思い出の焼却
【登場人物】
シャルル・ミン
リン・フォワード
ヤヨイ・ユルグ
「なん───って数!」
あまりにも多い。
これが地上に出て暴れ回られたら、一溜まりもない。
都市が灰燼に帰してしまう。
「私のプロトタイプは?」
「──れじゃないかな?」
「あ、本当だわ、よく分かったわねって、なんで此処に貴方がいるの!?」
「シャルルの跡を通ってきた」
「にしたって…はぁもういいわ。それなら手伝って」
「もちろんだよ」
まずは、まだ生きている人を見つけて安全な所に連れて行く。
1人また1人と救助を求める声に手を差し伸べていく。
地道な作業。
次は、プロトタイプをどうにかして止めるのだけど、良案は浮かばない。
そもそもなんでこんな事が起きたのか、現場の人達に聞いていない。
「原因は何か知ってる?」
「俺が聞いた話だと確か、機械人間に自動駆動の一部を組み込んだらしいぜ」
「はぁ?それは初期案として否定されたでしょ!?なんで今更!」
「俺ら現場の人間に言われてもな、都市長考案らしいぞ」
「その都市長は生きてるの?」
「いや、バッサリだったそうだ」
はぁ、幸先暗い。
私は都市長暗殺の汚名を受けて幽閉されるかもしれない。
上司との関係も悪かったし、何処かの誰かに、妬んで殺したなんて言われそうだ。
アリバイがあっても状況証拠や遠隔操作でなんとでもなると自分自身で思えてしまうのが怖い。
「でもそうだとして、あんな風に統率がとれるものではないでしょ?」
「俺らもイマイチよくわかんねぇんだが、鉱石がどうのって言ってたぞ。何かの情報で、あの石は普通の大地にある鉱石とは違くて、とんでもないエネルギーを秘めているんだとかっていう話を2人でしているのを聞いたぜ」
「首飾りの…?」
「原因が分かったなら、取り外すしかないよ。ここは僕が行く」
「ちょっと待ちなさい、リン!!」
なんであんなに軽快に移動できるのよ。
どう考えても一般人にできる動きじゃない。
貴方は一体何者なの?
あの青い鉱石のことを知っているの?
私はもうこれ以上は進めない。
ここから先は闇。
無数の機械人間の群れに飲み込まれる。
私はもう祈るしかない。
無関係の人に頼るしかない。
リンに託すしかない。
お願い、止まって!
「そんな所に蹲ってどうかした?」
「ふぇ?」
「はい、これ。首飾り」
「えっ…はやっ!!」
機械人間達の動きも止まってる。
成功、したんだ。
「首飾りを奪い取るだけなら楽勝だよ」
「でも抵抗されたでしょ!無数の手に阻まれたでしょう?」
「まぁ、それはなんとか避けたよ」
「なんとかって……」
人外過ぎるわよ。
想像を遥かに超える人っているんだなぁ、本当に。
「どうするのそれ?」
「いま考えてるとこ……いる?」
「いや、それは君のだよ。それをどうするか、シャルル自身が決めたらいい」
「……そうよね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
警報から1週間が経った。
私達はいま、都市の入り口にいる。
彼を見送るために。
「もっとゆっくりして良かったのじゃぞ」
雇用期間もまだ残日があったのにもかかわらず、早い旅立ち。
「長居はしないように決めてるんですよ」
都市長が亡くなって、ヤヨイ婆が復帰したかたちになったけど、以前のようには動けない。
私は開発部の仕事と都市長の補佐をすることになった。
「まだ燃えているね」
「そうね」
鉱石はメラメラと燃えている。
燃え尽きないまま1週間が経ち、灯火として都市の入り口に掲げた。
「次はいつ帰ってくるの?」
「さぁ、いつだろう。気長に待ってて」
「いつでも歓迎しておるぞ」
「ありがとう皆さん」
「私、ずっと待ってるから!もっと成長して、機械との共存を、この都市だけでなく世界に広めさせるから!忘れないでよね!」
「うん、忘れないよ。シャルルには期待してる。君の想いが実現できるよう、僕も頑張るから、またね」
「またね」
青い炎は、それから数年燃え続けた。
【外伝① 機械と人と私 完】




