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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
外伝⑤ 名無しの女

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姉弟

【登場人物】

覆面女

ボイル

再誕の芽『Riバース』に所属する覆面女はランキング29位の鉄糸使い。

指に絡めた鉄糸を自由自在に動かす戦闘スタイルで、中距離戦を得意とする。

身のこなしも軽やかで、様々な任務を熟してきた彼女は、その地位を徐々に確立していった。


しかしながら、彼女の名前を知る者は誰一人としていない。

本名は本人の意志で隠されている。

ゆえに、覆面女(名無し)と呼ばれたりすることも暫しある。


そんな彼女も組織に属して早5年、年齢も25歳となり、最初の契約期間満了日が近づいてきていた。


「契約では5年だったはずだが?」


彼女の言う契約とは、5年間組織に従事すれば願いを叶えるというものだった。

その願いとは、彼女の弟を模造人間(クローン)として蘇らせること。

組織の研究員の内、“至宝”と呼ばれる7人は全員が模造人間(クローン)

にわかには信じられない話だったが、話を持ちかけた人物が組織のボスであったことと、その再生力を目の当たりにしたことで合意した。

このような関係までに至ったのは、弟が病弱で、ここ進化都市(The・ボルト)で定期的に検査を受けていた為だ。

陽に当ることのできない身体で、存命は絶望的だった。

死が不可避と判明した頃にその話を受け、病気の研究も兼ね、弟の死後に契約が満了すれば蘇らせることを約束したものだった。


「ふむ、確かにそうだ…だがしかし、君はまだ何も為してはいない」


「どういう意味だ?」


模造人間(クローン)を造るには様々な条件がある。その人物の因子は勿論のこと、素体となる身体の準備と、それの維持に莫大なエネルギーが必要となってくる。このエネルギーの供給がポイントだな」


「どうすれば手に入るんだ?」


「それを知りたければ、契約更新が条件だ」


「それは話が違うだろ?」


「そんな事はない。組織の悲願とも関係がある重要な内容だ。話をするに辺り、君の誠意を見せてもらいたい。同様に、この話を聞いた以上はエネルギーの奪取はもちろん、我々を害そうとする敵を排除してもらいたい」


「……何年だ?」


「3年………いや5年なんてどうかな?」


「2年でいいだろ」


「ふっ…あぁいいだろう。ではこの話の続きはまた次回、関連の任務に就く時にでもしよう」


「……わかった」



そもそもの話ではあるが、覆面女(名無し)の言っている弟とは、実の弟ではない。

幼い頃に実弟がいたのは事実だが、事故で亡くなっている。

その時の家族仲はあまり良くはなく、それが起因して、離れ離れとなり、覆面女(名無し)も見ず知らずの家庭に引き取られた。

その際に出会ったのが、病弱な男の子であり、実弟の面影を重ねたがために、ここまで心血を注いでいたのである。


蘇らせることが、正しい行為なのかは分からない。

ただそうでなかったとしても、満足に外に出歩くことの出来なかった弟に生きる喜びを教えられるのは、“姉”としての役割に他ならない。

血が繋がっているかどうかは関係ない。

覆面女覆面女(名無し)を突き動かすのは、姉弟としての絆だったのである。

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