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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
外伝② 黒い化身と白き偶像

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幻想の街

【登場人物】

リン

フィロ

ジェット

オウル

ヨーカ

谷を越え街に着いたのは、夜になる前、星が見え始める頃だった。

空には雲一つなく、その星は綺麗に見えた。


「ここは、何という街ですかね?」


地図を食べられてしまっているため、現在地がまるで把握できない。


「街の雰囲気は普通だな」


どこにでもあるような穏やかな雰囲気。

大地の街(ソリース)のような分かりやすい特色はない。


「ん?あれ、あの人…あの人も」


人に指さすのは良くないと、今度フィロに言い聞かせないといけない。


「確かにあの人達は妖人だね、純血かは分からないけど、妖人の血筋が多い街なのかな」


妖人とは人間種の種類の一つ。

ジェットのような一般的な人間が大多数で、次に多いのがフィロのような獣人。

妖人は一番少なく希少とされる。

オウルは人間と妖人の混血で、耳や目にその特徴を引き継いでいる。

もしかしたら皮膚もそうなのかもしれないが、確認はしていない。

混血の場合の多くは、身体的能力は普通の人間と一緒であり、むしろ劣る場合もあると聞いたことがある。

そのため価値のあるのは純血だけであり、オウルが命を狙われたりすることは、ほとんどなかったらしい。

僕は純血の妖人は見たことがないが、もっと異様な姿だと聞いている。

皮膚は鱗状で眼はギョロっとしている。

人間のような足はなく、さっきの黒い生物のようなモソモソっと動く感じらしい。

そして純血の場合は100%の確率で先を見通す眼、先見の眼を持って生まれるらしい。

その眼欲しさに、争いが起きたこともあって数を減らしている。

つまり、この世に純血の妖人は、ほんの一握りしかいないのだ。


「貴方達、お客様?」


キョロキョロと見渡していたのが分かったのか、道外れにいた少女に声を掛けられた。

この子も妖人の混血。

僕達の中で最年少はオウルだが、それよりも1つか2つ年下くらいの女の子だ。


「良かったら、うちにどうぞ」


僕達は顔を見合わせたが、土地勘もないため、お言葉に預かることにした。

後で自己紹介を受けたが、彼女の名前はヨーカ。

ここ幻想の街(アルジヨン)入口の一軒家に住んでいる。

ヨーカのご両親も温かく僕達を迎え入れてくれた。








◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「滞在は数日くらいか?」


ジェットは朝から温かいミルクを飲んでいる。

酒を飲まないのは珍しい。


「なんだよ?」


「いや、なんとも、長くて1週間くらいかな」 


「それまではここに居させてもらうわけか」


仙都(The・ハミット)の次の街として、ここ幻想(アルジヨン)に来る人達は多いため、この家のように迎え入れるんだとか。

街に宿屋は無いらしく、家に厄介になるのが嫌な場合は野宿となるのだが、この街は年中天気がよく住みやすいため、野宿になっても文句を言う人はいない様だ。


「オウルと猫女は?」


「ヨーカちゃんと遊んでいるよ」


「ほう」


ヨーカちゃんのご両親が言うには、この街の大半は妖人の血を持った混血が多いそうだ。

次に多いのは獣人と言っていたから、世界の人口割合の真逆ということになる。

また純血も数人いるようで、その人達がここの街長らしい。

所々に警備兵がいるのはそういう理由だ。

純血の街長達を守るためだ。


「職業紹介所もないのは、少し暇だな」


「仕方ないよ、大地(ソリース)もなかったでしょ」


「あれは別次元だったろうがよ。手で飯を食うなんざ、俺はもう御免だぜ」


「はは、一番似合ってたけどなぁ」


街によって、それぞれの色がある。

この街も、その名前にちなんだ特色はある。

幻想の街(アルジヨン)と言われる所以は夜になったら分かるそうだ。

昨日は走り回ったために、皆熟睡だったそう。

今晩はその真意を確かめようと思う。


「それにしても、どう思う?」


「何が?」


「オウルとヨーカちゃんだよ」


「どうって、普通じゃない?」


「俺は恋してると思うぜ」


「!?」


ジェットは親心でも抱いてるのだろうか。

飲んでいるミルクにお酒が入っていたんじゃないかと思うくらい、その話題は長く続いた。

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