塔の攻略②
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
ヨルム・マギー(服屋兼仕立屋の店主)
オウル・P・マギー(ヨルムの孫?)
ギリコ(賭事店オーナー)
ニコラス(仙都政府の役人)
ザック(逃走者、武闘派)
作戦開始の合図。
僕とザックが中央塔、ジェットとフィロが放送塔に侵入する段取り。
ジェット曰く、バカ2人は組ませられないとのこと。
それについては概ね同意。
何が起こるか分からない、不安要素は少ない方がいい。
偽造パスコードのおかげで、中央区に入ることは成功。
警備ロボも難なくクリア。
予定通り揉め事を起こしてくれているようで、そちらに数も割かれている。
中央塔入口までは、まだ距離があるが、想定よりは時間はかからない様子だ。
「お名前、前はルーニーさんでしたよね」
「それは偽名だ愚か者め、俺の真名はザック。ここで名を上げる男だ、覚えておけ」
「あ、はい」
正直とても不安だ。
ジェットと交代した方が良かった気がする。
「あの2人は、意外と息が合うから、いいか」
「何か言ったか?舎弟1号」
「いえ何も」
いつの間に舎弟になったのだろうか。
契を交わした覚えはない。
「2人とも注意してくださいね」
視界に入口が映る。
無線の回線は良好。
「警備兵は上手く躱してください。方法は任せます。僕は、一つ一つハッキングして扉を解錠していきますので、最上階を目指してください」
言うのは簡単。
実行は難。
「ここは武闘派の俺の見せ所だぜ」
ザックは警備兵を次々と薙ぎ倒していく。
警備兵に、お詫びをしつつ、入口に着く。
ザックも続く。
「上まで、もしかして階段?」
「すでに、ニコラスには気付かれているようです。僕のハッキングレベルではエレベーターを稼働させることはできません。階段でお願いします」
「警備兵もまだいるんだよねぇ。これは骨が折れそうだ」
「この俺に任せとけ。全てぶっ倒してやる」
「腕に自信があるなら、逃走しなくてよかったんじゃない?」
「いやいやそれは無理だ。あのハゲ頭の後ろにいる獣人を見ただろ?白虎だぞ?勝てるわけないだろ!?」
武闘派を名乗る彼でも、あの獣人には勝てないのか。
合点がいった。
獣人というと、フィロは大丈夫だろうか。
作戦を理解しているだろうか。
信じるしかない。
放送塔の警備は少ない。
フィロとジェットの2人は、目的の内部に到着。
「どこかなどこかな〜♪」
「おい、さっさとしろよ」
「これ何かな〜♪ポチッとな」
警報が鳴り、下の階から警備兵が登ってくる。
「おま!バカかよ!猫女!」
「うるさいなぁ」
「お前のせいだぞこら!おい逃げんな!」
「見つけたから、あとたのむねジェット」
「ここは最上階だぞ!中央塔ほどは高くないがああもういねーちくしょう!」
警備兵の一人が入室。
ジェットに対して警棒を向ける。
「なんで俺が猫女のために、殿をしなきゃならねぇんだ」
警棒に対して、ジェットはナイフと銃を取り出す。
それを見て、数人の警備兵が後退。
「検問で没収され、都市内での火器所持は逮捕…だっけか。そんなもんいくらでも覆せるんだよ。悪いが兄ちゃん方、腕の一本や二本覚悟しとけよ。俺は今、腹の虫が頗る悪いんだわ」
発砲音はフィロの耳にも聴こえる。
問題は無さそうだと自己判断して、中央塔へと歩を進める。
獣人が塔内に入る様子、放送塔の発砲音、中央区入口の争いに気づき眺めている男、ニコラスは持っていたグラスを叩き割った。
「どういうことだ!あれはどこの勢力だ!」
側近の者を怒鳴りつける。
「ひっ!お、おそらくギリコの組織する一味かと…」
「なぜバレた!いや、計画が実行できれば問題はないか…おい!放送塔の方はどうなっている!」
「は、はい…えっと無事です」
「なんだと?」
「傭兵と獣人に襲撃を受けましたが、機材は無事です。…ので、遠隔操作も可能です。陽動もしくは戦力を割くのが狙いかと思います」
「なるほど。ここに向かっている2人はどうなんだ?」
側近は少し考えた後、ニコラスを怒らせないよう言葉を選んだ。
「間もなく、来るでしょう」
「それで?」
「2人とも私が相手をします」
「お前が強いことは知っている。だが老齢だ。2人相手に出来るのか?1人は警備兵をものともしないようだぞ」
「彼らは疲弊しているでしょうから、問題はないかと思われます。念の為ですが、お持ちの銃を貸していただくことは可能ですか?」
「銃ならば、お前も持っているだろう?これは私のだ。これは最高の功労者が持つと相場が決まっている。それに丸腰で人一人を縛れるものか。相手が高齢の長だったとしてもだ」
「……かしこまりました」
腰の銃をチェックするニコラス。
「私は長の部屋の前で待機しておく」
「スイッチは私が持っていてよろしいのですか?」
「ああ、長をこの部屋まで連れて来るから、放映の準備だけしておけ。それと、ここにある予備放映機材、問題がないか再度確認をするのだ」
「……かしこまりました」
ニコラスは意気揚々と階段を登った。




