奪還②
ガードが硬くないことに驚きを隠せないでいる。
もしや罠なのではと逆に疑ってしまいそうだ。
ただし、働けるといっても王冠の近くではなく、外周の掃除など誰にでもできる内容だ。
定例査定の前後一週間というだけの雇用。
ジモンさんには申し訳なく思うが、残りの一週間は休みにしてもらった。
特異体質のおかげで、鉱石を山程採掘できているというのも了承の理由にあるだろう。
「そこっ、手を止めないで!ちゃんと掃除して!」
「はっはい!」
採掘場のことを考えていると、叱られてしまった。
ピリピリしているのは、ここの上長。
僕の他にも数人叱責をくらっている。
雇用されたばかりの人達は多い。
人手不足のおかげで、敷地に侵入できたのは有り難い。
建物内に、ほとんど入ることができないのが難点なくらいだ。
隙を見ての位置把握は何度か実行した。
この2日間で、おおよその見当はついている。
というのも、あきらかに厳重そうな扉があるし、外から感じるエネルギーも、その場所を指しているため、間違いはないと思う。
あとは、決行日と時間帯。
時間帯についたは、夜が最適だろう。
人気も少なくなるし、フィロは夜目も効く。
予定外が起きても闇夜に乗じれば、回避できる可能性は上がる。
それと決行日は、前日。
早すぎると隠す手間がかかる。
そもそもあれがまだ出来上がってない。
ジモンさんに見せてもらった写真だけで出来るのだろうか、こればかりはフィロ達に期待するしかない。
「おい、そこのお前」
挙動不審に思われたのか、振り返った先には、グンジさんがいた。
後ろにいるのは従者だろうか。
「見ない顔だな」
「あ、はい」
「使用人は多い方がいいとおっしゃったのはグンジ様でしょう」
「そうだったな。見栄がいいしな」
少しだけビックリした。
話を聞いたときに見せてもらった写真と、今間近にいるグンジさんは全く違う雰囲気だ。
穏やかさがまるでない。
「ではグンジ様、あまり時間もありませんので、そろそろ…」
「そうだったな。おいお前、ちゃんと働けよ、この街で一番偉いのは俺様だからな」
人はここまで変わってしまうのか、少し怖いくらいだ。
「やっぱり、このままではいけないな」
誰の耳にも入らないよう、僕は呟いた。
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