出発①
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
オウル・P・マギー(故ヨルムの孫)
ギリコ(賭事店オーナー)
ニコラス(仙都政府の役人)
ザック(逃走者、武闘派)
テロが収束して、数時間が経過。
都市長の容態は安定。
事の経緯はギリコさん主導のもと、モニターで全域に放送。
都市長と側近である情報屋も同席。
ニコラスを野放しにしていたのは、都市長本人が高齢で自分の身を案じたため、従わざるを得なかったと釈明。
一定の非は認め、長の任を降りることを発表。
後任は、騒動収束の立役者であるギリコさんが務めることになった。
次の日の夜、僕達は赤牛亭で荷の準備をしていた。
「もう少し、滞在する予定だったと聞いていたがな」
営業中にもかかわらず、ドムさんはお酒を飲んでいた。
「慰労会行かなくてよかったんですか?」
「建前だろうよ。仕事を手伝わされるだけだ」
「僕も同じような理由で断りました。長居するとその色に染まりそうで、抜け出せないですから」
「そうか。出発は明日だったな」
「はい」
「……オウルも連れて行ってやったらどうだ?」
「僕は一人旅が性に合ってますよ。フィロ達のことも、好き好んで連れているわけではありません」
「そんな風には見えないが、まぁオウルも忙しいか」
「えぇ、宣伝効果は抜群みたいでしたから。彼はこれから色々と忙しくなりますよ」
一人で店を切り盛りするのは難しいかもしれない。
しかし、それは彼の問題。
解決も彼自身がすべきだ。
横槍は良くない。
「そういえば、ジェットと嬢ちゃんの姿が見えないがデートか?」
「はは、2人がそんな風に見えます?ジェットは残りの武器回収で、フィロは仲良くなった人達に挨拶に行きました」
「今、都を出れば、一人旅できるんじゃないか?」
「……そうかもしれません。ですが、フィロの嗅覚やジェットの経験則を考えたら撒けないですね」
「そんなものか」
「はい」
聞き終えたのか、ドムさんは一階へと降りていく。
部屋の入口には、落とし物。
ドムさんの実家でもある、赤牛亭本店のサービス券を僕は拾った。




