捜索③
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
ヨルム・マギー(服屋兼仕立屋の店主)
オウル・P・マギー(ヨルムの孫?)
夕暮れまで探したが男は見つからず、仕方なく赤牛亭まで戻ることにした。
僕自身が見たことのある人物なら、跡を辿ることはできたかもしれない。
今回は運がなかった。
店の近くまで歩いていると、仕立屋の少年とすれ違った。
会釈をしたが、向こうは舌打ちだった。
出会いの印象が悪かったからかもしれない、そう思うことにした。
店の中に入ると、ドムさんの他、フィロやジェット、それともう3人いた。
スキンヘッドの男は、丁度話が終わったのか、目が合った僕に、ボソッと一言伝えてから出ていった。
「あの人は?」
「依頼主だ」
「あー、なるほど」
良い報告が出来なかったから文句を言いに来たのだろうか。
あの言葉はどういう意味なのだろうか。
それよりもジェットの体調が気になる。
「問題ない、ただ俺は怒っているぞ、なんで置いていったんだ」
「倒れたじゃん」
「目が覚めたら、子供に囲まれてたんだぞ!しかもフィロまでいて、こっちは赤っ恥だ」
「いたの?」
「うん、子供のお世話してた」
あの小児科は託児所も兼ねていたらしい。
ジェットがフィロのことを名前で呼んだのは恥をかいたからなのか、認めたからなのかは分からない。
「ジェットもザコだね〜、これでどうるいだね」
「一緒にすんなや猫女!」
認めたわけではなさそうだ。
「ちょっといいかい、御三方」
ドムさんが割って入る。
「一応、依頼主であるギリコからの経過報告を伝えようと思う。ああもちろん、現段階で報酬はない」
「でしょうね」
「だが、依頼は続行されている。逃げた男は中央区の中央街に入ったらしい」
「専用のパスコードを持っていたのか?」
「いや、おそらく偽造だ」
3人とも驚く。
純粋に、コードを偽造するだけなら出来るかもしれないが、それを読み取る機械が中央街の入口には無数にある。
それも欺くことができるなら、かなりのレベルだ。
職人技と言ってもいい。
僕らの持っているパスコードでは、中央街に入ることはできない。
大金を払えば、もしかすれば入れるかもしれないが、余裕はない。
「偽造パスコードを闇取引で売買したんだろうな」
「悪い人なら中央政府が動くんじゃないですか?」
「それはない、あいつらが管理警備するのは自分達のことだけだ。中央に被害が出ないなら、何もしないだろうよ」
「依頼が続行しているということは、何か大事な物でも盗まれたりしたんですかね」
「盗人ではない。金を返していないだけさ。ギリコは勘も運も良い男だ。それだけで成り上がってきたと本人が言っている。今回の件も、何かの感が働いたと言っていたぞ」
「それで、俺らも偽造パスコードを入手して中央区に入るのか?」
ドムさんは首を振る。
「おそらくだが、偽造パスコードの効果は一時的だ。というのも中央の管理システムは高性能だから、いつかはバレるだろう。つまり、直に向こうから出てくるということだ」
「待ちかよ」
「ああギャンブルだ、好きだろ?」
頷くジェット。
何を考えているか分からないフィロ。
僕はというと、偽造という言葉に胸が引っ掛かっていた。
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