それぞれの一番③
【主要登場人物】
リン・フォワード(主人公、男、白髪)
フィロ・ネリウス(獣人、女、黒髪)
ジェット・エーギル(傭兵、男、金髪)
オウル・P・マギー(ハッカー、男、青髪)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭店主)
アイ(ドムの娘)
「僕の一番の思い出はやはり幻想の街ですね」
ドムさんは、違和感に気付いた様子。
「ちょっと待て、ルートがおかしくねぇか?」
「そうですね、普通に行けば行き着きません」
「迷ったってことか」
「ワームに地図を食べられてしまいまして、フィロの感を頼りに向かった先が幻想の街でした」
「暗闇は横に長く広がっている土地だったというわけか」
「そういうことです。僕達はある意味開拓者ですね」
人の感覚を信じるのは、時と場合を考えたほうが良いということだ。
自動駆動の判断を採用すべきだったが、フィロが自信満々だったこともあり、彼女の感を優先。
結果的には街には着いたが、目的の場所とは違うため大周りとなり、ここに到着するのもかなりの時間を要した。
問題なく進んでいれば、2ヶ月前には到着できていたことだろう。
起伏の無い旅なんてないのだろうけど。
「幻想はどんな街だったんだ?俺は行ったことがねぇから詳しく知りたい所だ」
「普通ですよ。気候も穏やかで、小さい湖もあって、よくある感じの街の風景でした」
「幻想とはどういう理由なんだ?」
「あそこは雲が少ないんです。天気も晴れが多くて、夜になると星が空いっぱいに広がるんです」
「ほぉ」
「湖のほとりには、草木も生えてるんですが、虫たちの奏でる羽音や、様々な発光虫もいて、幻想的な雰囲気になるんです」
フィロの横でアイちゃんが行きたそうな表情をしており、ドムさんが3人で行こうと約束していた。
「ホント虫が好きだよな。俺は分からんわ。風情も分かんね」
「格好いいですからね。煽って腹を立てて銃を向けたりしてきませんからね」
「おいぃ、それは誰に向かって言ってるんだ?マセガキ」
「誰がマセガキですか、僕は普通ですよ、金髪情緒不安定傭兵おじさん」
「あぁん?」
「まぁまぁ2人とも、そのへんで、小さい子もいるんだから」
「でも、わたしはのこるかもって思ったけどな、オウル」
その発言には僕も共感。
オウルと同じくらいの歳の子がいて、仲良く話をしていたから、街に留まる可能性を感じていた。
「それはないですよ」
「なんでだマセガキ。いい雰囲気だったじゃねーか」
「旅に出てすぐですよ、ありえません。恋にうつつを抜かすのはまだ先でいいです。僕よりジェットでしょう?あの話をしたらどうです?」
「いや、あれは、別にいいだろ、違うし」
「おじちゃん、ききたい」
「俺はおじさんじゃねーよ」
「娘からしたら立派なおじさんだぜジェット。俺もその話聞きたいから頼むぜ」
絶妙な流れで、ジェットへとバトンが渡る。




