暗躍する者達③
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
ヨルム・マギー(服屋兼仕立屋の店主)
オウル・P・マギー(ヨルムの孫?)
ギリコ(賭事店オーナー)
リンリンと音が鳴り響き、数人の男達が入ってくる。
「今日は店終いです、お帰りください」
「まぁまぁオウル君、すぐに終わる。マギーさんはいるかい?」
「爺ちゃんはいません。出直しください」
「茶の濁り香がするのにかい?」
両者、じろっと互いを見る。
話を再開する前に、奥からは杖をつく音。
「おや、やはりいるじゃないか」
「…ちっ」
「ふむ、ギー坊か。久方ぶりじゃな」
「元気そうでなによりです」
「…元気ではないがな、ゴホッ」
「ん?まさか巷で噂の不治の病ですか?」
「違うわい、これは持病じゃ、心配するな」
「そう、ですか」
ギリコの付き添いの者が、筒状の箱から書類を出す。
それを広げ、2人に見せた。
「ここの土地は私達が買いましたので、立ち退きをお願いしたい。無論、お二人の新しい家はこちらで確保しています。ここよりも陽光が挿し込むだけでなく、家賃も必要ございません。安全な暮らしをお約束いたします」
「…その条件をわしがのむと?」
「はい、これは恩返しでもあります」
「ふん。本当に恩を感じているのなら、この店を継ぐことぐらいできたのではないか?」
「確かにできたでしょう。しかし私は単なる服屋の店員、あなたと血が繋がっているわけではございません。それに広く世を知る必要がありました。当時の選択に間違いはありません」
深々と頭を下げるギリコに対して、オウルは容赦しない。
「恩を仇で返すあんたに、僕達が首を縦に振ると本当に思うのか?頭沸いてるぞあんた」
その言葉に、ギリコに付き添う者達が激しく怒る。
「言い過ぎはよくない。口悪いのは誰に似たのか」
「お前達もそこまでにしろ、あの程度で怒る私ではない」
書類を筒に戻す。
「この書面の効力は1ヶ月です。1ヶ月以内に返答がなければ、承諾したとみなして、強制的に立ち退いてもらいます」
「それ以外に方法はないんじゃな」
「ええまぁ。1ヶ月以内に店を繁盛させるなんて無理でしょう」
「そうじゃな」
「もしくは、私の組織に入って、昔のような仕事をしていただいても良いのですよ」
「はは、それは無理じゃ、見てわかろう。わしはもう年老いた」
沈黙を破るかのように、付き添いの者が口を挟む。
「…そろそろ行きませんと、通行人が…」
「むっ…そうだな。それではマギーさん、良い報告を待っていますよ」
静けさが戻る。
「何も言うな、今はな。この件については、また後日、家族会議するぞて」
オウルは、コクリと頷いた。




