渦巻く糸②
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪)
【サブ登場人物】
レイス・ピコ(陰都市長)
カレン・クジョウ(?)
シュリ(糸目男)
ロックロッククロックロック(?)
覆面女(?)
繁華街を1人歩く人物がいる。
糸目が特徴的な男シュリ。
いつもなら数人の護衛を脇に置き、闊歩する彼だが、今日はそうはいかない。
人に会うためだ。
取引先は、どの大商人派閥にも属さない。
自分の腕だけで、成り上がってきたと勘違いしている、頭の悪い男。
各方面に根回しをしてきたのはシュリだ。
大商人ほどではないが、知名度が少しある、程には成長した。
ここまで育ててきたことに、彼も自分に酔いしれていた。
「想定よりもかなりの時間を費やしてしまいました」
才能もなく、都合がよいだけの駒。
「任務でなければ、あの程度の男に頭を下げる必要もないというのに……ですが有り難いことに準備は整ってきました」
ベルを鳴らし合言葉を言う。
「本日ビーブ様はおられますか?」
ビーブの護衛は何も言わない。
彼は無口な男、ビーブの側近。
建付けの悪い、古びた廊下を進むと奥の大きな部屋に男が1人座っている。
「本日もお召し物に貴賓さがありますね、さすがです」
そのようなものはない。
膨れた腹から肌が透けて見える。
ボタンははち切れそうで、髪はボサボサだ。
「おおシュリ、待っていたぞ」
「彼は、お気に召しましたか?」
「おおあれか、中々いいぞ、さすがだなシュリ」
彼とは刺客のこと。
シュリと同じ組織に属する。
この任務に必要となり、上司に依頼して遣わせた者。
「それは何よりです、彼は今どこに?」
「観光させてるぞ」
「!?…さ、さすがはビーブ様、お心遣いもおありのようで」
「俺はもうすぐ大商人、いやこの都市の長になるのだ、それくらい当たり前だろう?」
ビーブにしてみれば気前の良さをアピールする行為。
シュリからしてみれば、愚かな行為。
暗殺稼業の者を外で遊ばせる必要はない。
「ところで、例の指輪は見つけられそうか?」
「はい、問題はないかと」
「何故だ?」
「捜索を得意とする者を見つけました。彼は、私が用意した模造の指輪を2日で見つけました。本物を見つけるのも時間はかからないでしょう」
「だが本物は今、どこかの誰かが持っているのだろう?その特定は?」
「それも把握済みでして、覆面フードの女が持っています」
「女か……捕まえたら俺の女にするのもありか」
「ビーブ様の物になれば、誰しも嬉しいでしょう」
ビーブは満足気。
側近は相変わらず無口。
シュリは苦笑い。
「次の報告が楽しみだ、任せたぞ」
「はい、また来ます」
外に出たシュリは、誰もいないことを確認してから物に当たり、ストレスを発散させていた。
それを遠目から見る人物が1人。
距離は2キロ離れている。
建物の屋上から、装着しているゴーグルのピントを調節している。
彼も何者かと連絡をしていたのち、回線を切る。
「順調順調単調探鳥?オレっちの名はロックロッククロックロック。もうすぐ開戦、次戦も注目。楽しいお祭り始まるよ」
「(おいロック、真面目にしろよ)」
「大丈夫さ兄ちゃん、オレっちは真面目不真面目超真面目」
「(監視の任務だ、報酬はでかいぞ)」
「さぁさぁさぁはじっまるよー!!(勝つのは俺達、ロック兄弟)」
大声はやまびこのように響いた。




