技師の街
【主要登場人物】
リン・フォワード
(主人公、男、白髪、825歳)
フィロ・ネリウス
(猫獣人、女、褐色肌、黒髪、16歳)
ジェット・エーギル
(傭兵、酒と女好き、男、金髪、28歳)
オウル・P・マギー
(妖人と人間の混合種、ハッカー、男、青髪、17歳)
カレン・クジョウ
(元工作員、針使い、女、赤紫髪、23歳)
ロック・ロック
(元Riバース、元二重人格、改造、男、緑髪、21歳)
科学都市から技師の街までは、車で数日。
いくつかの街はあるが、今回は立ち寄らない。
自動駆動には観られているはずなので、ボイルには動向がバレている可能性は高いが、それはそれ。
観測されていたからといって、勝負に敗北しなければいいだけのこと。
一応の確認で、自動駆動の破壊をロックに尋ねてみたが、今の装備では撃ち落とすのは無理とのこと。
今は観られていることは気にせず、前に進むしか無い。
ロックの購入したこの車は至って普通。
白色で目立たないのはありがたいが、かなり窮屈。
6人乗りの定員ギチギチ。
運転席はロック、助手席はフィロ、後部座席真ん中はカレンとオウル、後ろは僕とジェット。
もちろん車内は禁煙だ。
窓を開けようが、タバコは吸うことができない。
数日後、車は技師の街へと着いた。
空はどんよりと暗い。
「この街はいつもこんなに暗いのか?」
「そっすね、改造の街に人が流れてるっすから、この街は過疎地っすよ。空が暗いのは人工雲のせいっすね。発明都市の作った雲で、雨雷雪の実験の毎日っすよ」
「雲を作る技術があるんですか?」
「発明都市は何でもありますねー、物がありありすぎて、このオレっちでもわけわからんこともあるっすよー」
技師の街の隣が発明都市、そのさらに隣が改造の街、そしてそう遠くない距離に進化都市があるらしい。
この進化都市こそ、組織再誕の芽『Riバース』が構える拠ということ。
ボイル達に会うのは、そう先の話ではないということだ。
その為にまずは入念な準備。
僕達…僕以外の皆は強くならないといけない。
再戦はそのあと。
だが本当に、そんな上手い話があるのだろうか。
今でも不思議に思っているところだ。
「それで、この後どうするの?」
「まぁまぁまぁ、急かさないでくださいよ旦那。まずは、じっちゃんに挨拶しなきゃならんす。ただ…」
「ただ…?」
「じっちゃんとは7年会ってないっすからね。オレっちを忘れてなきゃいいっすけど…」
「それって、生きてるかどうかも知らないってことなの?」
「イエスです姉御」
じっちゃんというぐらいだ。
家族、もしくはそれに近い存在なんだろう。
音信不通だったとしても、7年くらいなら忘れないとは思う。
生きていさえばの話だけど。
車を停めてから暫く歩くと、丸型の家々が点々とある。
その内の1つ、大きな煙突のある家の前で、ロックは立ち止まった。
見上げると、煙突からは煙が出ている。
人がいる証拠。
ロックは扉を数回ノックした。
反応はなかったが、ロックが中に入ったので、僕達も一人ずつ入っていく。
室内は質素な雰囲気で家庭的な物は少ない。
その代わりに、工具や油といった職人特有のにおいが充満している。
「昔と何も変わってないなぁ、じっちゃん」
僕達に気づいているかは分からない。
一人の老人は、黙々と作業をしていた。




