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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第三章 受け継がれる意志

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暗躍する者達⑤

【主要登場人物】

リン(主人公、男)

フィロ(獣人、女)

ジェット(傭兵、男)



【サブ登場人物】

ドム(赤牛亭の店主)

ヨルム・マギー(服屋兼仕立屋の店主)

オウル・P・マギー(ヨルムの孫?)

ギリコ(賭事店オーナー)

ここは中央区・中央街・中央政府が管理する中央塔。

室内にて座す者は、計画の最終調整を行っていた。


「こことここ、警備兵に穴あり」


「ニコラス様、お呼びでしょうか」

「うむ。君の配置は覚えているかね?」

「はい、もちろんですとも。抜かりはございません」

「よろしい」


ニコラスは盤上の駒を一つ一つ潰していた。


「実行日は予定通り明日だ」

「管理システムの再起動日ですか。高性能の技術といっても定期的なメンテナンスを必要とするのは、なんといいますか、生物と一緒ですね」

「違いない。私達にとっては都合が良いがな。これで長を、上から引きずり下ろすことが可能だ」

「要望にあった情報開示も滞りございません。都市全域にモニターで放映できます」

「再起動の影響はどうだ?」

「管理システムを再起動する前に、放送システムを切り離します。管理システムは起動に時間を要しますが、放映は別電源を使用しますので、影響は受けないかと」

「万全だな」

「はい」


盤上の駒は、黒一色で埋め尽くされていた。








場所は変わり、ここは中央区・北西街・中央政府の管理が届きにくい観光区との狭間。

男は連絡をとっていた。


「おい!おれだ!効果が切れちまった。俺はこれからどうすればいい?」

「……薬は見つかったんですか?」


電話の相手はオウル。


「病院にも薬屋にもない」

「そんなことないでしょう」

「ホントだ!変な施設に入ってる時に見つけたんだが、薬を独占している奴がいる。計画か設計かは分からねぇが、変な書類を山のように見た!」

「…それは本当ですか?独占している人物の名は?」

「そこまでは分からねぇよ」

「書類というのは、持ち帰ってるんですか?」

「いや」

「僕には時間がないんですよ!なんでこう、僕の周りには、使えない奴等だらけなんだよ!」


物を投げつける音が回線越しに響く。


「だ、大丈夫だ、俺は記憶力いいからさ」

「はぁ!?」

「同じ男なら分かるだろ、俺を信じてくれ」

「そういうのキモいんですよ!さっきからさぁ!」

「さっきから…?」

「はぁ、だったら、あなたの記憶したそれを僕の所まで届けてくださいよ」

「無茶だ、捕まる」

「はぁ、今いる場所は観光区でしたっけ。私が行きますので、絶対にその場から離れないでくださ……ぃ……」

「ん?お、おいどうした?」


オウルの返答はない。

息遣いは聞こえる。

荒々しくなってもいる。


「……はぁはぁ」

「お、おい!どうしたんだって!」


答えてはくれない。


「はぁはぁはぁ、んぐっ…おぇ」


恐怖は増す。


「はぁはぁ、そんな、嘘だろ。嘘だと言ってくれ」



悲痛な叫び声が響く。

男は、回線を切ることができず、そのまま立ち尽くす。

後で聞かされたのは、訃報だった。

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