リン VS 9位クレイ ②
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪、16歳)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪、28歳)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪、17歳)
カレン・クジョウ(?、女、赤紫髪、23歳)
【サブ登場人物】
キャロル・グレンズビー(試練の街長)
ザック(仙都、ギリコのボディガード)
3人組
コザ(元Riバース、97位)
シシオウ(獣人チーム)
ロック・ロック(Riバース、15位)
クロック・ロック(Riバース、15位)
ナツメ(Riバース、44位)
クレイ(Riバース、9位)
100撃を優に超える打撃戦の中で、リンは考えを巡らせていた。
どうすれば、殺さずに倒すことができるか。
手を抜いて倒すなんてことが本当にできるのだろうかと。
集中を欠くことはできない。
無力化するためのキーは改造をしている箇所。
腕さえ破壊することができれば、殺さずに勝利できる。
だが、そうやすやすとはいかない。
向こうも僕の意図を読んで、そうはさせないと手を掴ませない。
触れさせないように絶妙な距離感を保ってくる。
さすがは達人クラス。
「おわっ!」
「むっ…」
少し離れた遠くの空から、かなり大きい爆発音が聞こえた。
辺り一帯の空中にはまだ煙が残っている。
「あんな高い場所で爆発とはな。あれでは目印になってしまうだろう、愚かな奴だ。やはりあれはそろそろ処分だな」
「そんな簡単に決めていいことなの?」
「問題はない。組織とはそういうものだ。結果が全て。情はいらん」
組織に必要のない者は切り捨てるまで、とも言った彼の言葉は理解できない。
相容れない考え方だ。
この人とは、これ以上戦闘を続けたくない。
感情が抑えきれなくなってしまいそうだからだ。
早々に決着をつける必要がある。
「覚悟してよね」
「ほう、やっとか」
本気は出さない。
出す意味はない。
「迎えの時間まで、もう少し遊ばせてもらおう」
ジェットと対戦した時より少し高い10%まで熱量値を上げる。
「掴まって壊される前に、貴様には渾身の殴打を決めてやる」
身体は燃えるように熱くなる。
細胞の一つ一つが壊れは生まれを繰り返し、心拍数は上昇し、感覚は研ぎ澄まされ、踏み込む地面からは焦げた煙が立ちこめる。
数撃の攻防で敵の手首を掴むことに成功。
しかし熱は通らない。
「耐熱性だ…そしてくらえ!」
腕を掴んでいたせいで回避はできずに吹っ飛ばれる。
普通の蹴りではない。
「足首から上は生身だが、踵を含める足の部分は改造を施しててな。噴射による蹴りは痛いだろう?なぁ、リン」
敵の準備は万全だったということだ。
僕についての資料があるんだ。
熱に対処する術は持っていて当たり前だ。
だが、そうなると熱破壊はできない。
熱量を40%以上にすれば可能ではあるが、そのレベルには上げれない。
街を灰燼に帰すことはできない。
「仕方ない…熱量20%…」
熱は使わず、パワーとスピードのみで相手を翻弄して、改造部を破壊、そして使用者本人を気絶させる。
そうするしかない。
「悪いがもうじき終着だ」
「では切符を拝見します」
「無賃だ、運賃はツケとけ」
「言語道断」
「融通の利かない車掌だ。常識なんてものは無いに等しいと己で体現しているだろうに」
「非常識者は黙ってなよ」
「正直俺は落胆している、根源がこれほどの甘ちゃんとはな!理想論すぎて笑ってしまうぞ。本部には悪いが、根源は必要なしと訂正報告させてもらう!」
「ご勝手に!」
打撃戦、再び。
殴打に加え、蹴りも織り交ぜるクレイ。
リンはその全てを既で躱し、銃弾は熱ではらう。
戦いは長くは続かず、クレイの動きは鈍くなる。
彼の周りだけ熱が火柱となって円を描いているからだ。
徐々に体力を奪っていく。
一方、リンは不滅。
体力は衰えない。
攻撃は当たるようになり、ダメージは蓄積される。
単調な動作になったところで、一瞬だけ熱量をもう1段階上げたリンは、腕を熱破壊。
苦し紛れの蹴りは当たるわけもなく、リンの熱拳はクレイの腹にクリティカルヒット。
「ぐはおぇっ」
数メートル以上ぶっ飛ばされた彼は、倒壊した家屋から起き上がることはなかった。
「人の夢を笑うなよ、現実主義者」




