救出開始
【登場人物】
リン
フィロ
ジェット
オウル
キィ
門前払いを受けた次の日、僕達は宿で緊急会議を行っていた。
「ぜってぇ裏がある」
「僕もそう思います。もしくは何か事件に巻き込まれたか、どちらにしろ早急に探す必要があると思います」
「私がにおいたどる!」
「手紙に書いてある、この冒頭の詩も意味あると思うんだよね」
「それは俺も思ってた」
「キィさんは作詞もされるので、不自然には思いませんでしたが、僕達に何か伝えたいメッセージがあるのかもしれませんね」
通信ではなく、手紙での報告。
それには何か意味があるように感じる。
僕達だけに伝えたい何か、他の人には知られたくない何か。
今一度整理するために、机に手紙を広げた。
詩と手紙の内容はこうだ。
☆
夢が叶う
嘘みたい
変な気分
色んな事があった
突如舞い降りた奇跡
嘘みたい
野に鳥はもういない
何故なら羽ばたいたから
彼方遠くへ
追伸:明日、私の詩が流れます。聴いてください。
☆
「むぅ、わからない…」
「フィロは捜索メインでいいよ」
「嘘を2回書く必要あったんですかね?」
「嘘の嘘は本当ってこと?」
「何が本当なんだ?」
「それを見つける必要があるかと…歌を詩と書いているのは、歌詞は同じだけど歌い手は違うってことでいいと思います」
「歌詞だけ買収して、本人は表に出さないなんてことあるのかな?」
「出さない理由があるのか、出せないのか…考えられるとしたら見た目や年齢じゃねぇーのか?」
「顔で判断する事務所なんて、どうかと思いますけどね」
キィの年齢は20歳を越えていて、26歳くらいだったと記憶している。
放送された別の歌い手の方の映像は出ていて、その人が20歳以下のフレッシュな若者だったのは間違いない。
顔は好みが別れるが、僕は整っているキィの方がいいと思う。
それに歌声は、圧倒的にキィの方が上だ。
未熟な若者に歌わせる理由は見当がつかない。
「ねぇ、これぜんぶなんてよむかおしえて」
「じゃあ、ここに書くよ」
フィロの希望に沿い、1つずつ書いていく。
僕とオウルが気づいたタイミングは、一緒だった。
「───これ!」
「あぁ、そうだよきっと」
「なな何が分かったんだ?」
「答えは…ゆ、う、へ、い、と、う、の、な、か…だよ!」
辿り着いた答えの説明は道すがらすることにした僕は、急いで全員を連れ、その場所へと向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
向かった先は電波塔兼時計塔。
この街で一番大きいとされるシンボル。
「ここのどこかに……」
「地下か天辺か?」
「フィロは感じる?」
僕も軌跡を辿れるけれど、会ったのは数日前。
ここはフィロの獣人としての嗅覚を頼る方が正解だ。
「クンクンクンクン………たぶん、うえ」
「上………」
見上げる。
かなりの高さだ。
塔の中に入口があるとは思うけれど、簡単に通れるかどうか不明。
「二手に別れますか?」
「いや、外からは登れないしね。おそらく、中階段を通って途中から外階段になるパターンだとは思うから全員で行こう。入口を塞いでいないことだけ祈ろう」
電波塔の中には、街の人もチラホラといる。
観光名所の1つとして見に来る客がいるからだ。
当然、関係者専用扉はある。
狙うのはそこ。
そこを通るには、1人の警備員を離れさせる必要があった。
「俺が組手してやろうか?」
「問題行動は起こせないよ、キィにも悪いでしょ」
「なら、どうすんだ?」
「ここは………」
オウルの自動駆動に中の情報を調べて、オウルに電波塔をハッキングしてもらうのが良いと思ったのだが、ハッキングにどれだけの時間がかかるか。
本当に幽閉されているのなら、衰弱しているかもしれないし、悠長にはしていられない。
「警備員は入口の1人みたいですね」
「あちらさんは、ここがバレるとは思っていないんだろうね」
「んじゃ、俺の麻酔針で眠らせて、代わりに俺が警備員としてここを見張っておくぜ」
「私につかったやつだ」
「ああ、だから長いこと起きないと思うぞ」
「それもアウトな気がするけど…まぁいいか」
作戦は直ぐ様実行に移す。
プロの傭兵は手慣れた手つきで警備員を眠らせていた。
「じゃあ、あとはお前らに任せた」
相槌した僕達は、中階段を登る。
予想通り、途中からは外階段となっている構造。
「うひゃー、たかい」
「フィロ、あんまり高いって言わないでよね」
ここから落ちたら…なんてことは考えない方が良さそうだ。
登るほど風当たりも強くなっていく。
暫く登っていくと、頑丈そうな扉がある。
もちろん鍵は掛かっていたが、警備員から拝借した鍵で開ける。
扉を開けると、そこに探し人はいた。
「───っ、みんな!」
フィロとキィは喜びで抱き合っていた。




