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余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました  作者: Karamimi


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第19話:冥土の土産が出来ました

「本当に綺麗なお花ですね。それに暖かくてなんだか気持ちいい」


 ここは王都に比べると気温が高く、大分暖かいのだ。王都が暖かくなるころには、きっと私はもうこの世にいないだろう。だからこそ、こうやって暖かい場所に来られたことが、嬉しい。


 すっと近くにあったお花を手に取った。とてもいい香りがする。せっかくなので、あの頃と同じく、花冠を作る事にした。


「あの時も思ったけれど、セイラは花冠が上手だね」


「小さい頃、母が教えてくれたのです。最初はうまく出来なかったのですが、何度も何度も練習をして、出来るようになりました。私は不器用で、すぐには出来ないので」


 こうやって花冠を作っていると、お母様の事を思い出す。優しかったお母様、私の事を一番に考えてくれていた優しい人。お母様もお父様と出会わなければ、もっと長生きできたかもしれない。


 それでもきっと、お母様は後悔していないだろう。なぜそう思うかって?私が今、後悔していないから。ロイド様と出会い、彼を好きになった事、そして恋焦がれ病にかかってしまった事。


 15歳という短い生涯だけれど、それでも私はロイド様に会えてよかったし、このひとを好きになれてよかった。そして最後に、こんな素敵な思い出が出来たのだ。


 もう思い残すことはないと言っても、過言ではない。笑顔で最期の時を迎えられる様に、今日だけはロイド様を独り占めしたい。そんな思いで、花冠を作った。


「ロイド様、どうかこの花冠を受け取ってください」


 そっと彼の頭に乗せた。あの頃よりも大きくなったロイド様の頭。でも、あの頃と変わらず、花冠がよく似合う。


 私が花冠を乗せた瞬間、なぜか私に背を向けてしまったロイド様。一体どうしたのかしら?


「すまない、あっちに何かいる様だから、様子を見てくるよ」


 すっと立ち上がり、頭に花冠を乗せたまま、奥の方へと入って行ってしまったのだ。一体どうしたのかしら?花冠が、お気に召さなかったかしら?


 それでもそのまま頭に乗せてくれているロイド様を見たら、なんだか胸が熱くなった。


 ただ、急にまた胸が苦しくなってきたのだ。


「お嬢様、大丈夫ですか?体調が悪くなったのですね。すぐにお薬を」


「ありがとう、すぐに飲むわ」


 急いで薬を口にする。薬を飲んだことで、少し体が楽になった。それにしてもこのお花、本当にいい香りがする。せっかくだから、少しもらっていこう。そう思い、花を摘もうとした時だった。


「セイラ、急にいなくなってごめん。これ、花冠のお礼」


 ロイド様が戻って来たと思ったら、両手いっぱいに花を摘んできてくれたのだ。


「まあ、これを私にですか?嬉しいです、とってもいい香り。ロイド様、ありがとうございます」


 まさかロイド様から、こんな素敵なプレゼントを頂けるだなんて。嬉しくてたまらない。


「そろそろ馬車に戻ろうか。あまり長居すると、君の体にも良くないだろう」


「そうですね、分かりましたわ。ただ、この美しいお花畑をしっかり目に焼き付けておきたいのです。あと少しだけ、お花を眺めさせてください」


 きっともう二度とこの場所に来ることはない。だからこそ、もう一度この目に焼き付けておきたい、そうもったのだ。


 その時だった。


「お嬢様、足元に蛇が」


 えっ?蛇?


 足元を見ると、小さな蛇が私の方に近づいて来ていたのだ。


「きゃぁぁぁ!」


 ビックリしてそのまま近くにいたロイド様にしがみついた。恐怖から体中が震える。


「セイラ、どうしたのだい?君は蛇などの爬虫類が好きなのではなかったのかい?」


 私が爬虫類が好きですって?


「お嬢様は幼い頃、森で大きな蛇がカエルを捕食している姿を見てから、特に蛇とカエルが大の苦手なのです」


「それは本当かい?セイラは蛇とカエルが苦手なのかい?」


「…はい…申し訳ございません。取り乱してしまって…」


 すっとロイド様から離れた。いくら苦手だからって、さすがにはしたなかったわ。ふとロイド様を見ると、口を押えて固まっている。一体どうしたのかしら?


「お見苦しい姿をお見せして、申し訳ございません。さあ、馬車に戻りましょう」


 薬を飲んだお陰で、体が少し軽い。ゆっくりだが自分の足で馬車へと向かう。


「セイラ、大丈夫かい?」


「ええ、大丈夫ですわ。さっき薬を飲みましたので。ロイド様、今日は付き合って下さり、ありがとうございました。あの時の事を思い出し、幸せな気持ちになりました。いい冥途の土産が出来ましたわ」


 ロイド様のお陰で、楽しい時間が作れた。もう思い残すことはないと言っても過言ではない。


 それくらい今日は楽しかったのだ。こんな私に付き合ってくれるロイド様には、感謝しかない。


 そっとロイド様の手を握った。大きくて温かい手。今日だけは、この手を握っていたい。そんな気持ちで、馬車へと戻ったのだった。

次回、ロイド視点です。

よろしくお願いします。

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