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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第三章 受け継がれる意志

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仕立屋②

ゴホゴホと咳をしながら、こちらに来る。


「店にお客さんとはいつぶりじゃろうかの」


「どうも」

「新しい服でも買うのかリン?」

「新しいふく買ってくれるのリン?」

「違うけど」

「冷やかしはよくねぇぞリン」

「ひやめしはおいしくないよリン」

「ちょっと二人とも黙っててくれない?」


高圧気味に伝えた。


「よいよい、ここは服屋兼仕立屋。わしはヨルム・マギー。ここの店主じゃ。ゆっくりしていくがよい。なんなら茶でも淹れてやろうかの」

「お気になさらず、お仕事の邪魔になるかもしれませんので御暇します」


何かに引き寄せらたのは確かだ。

体質は関係していない。


「どうかした爺ちゃん?誰かきた?」


奥の扉からまた1人。


「おぉオウルか、丁度よい」


老人は少年を手招きしていた。


「わしの養子でもあり孫のような者じゃ。ほれ、久方ぶりのお客さんに挨拶しなさい」


少年は少し嫌そうに、しかし誠実に頭を下げて、こちらを見た。

年齢はフィロより少し下の14か15くらいだ。

白い肌に瞳は緑、髪は肩ほどで青い、耳は長め。

彼は混血だ。

人と獣人、もしくはごく僅かの妖人と呼ばれる種族かもしれない。


「オウルです。フルネームは長いので省略します。店に用がないのでしたら、早く帰ってくださいね。仕事の邪魔です」


その言葉にキレていたのはジェットだ。


「客いねぇのに、仕事なんてないだろ」

「内仕事はいくらでもあります。野蛮なあなた達には理解できないかもしれませんがね」

「ヤんのかガキ!」


今にも殴りに行きそうだ。


「はいはいストップ、すみませんオウル…さん。今から帰ります」


ジェットを反転させ、背中を押す。

ガラス越しになっても、お互い睨みあったまま。

視線から逃げるように、早歩きした。




追い出すように出ていった3名。

留めることはできなかった。


「何故、あのように追い立てたのじゃオウル、お客さんじゃぞ」

「でも買う気があるようには見えなかった」

「そうだとしても、久方ぶりの客人じゃ」

「必要ないよ。服を売っても大した利益にはならない。冷やかし客と役人はうんざりだよ」

「しかし……ゴホッ、うむ大丈夫じゃ、助けは、いらん。普通の、接客も、出来んやつの手なぞ、借りとうない」

「でも!」

「必要ない、自分で、ベッドに、いくわい」



店内に静けさが戻る。

オウルは、ヨルム爺が寝室に入るのを確認してから自室へと戻った。

すぐさま、自分専用のパソコンを起動する。


「依頼は…来ているかな」


いくつかの履歴を見た後、パソコンを閉じてうつ伏せる。


「はぁ」


この程度の依頼は簡単だ。

達成は容易。

しかし、足りない。

報酬額が少ない。

計画が遅々として進まない。


仕立屋の仕事では、給料は発生していない。

そもそも客は来ない。

服屋において、ハイブランドや実用性、見た目を重視するのは基本だろう。

差別化を図り、競合店に打ち勝つ努力が普通は必要だが、この店に良さはない。

ただの古びれた店だ。

閉店セールは、ずっとしている。

いままでのヨルム爺の蓄えで生活ができているだけにすぎない。


そのヨルム爺も、最近は衰えはじめている。

僕が養子となって拾われた時よりも身体は小さい。

酷く咳もするようになった。

薬がないわけではない。

効果が薄い。

もっと良い薬、大きい病院や施設に預け、診てもらわないとダメだ。

そういった良い薬や病院は、中央政府に管理され、中央に入れる人間も限定されている。

僕やヨルム爺のパスコードでは入ることができない。

パスコードを偽装して、中に入る手段は既に試みた。

もちろん失敗に終わり、役人に目をつけられ、後が無い。

次は確実に捕まるだろう。

それはゲームオーバーを意味する。

クリアしないといけないことが多い。

問題は山積みだ。

普通の客の相手をする時間はない。

今は悪いことをしてでも、お金を稼がないといけないのだから。



感想、評価、レビューお待ちしています。辛口でも構いません。

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