フィロ&カレン VS 44位ナツメ ②
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪、16歳)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪、28歳)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪、17歳)
カレン・クジョウ(?、女、赤紫髪、23歳)
【サブ登場人物】
キャロル・グレンズビー(試練の街長)
ザック(仙都、ギリコのボディガード)
3人組
コザ(元Riバース、97位)
シシオウ(獣人チーム)
ロック・ロック(Riバース、?)
ナツメ(Riバース、44位)
クレイ(Riバース、9位)
2対1、戦闘はカレン達有利ではなかった。
44位という順位は伊達ではなく、場数を踏んでいる。
2本の鉄扇は硬く、カレンと同じように仕込針の使い手だった。
「あらぁ、私と同じ隠し武器でありんすねぇ。よろしゅう」
「ふん、どうせ、私狙いでしょう?たまたま同じではなくて、最初から貴方を私にあてる、そういうことでしょ」
「読みが素晴らしくてなによりでありんす」
ナツメは中近距離型。
接近戦は鉄扇が主体、仕込針は中・近どちらでも対応可。
カレンは衣服に隠している針を使うことが多いが、ナツメの場合は扇の表面に装填されており、銃のように扱う。
速度はそれほど早くはないが、幅広い応用が可能。
弱点があるとすれば、発射される際の音。
ジャキン、という変形音は相手に気づかれるという脆弱性を持っているが、2本あることで敵を惑わすこともできる。
撃たずに、そのまま鉄扇に戻して経戦、ということもできるため戦いづらく、聴覚視覚の両方をフル稼働する必要性があるため、一人程度の人数差は、ナツメにとってはあまり意味をなさない。
「あまり動けてないでありんすね、そろそろ万事休すかしらん?」
「かったーい!」
「無理に扇に攻撃しなくていいわ、フィーの爪でも私の仕込針でもあれは壊せない。勝機があるとすれば、針を直に刺すこと。ただ着物の上からだと針が届くか分からないから、皮膚に直接刺す必要があるわ」
「それは、あの人、たおしちゃうの?」
「…いいえ、殺すことはしないわ。痺れさせるだけ。情報も聞かないとだからね」
「わかった!」
「作戦会議は終わったかしらん?そろそろケリをつけましょう。あなたを殺し、私は褒美を得るのです!ナツメよくやったなと、頭をナデナデしてもらうのですわ!」
「へぇ、そう」
針を刺すには接近戦をするしかない。
鉄扇を掻い潜り、仕込針をよけ、神経の通っている場所に刺す必要がある。
「ぬるいですわ!」
接近の仕方が甘かったために、カレンは鉄扇をくらう。
重い攻撃。
カレンは、久々に血を流していた。
「あねご!」
「大丈夫よ、フィー。心配しないで、骨は折れてないから」
踏み込みが甘い。
躊躇したからだ。
殺すならば、他にやりようはある。
しかし、自分はフィーと約束した。
この女は殺さずに倒すだけ、と。
「フィー、一緒に突っ込むわよ」
「ふぇ!?」
「それしかない」
「……わかった」
「同時に来ても無意味!勝つのは私!次で仕留めるでありんす!」
カレン合図のもと、駆け出す2人。
しかし戦闘構成員としての歴が長いナツメの前に、手は届かない。
2人とも腹に一発ずつ鉄扇をくらう。
痛さゆえに、フィロは地面にうずくまり、カレンは衝撃で飛ばされていた。
ジャキンっと音が鳴る。
標的は今弾いた女、カレン・クジョウ。
組織の情報を盗み出そうとしていた工作員。
「これでトドメ、でありんす☆」
発射された針は、カレンの横をかすめた。
「んな…ぜ?」
突如、目眩を起こしたナツメは倒れた。
倒したと思った相手が真上から見下ろしている。
「声、出ないでしょう?私の毒は特製なの。麻痺以外にももう一つ刺しておくわ。私達は救助に行かないといけないの。貴方からは情報を聞きたい所だったけど、またにするわ」
「どうして!?」
「ざんねんでしたー!私たちのさくせんがちぃ!」
「なっ……尻尾…」
「気づかなかったでしょ?フィーが針を持っていたことに、麻痺針は初撃で刺していたことに」
「…うそ…」
ナツメが当てられなかったのは、撃つ瞬間に刺されたフィロの刺激針。
麻痺針は、カレンが最初に鉄扇をくらった際に刺していた。
この麻痺針は特製で、服の上からでも刺すことが可能な自動虫食針だ。
刺した場所を時間をかけて虫食いのように穴を開け、皮膚を感知して刺す、超極細針である。
時間がかかってしまうため、違和感に気づかれる場合もあるのだが、着物だと分かりにくい。
同じ女性だからこそ、その点に気づけたカレンの作戦勝ちということ。
「やったね!あねご!」
「そうね、これで…」
少しは、彼に近づけたかしら。
「名脇役って難しそうね」
「んー、あねごは、ひろいんでもいいと思うけどなぁ」
「ありがと、フィー」
勝利した2人は僅かばかりの休息をとり、行動を再開した。




