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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第八章 紡がれる世界〜決別の途〜

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勝ち負け

【主要登場人物】

リン・フォワード

(主人公、男、白髪、825歳)

フィロ・ネリウス

(猫獣人、女、褐色肌、黒髪、16歳)

ジェット・エーギル

(傭兵、酒と女好き、男、金髪、28歳)

オウル・P・マギー

(妖人と人間の混合種、ハッカー、男、青髪、17歳)

カレン・クジョウ

(元工作員、針使い、女、赤紫髪、23歳)

ロック・ロック

(元Riバース、元二重人格、改造、男、緑髪、21歳)

ドム・カーティ

(元Riバース、赤牛亭の店主、合成獣、男、銀髪、32歳)



【サブ登場人物】

ボイル(Riバース、1位)

イズミ(Riバース、3位)

ユキ(Riバース、研究員)

覆面女(Riバース、29位)

────地上、A区画



「はぁ、はぁ、はぁ」


イズミは息を切らしている。

ここまでの苦戦はいままでになかった。


「だが、それも終わった」


イズミの前方、ジェットは足元を氷漬けにされている。

回避手段はない。

次の一手で決まる。


しかし、突如巨大な影が前方へと降り立つ。

合成獣(キメラ)ドムである。

イズミにとっては、ドムと戦う必要はない。

そろそろ切り上げ地下へと退避し、主のもとへといくのが最善。

だが待ったが掛けられる。


「ちっ、見逃してやっているんだぞ」


「そうだぞジェット、まずはその凍傷をなんとかすべきだ」


「いやいいんだドムさん、まだ俺はやれる。惚れた女に負けるなんて、ジェット・エーギルじゃねーよ」


「ならば……死ね!」



ドムがわざと避けた氷の斬撃はジェットへと向かう。

その斬撃はジェットを捉えることなく空中破壊。

ジェットの放った刃は、イズミの肩を貫いた。


「なん…だ?」


衝撃でイズミはその場に倒れた。

何が、起きたか理解できずにいた。

目の前の男は気絶しかけの身動きもできないはず。

男の銃やナイフでは斬撃を破壊することは不可能。

では、自分の腕と肩を貫いたのは何なのか。


「やるなぁ、ジェット」


ジェットの固有強化武器は、その銃やナイフなのだが、オウルとロックの入れ知恵により半分ほど自動駆動(オートマシン)になっている。

自分の銃が喋りだすのはどうにも性に合わないのでで、会話機能はオフにしていた。

2つの半自動駆動(オートマシン)は変形して合体、弧を描いた弓となり、光の刃として射出。

氷の斬撃を砕いたのは、一本ではなく三本の矢。

三槍は、狙い通りの一点を貫いた。



「くっ、この程度で…」



肩を押さえながらフラフラとイズミは立ち上がる。

表情は悲痛。


「ボイル様…すみません」



精神的な疲労も蓄積していたことで、イズミは倒れる。


ドムはジェットとイズミの両方を脇に抱えた。




見上げた空はさらに赤さを増している。


「隕石が落ちてくるのはマジみたいだな」


ジェット達、この戦場にいる者達にはすでに、その情報が出回っている。

それでも戦闘が終わらないのは、それぞれが役目を果たそうと、リンを信じようと、リンに賭けようとしているからである。


誰もまだ絶望はしていない。









────地下、螺旋回廊付近



激しい音とともに、いくつもの風穴があく。

地下都市は頑丈に造られているため、崩落することはないが、衝撃は建物を破壊する。


「ここを造るのにどれだけの時間と費用を注ぎ込んだか、お前には分かるまい」


「700年くらい?」


「そんなにはないさ」


ボイルは唇の血を拭う。

1位の力をもってしても、リンは倒せない。

弱らせる仕掛けはほとんど意味をなしていなかった。




「お前の勝ちだぞ、リン」


「みたいだね」


リンは勝負に勝った。

しかし、それほど嬉しくはない。

気持ちは埋まらない。


「一発殴れば気が済むかと思ったけど、そう単純じゃないみたいだ」


「強欲な強者だな」



戦いでは何も解決はしない。

それはリンも理解していた。

ただ苛立ちを払拭しなければ、一度殴らなければ、腹を割って話はできなかったからだ。



「じゃあ、提案とやらを聞こうか」


「では俺の執務室に案内しよう。研究員らしく、データに基づいた提案が必要だろう?」


「いいね、研究論文を採点してあげるよ」


「ふん、言ってろ」




ボイルの提案が何なのか、まだリンは分からない。

だが今の、この一瞬の時間だけは、昔の2人に戻れたと、リンは感じたのだった。

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