旅路
【登場人物】
ドム・カーティ
オウル・P・マギー
「はいこれ、ついでにオマケね」
「どうも、ありがとうございます」
隕石落下を回避してから2年後、世界に大きな変化はないが、その兆しは現れつつある。
「枯れた花を元に戻す獣人に、水辺を感知する人…か」
通信機からは最新の情報、世界情勢を知ることかできる。
何処にいても。
これまでは都市や街、そこでの情報しか手に入れるのが難しかった時代だが、現在は世界にエネルギーが充満していることもあり、荒れ果てた荒野であっても、辺鄙な田舎でも知りたい情報を手に入れられる。
もちろん、そういった機械や設備を購入する必要はあるが、世界の生活水準は一定化しつつある。
その街の特色が無くなる可能性は否定できないが、飢餓で苦しんだり、内乱が起きたりすることは少なくなるというのが、とある学者が打ち出した論文である。
「次の街にいこうか、そろそろ着くはず…」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい、どうもお待ち道様、焼き上がりだぞ」
ここは、とある酒場兼宿屋、以前の名前は赤牛亭、改名した今は闘牛亭、店は大いに賑わっている。
店主の名は、ドム・カーティ。
リン達の仲間の一人であり、合成獣へと改造された男。
その強さは未だ健在。
「待たせたなオウル、あとこれはサービスだ」
「いつもありがとうございます」
店に来ていたのは、オウル・P・マギー。
彼もリンの仲間の一人。
闘牛亭には初めての来店だ。
にも関わらず、いつもと付けるのは、これまで何度も赤牛亭を利用してきたからだ。
感謝の意味も込めている。
「ジェットの所、子供生まれたみたいじゃねーか」
「そうですね、夫婦仲も良好みたいですよ」
「嬢ちゃんは、まだ発明都市に?」
「ええ、時々ロックも帰ってるみたいですが」
「ロックといえば、カレンとはどうなんだ?」
「さぁ、どうでしょう。僕個人の判断で言えば無いと思いますよ」
「ふーん、そうか」
「ドムさんは、もう必要ないんですか?慕ってくれる人はけっこういらっしゃると思いますけど?」
「俺の妻と子はあいつらだけだ、それ以上は望まねぇ、これは過去の俺の戒めだよ───それよりもだオウル、お前はどうなんだ?」
「僕は───」
オウルは皆と別れたあと、仙都に一度戻り、幻想の街に行ったあとは一人、旅をしている。
ドムか言うのは以前、幻想の街で知り合ったという女の子のことだ。
ジェット達からはいい雰囲気だったと聞かされている。
「───挨拶しましたよ。特に進展はしていません。もう少し一人旅をしたいと思ってますからね」
「リンのようにか?」
「はい、あの人の偉業を伝えれるのは僕達だけですから。僕は一番近くに居ましたしね」
「だが無理はするなよ?リンもそれは望んでいないはずだ。お前にも、ちゃんと未来はある」
「分かっていますよ、ですからまたいつかあそこへ戻るつもりです。そうしたら2人旅なんてこともいいかもしれません」
「その時は闘牛亭をよろしくな」
「是非とも早めに2号店、3号店を宜しく頼みます」
「これは大忙しだな」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌日朝、オウルは店を出ようとしていた。
「本当に料金無料で良かったんですか?」
「初回サービスだ」
「なるほど」
「もう少し居ても良かったんだぞ」
「長居は無用ですから」
「誰かの考え方と一緒だな」
空は澄み、天気良好。
店のベルは出立を祝う。
「ご来店ありがとうございました!またのお越しをお待ちしています!」
ドムは、敢えて丁寧に伝えた。
オウルはキョトンとしていたが、直ぐに気付き礼をした。
「ご馳走様でした」
「また来いよ」
「ええ、またいつの日か」
若者の旅は続いていく。
【外伝⑦ それぞれの跡 完】
【外伝 終わり】
【次回 あとがき】




