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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第五章 這い寄る闇

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リン VS 9位クレイ ②

【主要登場人物】

リン・フォワード(主人公、男、白髪)

フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪、16歳)

ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪、28歳)

オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪、17歳)

カレン・クジョウ(?、女、赤紫髪、23歳)



【サブ登場人物】

キャロル・グレンズビー(試練の街長)

ザック(仙都、ギリコのボディガード)

3人組

コザ(元Riバース、97位)

シシオウ(獣人チーム)

ロック・ロック(Riバース、15位)

クロック・ロック(Riバース、15位)

ナツメ(Riバース、44位)

クレイ(Riバース、9位)

100撃を優に超える打撃戦の中で、リンは考えを巡らせていた。

どうすれば、殺さずに倒すことができるか。

手を抜いて倒すなんてことが本当にできるのだろうかと。

集中を欠くことはできない。


無力化するためのキーは改造をしている箇所。

腕さえ破壊することができれば、殺さずに勝利できる。

だが、そうやすやすとはいかない。

向こうも僕の意図を読んで、そうはさせないと手を掴ませない。

触れさせないように絶妙な距離感を保ってくる。

さすがは達人クラス。


「おわっ!」

「むっ…」


少し離れた遠くの空から、かなり大きい爆発音が聞こえた。

辺り一帯の空中にはまだ煙が残っている。


「あんな高い場所で爆発とはな。あれでは目印になってしまうだろう、愚かな奴だ。やはりあれはそろそろ処分だな」

「そんな簡単に決めていいことなの?」

「問題はない。組織とはそういうものだ。結果が全て。情はいらん」


組織に必要のない者は切り捨てるまで、とも言った彼の言葉は理解できない。

相容れない考え方だ。

この人とは、これ以上戦闘を続けたくない。

感情が抑えきれなくなってしまいそうだからだ。

早々に決着をつける必要がある。


「覚悟してよね」

「ほう、やっとか」


本気は出さない。

出す意味はない。


()()の時間まで、もう少し遊ばせてもらおう」


ジェットと対戦した時より少し高い10%まで熱量(エネルギー)値を上げる。


「掴まって壊される前に、貴様には渾身の殴打を決めてやる」


身体は燃えるように熱くなる。

細胞の一つ一つが壊れは生まれを繰り返し、心拍数は上昇し、感覚は研ぎ澄まされ、踏み込む地面からは焦げた煙が立ちこめる。


数撃の攻防で敵の手首を掴むことに成功。

しかし熱は通らない。


「耐熱性だ…そしてくらえ!」


腕を掴んでいたせいで回避はできずに吹っ飛ばれる。

普通の蹴りではない。


「足首から上は生身だが、踵を含める足の部分は改造を施しててな。噴射による蹴りは痛いだろう?なぁ、リン」


敵の準備は万全だったということだ。

僕についての資料があるんだ。

熱に対処する術は持っていて当たり前だ。

だが、そうなると熱破壊はできない。

熱量(エネルギー)を40%以上にすれば可能ではあるが、そのレベルには上げれない。

街を灰燼に帰すことはできない。


「仕方ない…熱量(エネルギー)20%…」


熱は使わず、パワーとスピードのみで相手を翻弄して、改造部を破壊、そして使用者本人を気絶させる。

そうするしかない。


「悪いがもうじき終着だ」

「では切符を拝見します」

「無賃だ、運賃はツケとけ」

「言語道断」

「融通の利かない車掌だ。常識なんてものは無いに等しいと己で体現しているだろうに」

「非常識者は黙ってなよ」

「正直俺は落胆している、根源がこれほどの甘ちゃんとはな!理想論すぎて笑ってしまうぞ。本部には悪いが、根源は()()()()と訂正報告させてもらう!」

「ご勝手に!」



打撃戦、再び。

殴打に加え、蹴りも織り交ぜるクレイ。

リンはその全てを既で躱し、銃弾は熱ではらう。

戦いは長くは続かず、クレイの動きは鈍くなる。

彼の周りだけ熱が火柱となって円を描いているからだ。

徐々に体力を奪っていく。

一方、リンは不滅。

体力は衰えない。

攻撃は当たるようになり、ダメージは蓄積される。

単調な動作になったところで、一瞬だけ熱量(エネルギー)をもう1段階上げたリンは、腕を熱破壊。


苦し紛れの蹴りは当たるわけもなく、リンの熱拳はクレイの腹にクリティカルヒット。


「ぐはおぇっ」


数メートル以上ぶっ飛ばされた彼は、倒壊した家屋から起き上がることはなかった。




「人の夢を笑うなよ、現実主義者」



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