激戦①
「あれはだぁれ?」
「フィロの知り合いとかではないんだね」
知らない様子だ。
「リン、悪いことしたの?」
「違うでしょ!可能性があるとしたらそっちでしょ!」
声が大きかったのか、傭兵は僕達の方へと近寄ってきた。
慌てて、口を塞ぎ、囁き声で喋る。
幸い、雷雨で気づかれてはいない様子だった。
「フィロに身に覚えがないなら分からないな。最近何かあったかなぁ?」
「おうかん、いっしょにぬすんだじゃん」
「あれは、違うでしょ。それに、あれはグンジさんが悪かったわけだし、あの傭兵とは別問題だよ」
「んー、そうかなぁ」
「そうだよ」
傭兵の身なりは、白っぽいコートに、軍靴のようなしっかりした靴を履いている。
銃片手に歩いている。
「あれって、じゅうでしょ?」
「よく知ってるね」
「こわいから。でも雨にぬれてもへーきなの?」
「んー、たぶんあれは最新式なんじゃないかな。大きな都市に行くと、バリアっていう障壁なんかも作れる武器があるらしいから、それが内蔵されてたりすると雨も問題ないんじゃない?」
ここより少し先にある都市は、技術的で発展している。
前の街と比べたら、文明の差は歴然だろう。
「でも、すごいねリン!私わからなかった」
「まぁね」
危機回避能力に長けている身体で良かったとつくづく思う。
「あれ?あの人どこにいったかなぁ」
いつの間にか見失っていた。
話に夢中で、どこに行ったか分からない。
今出ていくと、危険かもしれない。
「いいかい、フィロ。僕が指示するまでここを動いちゃだめだか…らぶない!」
フィロを押し倒す。
銃弾は、僕達の上をかすめた。
ドアが蹴り上げられ、侵入される。
砂埃が舞う。
雷が隣の家屋に落ちた。
傭兵と目が合う。
先に動いたのはフィロ。
傭兵めがけて突っ込み、構えた銃を奪おうとした。
が、歴戦の猛者のカウンターをくらい気絶。
構えられた銃は2丁拳銃。
さっきのスナイパー用ではない。
「死ね」
彼の言葉とともに、放たれた弾は迷うことなく、的に向かってきた。
2発の弾は、僕の頬近くをかすめた。
「なんでさっきから当たらねぇ!」
「その前に名乗りなよ」
「はぁ?…はっはっは名乗るかよ!今から死ぬやつに、なあ!」
傭兵は元よりだが、僕も少し苛立っていた。
友人を殴られたのだ。
怒らないはずがない。
「理由を聞いてもいいかい?」
「んなことどうでもいいだろうがボケがっ」
銃をリロードする。
その瞬間を見ていた僕は、サッと前に出て、彼の横を勢いよく通り過ぎる。
装填は間に合わない。
「は!?まじかよ、あの野郎」
傭兵が追いかけた先、さっきとは違って少し広い建物内で、また両者は睨み合った。
「俺の予想より、かなり動けるじゃねーか。あの街では隠してたのか?」
「やっぱり、あそこで目が合ったのはあなたですか」
「旅人なんて視たら分かるからなぁ、匂いが違う」
「さすがは傭兵ですね、で、お名前と僕を殺そうとする理由は?」
「ジェットだ。リン・フォワード君よぉ」
「!?」
「紹介所の受付嬢なんて脅せは簡単よ、まぁ脅さなくても寝れば情報くらい手に入るがなぁ」
「…そうですか」
この男は傭兵として高いスキルがあるだけでなく、執念深い。
「理由かぁ、まぁお前は間接的だから分からねぇかもしれんが、俺の仕事をパァにしたんだよ」
全く見当がつかない。
あの街以前のことなのだろうか。
「お前らが、あの王冠盗んで、あのクソデブを継承者から外させた結果、密輸用心棒ていう仕事がなくなったんだ!俺の経歴に傷がついたんだ!どう落とし前つけてくれるんだ!」
さすがだ。
フィロの回答は当たっていたじゃないか。
密輸も企んでいたとは。
僕達の行動は、間違いではなかった。
「死ぬしかないよなぁ」
「あと1つだけ聞く。もし僕を殺せたとして、フィロはどうなる?」
「あの獣人女か…俺は同族しか興味ねぇ、獣人はそそらねぇ、ガキだしな。まぁ反抗しねえよう、多少は虐めるかもしれねぇがな」
「…そう」
「ふ、覚悟は決まったかよ!犯罪者!」
「君もね!」
雷の合図とともに、両者動く。
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