた。
すると、
「……最近頻発している通り魔事件と、何かしらの関わりがあるかもしれませんね」
「え?」
三馬君が、そんなことを呟いた。
なので、私は三馬君に尋ねる。
「どうしてそう思うの?」
「だって、変じゃないですか。普通、学校の中で人質がどうのなんてことします? するとしたら、すでに学校外に連れ去っちゃっているはずじゃないですか」
「ということはつまり……この学園内ですべてのことを解決しようとしている?」
学園内で事件を留めておくということは、つまりこの事件が学園内で頻発している通り魔事件の一環である可能性も高いということになる。
そうなってくると、さっき連れ去られた女子生徒は……何らかの取引に使う人質?
「……まずは人質を救出することが最優先だと思われます」
「そうだな……そうすると、久々の戦いか!?」
そう言って騒いでいるのは、一年の時から生徒会にいて、今は生徒会会計の職についている重沼将太君。
……性格は、根っからの熱血系で、大の戦闘好きだ。
「……そうなるかもしれないね」
本当は平和的解決に持ち込みたいんだけど、多分それも叶わないだろうから。
今回は戦闘になること間違いなしだろうなぁ……。
「それでは視聴覚室の方に……」
「うん。今ここには四人いるから……このメンバーで行くよ!」
これだけ人数がいるなら、一人頭二人を相手にする計算で間に合うだろう。
……うん、いけるいける!
「それじゃあみんな! 視聴覚室にいっくよ~!!」
「「オー!!」」
「……元気な人達ですね」
三馬君からの厳しいお言葉を貰いつつも、私達は視聴覚室へと向かった。




