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最終話 もう遅いよ

イザベル視点です

 エリカさんが新たなリュミエール辺境伯になって数年が経った。わたしたちは相変わらず幸せな毎日を過ごしている。


 辺境伯に任命されてからしばらくは「忙しすぎるよ…死ぬ…」とか「もう無理。仕事嫌だ」とか「本気で働きたくない…」といった弱音を吐きながら毎日のようにわたしに泣きついてきていたエリカさんは、一年もしないうちに忙しさに慣れたのか余裕をもって仕事をこなせるようになった。


 さすがエリカさん。有能。天才。女神。


 わたしはそんなエリカさんをパートナーとして支えつつ、前と同じようにグランフェルト山脈のパトロールや魔物の討伐を続けている。


 カサンドラがいなくなってからはメリッサの出番がほとんどなくなるくらい魔物の数が少なくなったけどね。


 エリカさんの強い意向で、わたしたちは一年前に結婚式をあげ、現在は正式な夫婦という間柄になっている。そしてわたしがネクロマンサーの力を持つことも公表された。


 わたしたちの関係にも、わたしがネクロマンサーであることにも文句は言わせない。文句を言う人間はリュミエール辺境伯家と、ブライトン伯爵家、そして史上最強クラスの魔力を持つネクロマンサーをセットで敵に回すことになると思えという強気の姿勢を、エリカさんはどんな時も絶対に崩さなかった。


 たとえば結婚後の最初の女王陛下への謁見の際にはわたしを王城に連れていって、「自分の妻」だと堂々と紹介していた。


 事前にそのことを相談されたわたしは尻込みしてしまって、何度か「やめとかない?」と言ってみたんだけど、エリカさんは自分の意思を曲げなかった。


 そんなエリカさんの姿を見る女王陛下は心底楽しそうな様子で、その後わたしたちの結婚を王家が認めた正式なものにすると宣言し、祝福までしてくださったんだけどね。


 エリカさんはいつだって自信に満ち溢れていて、どんな場面でも堂々としていた。そんなエリカさんの姿はあまりにも眩しくて、カッコよかった。わたしなんかがこんなにも素敵な人のパートナーで本当に良いのかなと度々思っちゃうくらい。


 本当に本当に幸せだよ、わたし…。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 対外的には強気で有能な若き有力貴族として完璧に振る舞っているエリカさんだったけど、夜はますますドMとして磨きがかかっていた。


 そんなエリカさんのことが可愛すぎて、相変わらずわたしは「気がついたら手加減ができなくなっていた」という状態に陥ってしまうことが多い。


 実は昨日もちょっとやりすぎてしまって、今日のエリカさんは腰が抜けちゃって午前中はちゃんと歩くことができなかったんだよね…。


 「もう、やりすぎだよ…気持ちよかったけど…」と拗ねたような顔で不満を言ってくるエリカさんがまた最高に可愛かった。


 そんなエリカさんの姿を見ているだけで幸せな気分になる。


 …エリカさんがくれたこの幸せな日常を、今度こそ絶対に守らなきゃ。そのためならわたしはどんなことでもするし、それを脅かす相手は誰であろうと徹底的に排除する。


「ベルさん…?」


 いつの間にか目の前にやってきていたエリカさんが不思議そうな表情をしてわたしの顔を覗き込んでいた。


「なんか今、一瞬ちょっと怖い顔してたよ?どうしたの?」

「…なんでもないよ。仕事はもう終わったの?」

「うん♪がんばって終わらせてきたの!早くベルさんにかまってほしかったから」

「…またそんな可愛いこと言っちゃって。明日また歩けなくなっちゃうよ?」

「……もう、そんなこと言われると期待しちゃうじゃん」

「なら期待に応えないとね?ふふ♡」

「…あ、でもちょっと待って」

「うん?」

「本当にありがとう、ベルさん。…私、ベルさんと一緒にいられて毎日幸せだよ」

「…えっ、あ、ありがとう。わたしもだよ。…でも急にどうしたの?」

「いや、こういうのは思った時にちゃんと言っておかないとなって思って」

「そっか…でもなんかちょっと照れるね…」

「ふふ、照れた顔もすごく綺麗だよ。…あとね?」

「うん」


 ――ちゅ


「……大好き♡」


 あっ、またやられた。


 エリカさん、たまに不意打ちのキスをしてくるんだよね…。そんなことしたらこの後自分がどんな目に遭うのか分からないのかな。


「……」

「…あ、あれ?無反応?」

「…ごめん、わたし、今ので完全に火がついちゃった」

「…えっ?」

「おいで、エリカ。わたし、ちょっともう我慢できない」

「あっ、えっ、ちょっと待って、落ち着いて?私、まだお風呂に…んんっ!」


 こうなったらわたしはもう止まらない。戸惑うエリカさんの言葉を無視し、わたしは貪るような勢いでエリカさんに強引なキスをした。


「…そんなこと言ったってもう遅いよ。わたしもう、気持ちがあふれちゃって止まらない。ごめん、今日もちょっと手加減できないかも」

「えええ!?嬉しいけどちょっと待って…てか「もう遅い」とか言わないでぇ!?」


 いや、もう遅いって。人を狂わせるようなことをしてきたあなたが悪い。今夜もたっぷり可愛がってあげるからね。たぶん明日も日常生活に支障が出ると思うけど、許してね。


 …

 ……

 ……わたしも大好きだよ、エリカさん。


 心からあなたを愛しています。


 だからどうか、これからも末永くよろしくね。


                  End

本編完結しました!


読んでくださった皆様、そしてブクマと☆5をつけてくださった聖人・聖女・天使・神々の皆様、本当にありがとうございました。


まだの方はぜひよろしくお願いいたします(土下座)


こちらで本編は終わりですが、明日以降、サイドストーリーを2話ほど投稿する予定です。

よかったらサイドストーリーの方もよろしくお願い致します。


本当にありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 甘すぎる 話がおもしろいから、また見たいけど 章ごとのコメントも面白い
[良い点] 完結おめでとうございます! 読みやすくて一気に読んでしまいました(*^▽^*) また羽瀬川様の百合作品が読めて嬉しいです! 3回目はイザベルにとっても幸せな結末になって良かったです( …
[一言] お疲れ様でした! イチャイチャ甘々サイコーです!
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