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余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました  作者: Karamimi


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第20話:後悔ばかりが押し寄せてくる~ロイド視点~

「セイラ、体調は大丈夫かい?馬車の中で、随分辛そうだったけれど」


「ええ…大丈夫ですわ。少し疲れてしまっただけです。ロイド様、今日は本当にありがとうございました」


 セイラがにっこりとほほ笑んだ。ただ、かなり苦しそうだ。馬車の中、急に息遣いが荒くなり、ぐったりしだしたセイラ。どうしていいか分からない僕に


「大丈夫です。いつもの事ですから、心配しないで下さい」


 そう笑顔を向けていたセイラ。相当苦しいはずなのに、僕を気遣ってくれる優しいセイラに、僕は泣きそうになった。こんなに苦しんでいるのに、僕は何も出来ない。代われるものなら代りたい。


 どうしてセイラが、こんな事に…


 セイラを思うと、涙が溢れそうになる。ダメだ、今泣いては。彼女の前で泣くだなんて。そう自分に言い聞かせた。


「それじゃあまた明日くるから」


 そう言い残し、公爵家を後にした。


 こんな風にほぼ丸1日一緒にいたのは、何年ぶりだろう。今日は楽しかったな。


 ただ、それと同時に僕は、どこまでもセイラの事を分かっていなかった事を嫌というほど思い知らされた。


 それと同時に、今までの自分の行動を恥じた。


 セイラとのお茶の時、ほとんど手を付けなかったり、僕がセイラのお誕生日にあげたプレゼントを喜んでくれなかった理由が、今ならわかる。


 苦手な苦いものや辛い物を毎回準備され、恐怖を感じている蛇やカエルのものをプレゼントされていたのだ。僕がセイラならきっと、嫌がらせと思うだろう。


 それなのにセイラは、顔を引きつらせながらも、毎回お礼を言ってくれていたのだ。彼女がどんな思いで今まで過ごしていたのか、考えただけで申し訳なさすぎる。


 逆に今日、セイラの好きなお菓子を持って行った時、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。それに花束も…


 僕はずっと、僕の事が好きではないからセイラは僕からのプレゼントや僕が準備したものを喜ばないと思っていた。でも実際は、全く違ったのだ。


「僕は今まで、セイラになんて酷い事をしていたのだろう。そりゃ嫌われても当然だよね。それなのにセイラは、文句ひとつ言わずに…」


 セイラの優しさに、涙が溢れだした。


 また泣いてしまった。僕はいつからこんなに泣き虫になったのだろう。


 ふと今日の事を思い出す。体がだるくてたまらない中、セイラは僕との思い出の森に足を運んでくれた。あの時と同じ昼食を準備し、あの時と同じ花冠を僕にプレゼントしてくれたのだ。


 僕の為に一生懸命花冠を作る姿は、あの時とちっとも変っていなかった。そして完成した時、嬉しそうに僕の頭に乗せてくれたのだ。


 その笑顔を見た瞬間、一気に涙が込み上げてきた。耐えられなくなった僕は、急いでその場を離れ、1人静かに泣いた。やっぱり僕は、セイラが大好きだ。あの頃と…いいや、あの頃以上にセイラの事を愛している。


 そんなセイラが、後3ヶ月しか生きられないだなんて…


 どうしてあんないい子が、死ななければいけないのだろう。どうして僕は、今までセイラを避けてきたのだろう。そもそも僕は、セイラを見ていたのだろうか?


 どうしようもないほど胸が苦しくて、セイラに何かしたくて、近くにあったお花をありったけ摘んで彼女にプレゼントした。


 お花を見たセイラは、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。その笑顔を見た瞬間、再び泣きそうになるのをぐっと堪えた。


 セイラはいつも、嬉しいときはこうやって喜んでくれていた。あの頃の僕たちは、こうやって笑い合えていた。それなのに僕は…


 帰りの馬車の中、苦しそうに僕にもたれかかるセイラ。よく考えたら数ヶ月前から、セイラはあまり食事を食べなくなっていた。教育係から、最近特にセイラの集中力が落ち、ぼっとする事が増えたと報告を受けていた。


 きっとセイラの病状は、彼女が気付かいない間にひっそりと進行していたのだろう。そもそも、セイラの母でもある公爵夫人は、症状が出始めてから1年生きたと聞いた。それなのにセイラは、余命3ヶ月と宣告されている。


 きっとずっと前から、症状は出ていたのだろう。誰にも打ち明ける事が出来ないまま、血を吐くまで気が付くことなく、セイラはずっと堪えていたのだろう。


 もし僕が、もっと早く病状に気が付いていたら、セイラはもしかしたら助かったかもしれない。僕はずっと、セイラを愛していたはずなのに…


 僕は今まで、一体何をしていたのだろうか…

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