激戦③
【主要登場人物】
リン(主人公、男)
フィロ(獣人、女)
ジェット(傭兵、男)
【サブ登場人物】
3人組
この建物は、一般的な家より大きく、中も広い。
所々朽ちており、迷路のように入り組んでいるが、頑丈な壁もあり、雷雨や嵐など自然災害を防ぐことが可能。
壇上もあることから、施設もしくは祭典などの会場として使われていた場所ではないかと、リンは感じていた。
戦闘が始まって数分が経過。
今いるこことは離れた場所で発せられる金属音や足音を感じ取るに、完全に僕は彼らの眼中にないことが分かる。
つまり、状況整理や敵の位置把握にを集中しても問題ないということ。
「1人…いないな」
扉越しでも感知できる。
ジェットの周りには2人。
一番最初に喋っていた大柄の男と、殆ど会話が成り立たない舌を出している男のみだ。
中背のサングラスをかけた男がいない。
いや、少し離れた場所でタイミングを見計らっている。
銃を構えているように視える。
湿気の中、火薬の匂いを感じた僕は、閉められていただけのドアをぶち破る。
混戦に割って入った瞬間と同タイミングで銃声が聴こえる。
ジェットは気づいていたかのように避けた。
「甘ぇ!」
しかし、弾は反転する。
「危ない!」
咄嗟に腕を出し、ジェットを突き飛ばした。
ジェットはすぐに起き上がる。
「…っ、おまえ…」
「これくらい大丈夫さ」
弾は、手の甲を貫通している。
「おいおい!他人に守られるとかお前も衰えたもんだなぁ、ジェット」
「ちっ、やっぱもっと高い銃じゃなきゃあダメだな。最新式といっても距離が伸びない…おいリーダー!今度はもっといいやつにしてくれよ」
「しししし、いひっ」
無線から中背男の声が聞こえる。
「しょうがねぇさ。今はそれで手一杯だ。これが終われば、もっと良いブツ買えるだろうさ」
「了解。なら次で仕留めるか。弾も無限じゃないからな」
「いひっ…いひっ」
背にジェットが近づく。
「一時休戦しかねぇ、リン手伝え」
「いいよ、そのかわり僕の指示通り動いてよね」
「軌道が分かるからか?」
「そうだね。それと腕力的に僕が舌男を相手するから、あっちをお願いしていいかな」
「ああ問題ない」
「作戦会議は終わったか?」
「人数差は変わらんぞ!死ね!」
「しししゃあ!」
更に戦場は混戦と化した。
狭い空間での近距離戦。
刃の連撃が空を切る。
「追尾弾また来ます!左!」
俺は今右手に銃、左手にナイフを持ち、あいつの指示を受けている。
「今度は右旋回!そのまま僕とチェンジ!」
指示通りに動くことで、全弾回避している。
無線から聴こえる悔し声はいい気味だ。
危機回避能力というべきか、この男の才能は戦いに特化している。
羨ましい限りだ。
傭兵を生業としていたならば、俺より活躍していたのは自明の理だ。
「そっち大きく突進してきます!」
おまけに、相手の動きも先読みしている。
ターゲットにしていた男は難敵ということだ。
この男は、今は一時的に味方。
有り難いとは思っていない。
状況が状況なだけに、共闘を申し出ただけだ。
自分を庇い、怪我をしたことで情が湧いた、というのは決してない、ありえない。
こいつらを倒したら、次はお前だ。
「そっち、動きが単調になってきました。スタミナがないかもしれません。こちらは次で仕留めますので、そちらもお願いしますね」
ああ、アホらしい。
なんで、そんなことまで分かるんだよ、お前はよ、恵まれすぎだろ。
ドゴッと大きな音がして見ると、舌男が壁にぶつかり、完全に伸びていた。
俺より小さく、腕力もないはずなのに、人ひとりぶっ飛ばせるのはやばいだろうがよ。
「うおおぉぉ」
「はっ、確かに単調だな」
俺の相手は最早楽勝。
攻撃をいなし、みぞおちに一発、打撃を入れる。
獣人を気絶させた時同様、麻痺毒のおまけ付きだ。
大男はしっかり動かなくなった。
あと1人だ。
人数差は覆した。
離れているが問題はない。
やつはきっと怯えているはずだ。
噂をすればなんとやらだ、ほら無線から悲痛な声。
少し慌ただしさもあるか。
「うごっ、ちょっま……うげっ……」
向こう側でも堕ちたであろう音が聞こえた。
暫くして、別の声が聞こえる。
「あっ、あーうん、てすてす?フィロてす、リンきこえるー?」
「なっ!?なんで猫女動けてやがる!……はっ?え?お前も知ってたのか?」
「共闘を持ちかけてきた時には…ね、フィロが近くにいることは気づいてたさ、それに彼女の手癖はナメないほうが身のためだよ」
「あーそうかよ、クソ」
どうでもよくなり、仰向けに倒れた。
「共闘は終わったけど、さっきの続きやりますか?」
薄暗い天井が視界に映る。
「いやいい、シラけた。人数不利もあるしな」
「良かったです。正直言って僕も疲れました」
「どの口が言うんだ?お前ホントは強いだろ」
「僕は……」
「そういえば、手を見せろって……おいおいなんだこれは!」
強引に腕を引っ張り見た傷は、痕が若干あるものの、血はなく、穴も塞がっており、完治した様子だった。
感想、評価、レビューお待ちしています。辛口でも構いません。




