不穏
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪、?歳)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪、16歳)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪、28歳)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪、17歳)
カレン・クジョウ(?、女、赤紫髪、23歳)
ロック・ロック(?、男、緑髪、21歳)
試練の街を出てから、ひと月が経った。
僕達は陰都に入都したばかりで、位置的には試練の街から南下してきたかたち。
途中、祭典の街と湿気の街を経由。
但し、滞在は数日にして、予定通りの日数で戻ってきた。
カレンは、失踪に関する情報提供をしてもらうため、レイス都市長の下に、一人訪れている。
その間僕達は、1日限りという名目で、店を開けた。
よろず屋『ロリ・オウジ』の復活である。
噂を聞いた元常連客が足を運んでくれたおかげで、財政難は切り抜けた。
祭典の街で消えたお金は戻ってきた。
10億PK持っていた状態で街に入っていたら、どれだけ失っていたか考えたくはない。
店の隣りにある古家も健在で、中は定期的に掃除がされている様子だった。
いつ帰ってきてもいいように取り図ってくれていたらしい。
ただ戻るのが早かったせいか、掃除用具などは置きっぱになっている。
「皆いいかしら?」
夜遅くに戻ってきたカレンは全員を集める。
「遅かったじゃねーかよ」
「悪いわね。不透明な情報が多すぎて精査に時間がかかったわ」
「何か分かりましたか?」
「結論からいえば、ドムさんはいないわ。そもそもの話、赤牛亭はなくなっているのよ」
「え!?」
陰都の手前に位置する赤牛亭がなくなっているとはどういうことなのだろうか。
ドムさんが経営破綻をするとは思えないし、あの一帯敷地はドムさんの持ち家だったはず。
従業員用の宿舎もあったのだ。
現地に赴いて、従業員から話を聞く必要がある。
「無理ね」
「なんでさ」
「誰もいないのよ」
「は!?」
「明日、自分達の眼で確認しましょ。私も聞いた話でしかないから」
「アイちゃん、だいじょうぶといいけど…」
移転をした、というならば理解できる。
しかし、実家である上に、都市の手前という好立地を手放すかというと疑問が残る。
カレンの言い方も歯切りが悪く、不安は拭えない。
仕事疲れもあって早めに寝ることにしたが、誰一人として寝付けなかった。




