青春
【登場人物】
ショウタ・スルガ
フィロ・ネリウス
世界に光が降り注いでから半年後、リン達との最終決戦に加勢していた者の一人、発明都市の若手発明家ショウタ・スルガは、自宅へと戻り創作の日々を過ごしていた。
ロック・ロックの紹介がなければ、こんな大きな戦いに身を投じることはなかった。
自室に籠もったままでは得られなかった経験と知識を培った。
様々な出会いがあり、人脈が広がった。
そんな彼の下には現在、リンと共に旅をした者の一人、獣人のフィロ・ネリウスが来ている。
あの後、彼女は幾つかの世話になった街や都市を巡り、現在はここ発明都市発明都市に滞在している。
リンのように旅をするというわけではない。
リンのように多くの人を救う人になりたい、ということを、ショウタは彼女の口から聞いている。
ショウタにとってもリンという存在は大きく、尊敬している人物の一人である。
それに為りたいという彼女の願いを、ショウタも手助けしたいと思っている。
「これとこれはなに?」
「これは水を自動で出す仕組み。人の熱を感知して、ボタンを押さずに出してくれる。リンの体質を参考にして作った。子どもや老人が使いやすいようにした感じ。で、もう1つは安眠枕。自動駆動の機能の一部を枕に組み込むことで、使用者の頭や姿勢にフィットするようにしている」
「人のためになる?」
「勿論!試作段階ではあるけどね」
「じゃあ、私もてつだう!」
フィロは製作品の仕組みのほとんどを理解はしていない。
それでも人の為になるならば、自分もという意志の表れ。
触れることの少なかった機械に、新鮮さや興味を持っているというのもある。
またショウタは、フィロの固有武器の製作に携わっている。
手足を覆う甲は、大いに役立ち彼女を助けた。
そのおかげで、ショウタは慕われているのである。
「手甲は持ってる?」
「うん、かばんに入れてるよ」
「改造したかったら、いつでも言ってね。僕にできることはそれくらいだしさ」
「ロックみたいにビューンってのびる!?」
「はは、さすがにそれは無理だよ。フィロの手がなくなっちゃう」
「またたたかいはあるかな?」
隕石落下を回避した世界は、多少の変化はあっても希望に満ちている。
しかし燻る炎が絶えることはない。
いつかはまた、そういう時が起こるかもしれない。
望まなくても事は起こる。
ただ────
「手甲は別に、相手を倒すためだけの道具じゃない。これは使用者を守護する物、温もりを生む手だ───から、これからは何かを守るために使っていったらいいんじゃないかな、上手く言えないけど
……」
「ショウタ、いいこというね!」
「ありがと、それで話は変わるけど今日の夕飯はどうする?」
「さかな!」
フィロは宿に滞在しているのではない。
お世話になった人達へ挨拶する際は、毎回のようにそこに居候させてもらっている。
今回もそう。
「またぁ?他に好きな物ないの?」
「んー、にく?」
「何で疑問形なのさ」
「やさいじゃなければ、なんでも」
「駄目だよ、野菜も食べなよ」
「…これからがんばる」
「ふぅ、分かったよ。じゃあ今日も魚でいこう」
「やったね!ショウタだいすき!」
「うえ!?……あ、うん、ありがと…」
「どうかした?」
「いや、あのさ1つ聞きたいんだけど、食べ物以外に何か好きなものある?」
「んーー」
「…な、さそうかな…分かればプレゼ──っとイケないイケない」
「んーー、あっ!こども!!」
「ええ!!!!子供!!?」
「うん!!」
「うっ…分かった、僕頑張るよ」
「ん?…がんばってね」
「うん」
ここに、ショウタ・スルガの運命は決まった。




