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メイドな悪魔のロールプレイ〜強制ハードモードなメイドの奮闘記〜  作者: ガブ


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42/48

42話

お待たせいたしました

日間ランキングや週間ランキングに入ってたみたいで、通知が来てました

みなさまありがとうございます

42話



「つかまえた♡」

 

 イアはヒマリの肩をがっしりと掴み、即座にスキルを発動させようとした。

 だが──腐っても聖女、ヒマリは反射的に自らの肩を切り落とし、その一瞬の隙に距離を取った。

 

「……どういうことです」

 

 忌々しげに睨みつけながら、ヒマリは絞り出すように問う。

 

「七二回の死。その制約を、ただの悪魔ごときが超えられるはずがありません」

 

 実際、五百年前に討たれた《災厄の悪魔》も、七二回で滅んだ。

 にもかかわらず、この悪魔はいまだ健在──ならば何らかの仕掛けがある。ヒマリはそう確信する。

 

「ふふ」

「……なにがおかしいのです」

「いえ、勇者様が傍にいないと──あなた、感情を隠すのが下手だなと思いまして」

 

 くすくすと笑う悪魔に、ヒマリは強烈な違和感を覚えた。

 見た目も、声も、纏う気配も、つい先ほどと変わらぬはずなのに──直感が、異様なほどの警鐘を鳴らしている。

 濃密な死の気配。

 今のイアからは、それがはっきりと感じ取れた。

 

「くすくす……油断しがちなところも、五百年前からお変わりないようで」

「……貴女は、誰ですか」

 

 幸いにも、初撃以降イアが動く気配はない。

 ならば少しでも情報を引き出すべき──そう判断したヒマリは、問いを重ねる。

 

「おやおや。これはこれは物寂しい。(わたくし)たちはあんなにも深く求め合ったというのに」

「そんな記憶はありません。五百年前に戦ったのも、先程の貴女──」

 

 そこで、ヒマリの思考はふいに停止した。

 視線はまるで縫いとめられたかのように、イアの髪へと釘付けになる。

 第一の違和感。その正体に、ようやく気づいたのだ。

 

 ──この悪魔の髪は、たしか黒であったはず。

 

 だが今、そこに揺れているのは深い深いアルパインブルー。

 まるで本来の姿を隠していた仮初の色が剥がれ落ち、真の相貌が滲み出たかのように。

 碧は闇よりも濃く、なお鮮烈で──死と魔を象徴する色彩そのものだった。


 碧色の髪を持つ悪魔──その色を許される存在は、歴史上ただ一柱。

 凡百の悪魔ならば、せいぜい髪にわずかに碧が差す程度。全てをその色に染め上げられる者など、他にはいない。

 

「まさか……いや、そんな……」

 

 ヒマリの顔から血の気が引いていく。

 彼女は気づいてしまったのだ。思い出してはならない、忌まわしい記憶を。

 ──魂を汚され、尊厳を踏みにじられ、それでもなお勝利を与えられた、あの屈辱の出来事を。


「──おや。ようやく思い出しましたか」

 

 唇の端をゆるやかに吊り上げ、悪魔は恭しく一礼する。

 

「では改めて名乗りましょう。(わたくし)は《紺碧の主》イア。かつては《始原の青》とも呼ばれました」

 

 その声には、かすかな愉悦と、千年を越える自負が滲んでいる。

 

「──以後、お見知り置きを」


 その言葉を境に、世界そのものが軋みを上げて動き始める。

 長い沈黙を破るかのように、破滅の幕が切って落とされたのだ。


「──ウロボロスッ! 神獣のことは後回しです!! こちらを優先してください!!」

 

 イアによる隔離空間の解析に集中していたウロボロスは、その声に即座に反応した。

 先程までのやり取りは耳に届いていなかったのだろう。イアの姿を視界に収めた瞬間、その巨体から露骨な敵意が放たれる。


『貴様……! 五百年前、我らの存在を歪めたな? さもなくば、我が貴様を忘れるはずがない!』

「おや、気づきましたか。ですが、それも"彼"との契約ゆえのこと。──こんな私でも、契約は大事にする主義でして」


『戯言を──!!』

 

 たかが悪魔に、神である己の存在を歪められたこと。

 たとえ相手が始原の悪魔であろうと──ウロボロスにとって、それは決して許されぬ冒涜だった。

 

 そして、それはヒマリにとっても同じこと。

 五百年前に刻まれた屈辱を、いまこそ晴らさずにいられるものか。

 

 憤怒と殺意を共有するかのように、二つの存在が視線を交わす。

 次の瞬間、先程までの均衡が嘘のように、ヒマリとウロボロスが同時にイアへと襲いかかった。

悪魔の設定は転スラrespect


聖女様についてですが、加筆修正を順々にしていくか(結構展開変わるかも〜大筋は変わらないですが)、メイド悪魔みたいに再投稿するか迷ってます。


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― 新着の感想 ―
原初の青だー 残念っ子かな
更新感謝 こういう名乗りは厨二心をくすぐられる
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