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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第八章 紡がれる世界〜決別の途〜

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螺旋

【主要登場人物】

リン・フォワード

(主人公、男、白髪、825歳)

フィロ・ネリウス

(猫獣人、女、褐色肌、黒髪、16歳)

ジェット・エーギル

(傭兵、酒と女好き、男、金髪、28歳)

オウル・P・マギー

(妖人と人間の混合種、ハッカー、男、青髪、17歳)

カレン・クジョウ

(元工作員、針使い、女、赤紫髪、23歳)

ロック・ロック

(元Riバース、元二重人格、改造、男、緑髪、21歳)

ドム・カーティ

(元Riバース、赤牛亭の店主、合成獣、男、銀髪、32歳)



【サブ登場人物】

ボイル(Riバース、1位)

イズミ(Riバース、3位)

ユキ(Riバース、研究員)

レイブン(Riバース、8位)

マーク(Riバース、20位)

────地下、螺旋回廊


リンは、イズミに言われた道を通っていた。

道は螺旋状で下に延びている。

時間をかけさせられている、そんな感覚に満ちていた。


何かしらの()()()があるのはわかっていた。

それでもこの道を進むと決めたのは、この先に彼が待っていると告げられたから。

回避の得意なリンが、それをせずに前へと歩むのは、覚悟を決めているからである。


仲間の心配はあるが、あとは信じるのみ。

外が得体のしれない雰囲気になっていることは、リンが一番よくわかっていた。

だが期限という名の時間はまだある。

この拳を、ぶつけないといけない相手がいる。

この思いを、告げないといけない相手がいる。

救うべき人がいる。

まずはそこから。

それがリンの原点。








────地下、刑罰・実験地区


ユキ・アマミヤは未だ囚われていた。

罰の時間はとっくに過ぎているが、ボイルは解放してくれない。

悪あがきをさせないため。

成功率を上げるため。

研究者としては筋の通ったやり方。


()()()


「ボイル様の機嫌を損ねるからだ」


ユキを監視している者の一人、25位ダイマは辛辣な言葉をかける。

彼はユキを崇めていない。

模造人間(クローン)は機械と何ら変わらないと考えているからだ。



「それにしても、やはり似ている。性格も顔も、違うのは強さだけか、他の人間も同じようにできるのか?」


模造人間(クローン)について尋ねてきたのは、29位の覆面女。

彼女が似ていると言ったのは、ユキの後ろにいる人物。


ユキはその問いには答えなかった。

なぜなら、ボイルが入室してきたからだ。


「同じように作れるぞ、何かしらの因子があればな」


ボイルはユキに代わって答えた。


「………だが、次を作るのは随分と先になるだろう」


「!?なぜだ!そんなこと聞いてないぞ!」


覆面女は声を張り上げる。

彼女は組織と契約をしていた。

死んだ弟を蘇らせてくれると。

その日が来るまでは組織に仕えると。



「リンが、()()するものについて教えているのは10位以上、もしくは信頼に足る者、そこにいるダイマのような、な。君にも教えてやろう、29位。誘発するものは隕石だ」


「…は?」


「あと2時間程度でこの大地に、星に、遥か彼方から隕石が飛来してくるのだ。800年前の物とは比べる必要もないほどの巨大隕石が5発落ちてくる」


「そんなバカなことあるのか?世界は終わるのか?」


「初期の段階で宇宙都市(The・ニヴェル)と入念な調査に基づいて予測している。多少の誤差はあれど、世界は再び崩壊するのはほぼ間違いない。模造人間(クローン)を作るのをストップするのは、それ以外にも重要な案件がいくつもあるからだ。君の弟が生きる世界は地上にはないし、今回の地下への避難はそういうことだ…さて」



ボイルは、色の違う石を数個懐に入れる。



「そろそろ、リンを迎えに行く。その場は任せるぞ、ダイマ」


「御意に」



ボイルは、リンのいる螺旋回廊へと進む。



「全てが終わるまで大人しくしていてもらうぞ…ん?」


ダイマの反対側では、29位が蹲りブツブツと何かを言っている。

聞き取れない。


「哀れね」


「奴を哀れんでも状況が変わることはない」


「いいえ、違うわ。私がさっきから言っているのは貴方のことよ、ダイマ。信じる相手を貴方は間違えた」


突如、ダイマの右耳は半分ほど千切れる。

左耳から聴こえるのは、ビュンビュンと風を斬る音。


「29位…貴様…」


「弟に外を、陽の光を浴びせることが私の夢だったんだ。死んだ弟を蘇らせたとしても、そこに世界がないのなら意味はない。私は出口のない道をグルグル回っていただけなんだ」


「反逆罪だぞ!」


「私は今虫の居所が悪いんだ。悪いが死ぬのはお前だ。その後は奴だ。私の刃が届かなかったとしても奴の邪魔ができればそれでいい。私の最後は、それでいい」



無数の鉄糸と巨腕の振動薙刀。



格子戸の向こう側には、哀れな2人。



ユキは、その1つの行く末を眺めていた。

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