それぞれの一番④
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭店主)
アイ(ドムの娘)
バトンを受けたジェットだが、あまり気乗りはしていない。
「どうせ一番の思い出なんてないんでしょう?良いじゃないですか、酒のつまみです」
「お前はまだ酒飲めねぇだろうがよ。ドムさんの頼みでも全部は面倒なんで、少しだけでいいっすかね?」
「応相談だな。全く話さなかった場合は宿代倍増だからな」
それは御免被りたい。
裕福ではないのだ。
僕もお願いのポーズをした。
「あれは、たしか…都市に入る前だったか」
「ですね、最初に会ったのは荒野です」
「ブンブンいってた」
「格好良かったよね」
荒野で遭遇したのは、バイクを優雅に乗りこなす女傭兵さんだった。
「へぇ!女で傭兵か、珍しいな」
「気さくな人で、都市までの道案内をしてくれたんです。都市内でもバッタリ会って、色々とお世話になりました」
「同業なら馬が合ったんだろう、ジェット?」
「いや、まぁ、ん~どうだろうな」
「なんだ、歯切りが悪いじゃねーか、らしくない」
「ずっとこの調子なんですよねー、絶対何かあったと思うんですけど、僕達には教えてくれなくて」
「なるほど。それならあっちの個室に行くか。2人きりなら話せるだろうよ」
「よくねぇよドムさん!」
個室に向かおうとしたドムさんを、慌てて座らせるジェット。
やはり何かあったに違いない。
「何もねぇから!この話は終わりだ!」
「その女傭兵の名前はなんていうんだ?」
「アキラさんですね」
「年齢は?」
「女性には聞けないですよ」
「わたしより10は上っていってたよ?」
「さすがフィロ」
「おい!勝手に話進めるんじゃねぇ、終わりって言っただろうがバカどもが」
「その言い方だとドムさんもバカ確定になるんじゃないですか?」
「ほっとけ、あいつはなぁ、そういうお年頃なんだよ」
「おとしごろかぁ」
この話を辞めようとする者はいない。
味方が誰もいないことを悟ったジェットは、夜風に当たりに行くといって席を外した。
「逃げたな」
「逃げましたね」
「とうひこう!」
「とぉひこぅ?」
「攻めすぎも良くないよ皆、あとはドムさんに任せよう。いいですよね?」
「おう任せとけ。夜はまだ長い」
話題は、ドムさん夫婦の馴れ初めの話になっていた。
順番的に僕の番だったが、一旦間を取っている感じ。
アイちゃんはというと、モジモジしていた。
「ねぇお父さん」
「どうした、アイ?」
「…おしっこ」
一同の対応は早い。
フィロが一緒についていき、ドムさんは追加の料理を頼むべく厨房へ、オウルはジェットを呼び戻しに、僕はというと大トリの話を考えていた。
「……やっぱり、音楽の街かな」
「へぇ、いいじゃない音楽の街、私も好きよ」
いつの間にか僕の横には、見知らぬ女性がいた。




