42,理不尽なギミック
まずは目の前に置かれたこのバカみたいにでかい壁を破壊することから始まる。
「……いやいや、この壁、壊せるのか?」
目の前にそびえたつ壁は……軽く3mは突破している。
しかも、見た目防弾作用を含んでいるように見えなくもない。
……大丈夫か、これ。
「とにかく、まずはこの壁を壊すしかないよね」
「その通りなんだけどよ……ちょこっとこれは難しいんじゃねえの?」
最初のミッションにしては結構難しいものだと俺は思うんだけどなぁ。
とりあえずまずはライトニングをぶっ放してみる。
……ヒビ一つ入らない。
「やっぱりこの程度じゃ壊れないか……」
「これなら……どうだ!!」
大和は、何かの魔術を詠唱する。
すると、目の前に魔法陣が二つ程現れて、風の刃がそこから放出される。
それは壁を貫通すると、大和の前に立っていた壁は、そのまま姿を消していった。
「な、何ぃ!?」
「バカな……あの壁を一撃で!?」
隣では小野田が心底驚く様子が見受けられる。
……大和に出来たんだ、俺にだって出来るはずだ。
「雷の柱よ。我の前に立つ障害を蹴散らせ!」
壁の真下に魔法陣を造り、そしてそこから……一筋の雷を放出する。
瞬間、俺の目の前にあった壁も、そこで姿を消した。
「な、何だと!?」
「悪いな小野田。お先に失礼するぜ」
小野田にそう言葉を捨てた後で、俺は次のギミックへと向かう。
お次は穴ぼこだらけの床か……楽勝楽勝♪
「よっほっとぅ!」
軽々と、俺はステップを踏むかのような感じで穴ぼこだらけの床を突破して行く。
前では、大和がすでに次のギミックに向かっている様子が見受けられた。
……さすがは経験者、ギミックが去年とごっそり入れ替わっているのにも関わらず、気持ちで慣れていやがる。
……同じ色だけど、なんとなく大和には負けたくないな。
そんな心が芽生え始めていることに、この時俺は気付いたのだった。
そうこうしている内に、俺は次のギミックに到着した。
「次は段々と細くなる道か……さっきよりも楽だな」
このギミックは、さっきの穴ぼこ床よりも楽なギミックかもしれない。
なぜなら、これって単にまっすぐ歩けばそれで終わりじゃないか。
まぁ、下に転落した瞬間、全身水だらけで帰ってくることになるから、それだけは避けたいから真剣に通る必要もあるけどな。
「さて……うん?」
走っていて気付く。
この床……なんか滑りやすい。
つるつると、しかも確実に外側へ俺の身体を押し寄せようとする。
『言い忘れてましたが、段々細くなっていく床には、ある特別加工がしてありまして、奥にいけば行くほど、その身体を外へ押し寄せる効果が備わっているんです』
「そんな大事なことは早く言えよ!!」
こうなったら、意地でもこの床を突っ走らなければならない!
だが、最後の方なんかはむやみやたらに走っていたら、外側に落とされて水の中にボチャンになること間違いなし。
隣を見てみれば……何と大和はすでにそのギミックを終わらせているではないか。
……むむ、さすがは大和だ。
けど、これ……どうする?
「……頑張るしかない」
俺は慎重に、しかし確実に早く前に進むように心がけた。
だが、後もう少しというところで……。
ツルン。
「うわっ!」
足を、滑らせた。




