暗躍する者達④
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
ヨルム・マギー(服屋兼仕立屋の店主)
オウル・P・マギー(ヨルムの孫?)
ギリコ(賭事店オーナー)
早朝、ドムさんは支度をしていた。
店は他の店員に任せ、駆け足で外に出る。
聞く限りでは、この店の地主さんの葬式とのこと。
僕達はというと、今日の仕事は休み。
自由行動。
都市の滞在期間も残り僅かの予定。
希望的には、一人旅を再開したいので、休みの間に2人には色々と決めてもらいたいものだ。
「昼まで寝ようと思ってたのに、朝から騒がしいな」
衣服に、お酒の臭いが染み付いている。
昨日も夜遅くまで遊び歩いていたようだ。
「今日の見出しは、飲食店で起きた回線の故障か。爺婆も死ぬし、この都市は物騒だな」
苦みのある珈琲の香りが鼻を刺激する。
「俺も同じの1つ」
僕の時と同じように、丁寧に注いでいく。
「んで、猫女はいつもの散歩か…お前は今日何か予定あんのか?」
すっと立ち上がった僕を、見上げるジェット。
「確認にね」
「俺も行こうか?」
「大丈夫、休んでてよ」
店員に、ご馳走様と伝えた僕は、とある場所に向かった。
赴いた場所は、以前と同じく、静かだった。
ここに来たのは3度目。
都市に入った初日、昨日の夕方、そして今日。
許可なしに、進んでいく。
音に気づいたのか、ようやく奥の扉が開いた。
「…店はやってない」
「…知ってる」
「何しに来た」
「聞きたいことがあるんだ」
「出ていってくれ!今忙しいんだ!」
「マギーさんは元気ですか?」
逆鱗に触れたのか、彼は出てきた扉を強く殴った。
「あんたもか!あんたも俺を憐れむのか!卑下するのか!」
「いったいどうしたのさ!?」
「爺ちゃんは…爺ちゃんは昨日の夜、倒れて、今病院だ」
「!?」
「時間がないんだよ僕には!聞きたいことはなんだ!1つだけ答えてやるから、終わったらさっさと帰ってくれ!」
訪問する日を間違えたかもしれない。
それでも確かめないといけない。
「偽造パスコード作ったのは君でしょ?」
「…な」
「最初から怪しかったんだ。セールなのに、店は営業しているように感じられない。商品に値札がついてない」
「廃れた店なんだ、チラシも昔刷った物さ」
「外出で、大きなパソコンを持ち歩く必要はない」
「気分転換に外でゲームくらいするさ」
「捜索依頼を受けた次の日、僕はギリコさんの店に行ったんだ。捜索対象が座っていた椅子からは微かにだけど、茶の濁り香を感じた。君とすれ違った時と同じ匂いだ」
「はぁ!?出鱈目だ!」
「その人とは直に会ってるよね?君の痕跡も視えたよ」
「何言ってるんだ!気持ち悪い!」
「理解はしてくれなくていいよ、答えはもう出たようなものだから」
きっかけは、あの一言。
もしかしたらギリコさんは、ここの関係者かもしれない。
確認し終わった僕は、追い出されるように店をあとにした。




