前兆
【主要登場人物】
リン・フォワード
(主人公、男、白髪、825歳)
フィロ・ネリウス
(猫獣人、女、褐色肌、黒髪、16歳)
ジェット・エーギル
(傭兵、酒と女好き、男、金髪、28歳)
オウル・P・マギー
(妖人と人間の混合種、ハッカー、男、青髪、17歳)
カレン・クジョウ
(元工作員、針使い、女、赤紫髪、23歳)
ロック・ロック
(元Riバース、元二重人格、改造、男、緑髪、21歳)
ドム・カーティ
(元Riバース、赤牛亭の店主、合成獣、男、銀髪、32歳)
【サブ登場人物】
ボイル(Riバース、1位)
イズミ(Riバース、3位)
───地下都市研究地区
一番先に地下へと侵入できていたのはオウルだった。
オウルが通ったのは、イズミがリンを案内する予定の正規ルートではない。
自動駆動が抜け穴を見つけてくれたのだ。
歩いているのは研究地区。
今一番ボイルに近いのはオウルとなったわけだが、ここで一人が立ち塞がる。
30位べヘット。
骸骨を頭にかぶり、上半身裸の奇人。
「ロックといい、変な人が多いね」
「ひゃは!」
べヘットの刀身を自動駆動が受ける。
彼の刀は白く発光し、剣筋が読めにくい。
「いいねぇいいねぇ、ちょあ!」
オウルは参加せず、自動駆動が対応している。
「俺は元40位、今は繰り上げ30位、お前を倒してご褒美もらうのさ」
「つまり、雑魚ってことですか」
「ムキー!!」
オウルが参加しなかったのは、相手の力量を測るため。
このレベルなら問題なく対処は可能と判断したオウルは、パソコンを取り出す。
「僕は戦闘得意じゃありません。だから固有武器なんて作りませんでした。その代わり、自動駆動は見違えるほどに強化しました。さぁ、どうぞ」
押したボタンから信号を受けた自動駆動は歌い出す。
超音波の如く、内側まで響いたそれは刀身の光を弱らせ砕いた。
「試練の街の爆発、氷の剣、光の剣、全て、あるエネルギーを使っているそうじゃないですか。うちのリーダーにも同じものがあるので、僕も少しばかり使わせてもらいました。エネルギーの逆流というわけです」
べヘットはすでに失神しており、オウルの説明は誰にも聞かれていない。
「けっこう重要な説明なんですが観客がいないのは残念ですね…ん?何です?」
自動駆動は何かを受信していた。
────地上、C区画
地上では至る所で戦闘が始まっていた。
ドムの目の前にいるのは、8位レイブン、鳥の獣人。
「貴方が抜けた所為で、埋め合わせが大変なのよ。獣の姿をした貴方が裏切った所為でね」
「それは、すまなかったな」
「獣人の肩身が狭くなる一方だわ。どう落とし前つけてくれるのよ?」
「どうと、言われてもな…ん?」
向き合う2人の横を通り過ぎるのは、一匹の鼠と一匹の猫。
猫が鼠を追いかけている。
「あーもー!しゃらくせー!なんだってんだよもう!」
彼は20位、鼠の獣人、マーク。
「私のえもの!」
追いかけていたのは、フィロ。
「何やってるのよ、マーク」
「猫なんて大っ嫌いだ!ちくしょうめ!」
「今度俺が魚を焼いてやるから、あれは食べちゃだめだぞ」
「いぇーい!おっさかな!」
「あら?/は?/む?/ふぇ?」
────地上、A区画
リンは、イズミのあとを歩いている。
案内されているのではない。
戦闘をしているわけでもない。
誘いに乗っている、ただそれだけ。
「ここだ」
イズミは地面と対になっている重い扉を片手で持ち上げる。
「普段のルートは閉めている。急ピッチで繋げたが、ここが今使える正規ルート。ここを通れ」
「その先に、彼がいるのかい?」
「嘘を言う必要はない」
リンとしても早急に地下へと行きたいが、きな臭さを感じていた。
「わかった。じゃあ一緒に行こうよ」
イズミは返答しない。
それが答え。
「やっぱり何か企んでたんだね、まぁいいや、そこを通るよ」
「じゃあ、俺も行っていいか?」
声がした方角にはジェット。
「貴様は行くことはできない。ここで小官に倒されるのだからな。そもそもこのルートの定員は1人だ」
「そういうわけだから、後をお願いね、ジェット」
「ああ任された」
リンが入ると扉は自動で閉まった。
「貴様も運がないな。力の差は歴然。今なら見逃してやってもいいぞ」
「美人が目の前にいるのに逃げる男がどこにいるよ…あん?」
雲一つなかった空は、赤黒く染まっていた。
「…想定よりも早い…早すぎる」
─────研究地区
「あと2.3時間ほどか。予想は予想。俺も研究者として、まだまだだな」
ボイルは、観測自動駆動で、外の状況を見ていた。




