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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
外伝⑦ それぞれの跡

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新生

【登場人物】


秘密

ここは、とある山脈、その麓。

街や都市には含まれない大地の一画。

湖畔があり、川が流れる、その自然豊かな場所にはポツンと1つ一軒家。

自給自足の生活をしているのは、とある男女。

家の壁には狩猟用に使うと思われる武器が2つ、折り重なっている。


「──っつ、にがっ」


「仕方あるまい、生まれてこの方料理なぞした事がないからな。嫌なら食べなくていいんだぞ?」


「いや食うさ、全部食べる」


「酒はいいのか?」


「禁酒するって言っただろ?」


「──が、気にする必要はないだろ」


「今なんて言ったんだ?」


「何度も同じ事は言わん、馬鹿め!」


2人がこの場所に来て、1ヶ月が経とうとしている。

元々此処には、今彼らが住んでいる使い古した家と農具があった。

生活できるまで綺麗に改築したのは、男の方の知恵。

農具の使い方に関しては、お互いからっきしだったが、素人なりに土を耕すほどには使えている。

食材については現地調達。

屋外生活に慣れている男にとっては容易いこと。

自然が豊かなだけあって食べ物には困らない。

保管についても、女の携行する()()()()()によって、食材を腐らせることはない。

生活に困らなければ、人間関係のストレスを抱えることもない。

彼らに何か問題があるとすれば、それはコミュニケーション。


そもそもの話、彼らの出会いは半年程前、会話をしたのは数ヶ月前になる。

趣味嗜好は違えど生き方は似ていた。

孤高で己の武に自信を持つ。

そんな2人にも、共に歩むべき存在がいた。

女の方は主君同然、敬愛し忠誠を誓っていた。

男の方は好敵手であり仲間、信頼できる友だった。

ゆえに、2人は敵同士だった。

刃を交えた。

信念を貫いた。

気持ちをぶつけた。

勝敗の行方は────それこそが、今彼らが此処にいる理由。

未来へ、進んだ証。

されど、依然としてぎこちない。

主君は傍らにいない。

合いの手はない。

終焉未来の世界を塗り替えた主達のように、この壁は彼ら自身で少しずつ崩していく必要がある。


「──で…この薪は何?」


「暖炉に焚べる物だ。身体冷やすと良くねぇからな」


「しょ──私は、冷気に耐性がある。その…気を使う必要はない」


口癖を直す、これもまた必要なこと。


「それは知ってる、俺が言ってるのは()()()だ」


「あぁ、そうか…そうだったな…」


女は自分の腹部を擦る。

微かな、ただ確かに脈は打つ。

新たな生命は宿っている。


「これからは俺メインで食材を取りに行ってくる。こういう時経験者が居ればいいんだがな、頼れる奴が居ねぇのは少しマズったか…いや此処に来るのは俺らが決めたことだし仕方ないな」


此処には彼ら以外の人間はいない。

これから先、何が起きても、彼らのみでやり遂げなければならない。


「私は、いい。万が一の時は、この命に替えてでもこの子は守ってみせる」


「おいおい、そう言うことは言うなよ!俺は博打は好きだが、もう失うのは御免だからな!」


「それは甘えた考えだ──まぁそれも悪くないか……」


「お互い、変わったな」


「そうかも、しれないな」



互いを仕切る壁は少しずつ取り除かれる。

雪解けの春のように、ゆっくりと。



「なぁ、■■■■」


「なんだ■■■?」


「いや、呼んでみただけだ」


「そうか──でも俺は嬉しいぜ■■■。俺はお前を愛している」


「………………………私もだ、■■■■」



仕切りが無くなるのは、いつの日か。

それは遠くない、かもしれない。


白い氷剣と変化式銃剣。


2つは家宝として語り継がれていく。

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