赤牛亭②
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
ドム(赤牛亭の店主)
話の最中に、こちらに駆けてくる足音が聞こえる。
「んー!いいにおい!」
席に着くとフィロは、好物の魚に齧り付いていた。
「どこいってたの?」
「おはんほ」
散歩に行っていたのは知っている。
聞きたいことはそれではない。
「はし!」
「おっ、都市入口の橋だな」
フィロがコクコクと頷いている。
口で言わないのは、頬いっぱいに食べ物があるからだ。
「検問も厳しいからな、役に立たんかもしれんが、一応俺の書いた紹介文もってけ。マジの外部よりかは多少は時間短縮になる」
そう言うと、いつの間に準備をしていたのか、一枚の紙を机に置いた。
「景気がいいねぇ」
「客にはな」
椅子をブラブラしながら聞いていたジェットは、カウンターに戻るドムさんを観ていた。
「そういえば、さっきから気になってたんだが、あの額縁にある写真はかなり古いのか?」
「ん?あーあれか、俺の先代の先代、そのまた先代くらいの写真だな。年数的には300年くらい前か」
「ふーん」
「どうかしたか?」
「いや、昔話さ。…俺の親もそうだが祖父母も頭イカれててな、信仰的な部分もあってか、よく昔に起きた事件の話を聞かされたんだ。それを思い出しただけっつー話だ、忘れてくれ」
「…ふむ、昔に起きた事件というと大爆発が有名だな」
「まさにソレだよドムさん、俺はその話を何度も聞かされた」
「未だに原因が分からない大事故、死者は数千万、負傷者は数しれず、疫病なんかも流行ったりしたと言われたやつだな」
「事件なのか、事故か災害なのかも分かっていねぇらしいじゃねーか。クレーターもあるから、隕石衝突も疑われてるって話だろ」
「国家という制度が衰退し、生態系も著しく変化したというしな。800年くらい前の出来事が解明されていないってのは難儀だよな。ジェットの爺さんはなんで、その話を?」
「俺は火器を使うからな。何が引き金になるか分からねぇから、いつも気をつけるよう言われてたんだ」
「なるほどな」
2人の会話中、フィロはずっと食事をしていた。
話は、おそらく聞いていない。
「ごちそうさま!」
「綺麗に食べたな嬢さん」
フィロは満面の笑みを見せていた。
「お前の分も食べられたんじゃないか、リン?」
「満足してくれたならそれでいいよ」
「相変わらずお人好しだな」
残り少ない水を飲み干すと、ドムさんは片してくれた。
「さぁ御三方、まだ陽はあるが明日に向けて休んだほうがいい。検問には数時間かかるだろう。都市に入ったらまず俺の店、赤牛亭をよろしく。このマークが目印だ」
自慢げに服に縫い付けたマークには赤眼の闘牛が描かれていた。
感想、評価、レビューお待ちしています。辛口でも構いません。




