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シンなる旅路【第一部、外伝】(カクヨムさんの方で修正版を投稿しています)  作者: 飯屋クウ
第一章 最初の旅仲間

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冠②

街の中央部は、いつにもまして慌ただしくなっている。

都市連合の長達が数日後には来訪するためだ。

歓迎の準備に余念はない。

それもそのはず、この街は頻度の高い砂嵐にみまわれることもあって閉鎖的だ。

外の情報は得る手段は少ない。

街の商人が仕入れのため外に出ることはあるが、毎日は難しい。

そのため、商人や旅人などは基本重宝されることが多い。




街の中心部から少し離れた、高い場所から下を見ている者達がいる。

この街の支配者たる人物だ。


「準備は順調か?」

「はい、滞り無く」


従者の身なりをした物が答える。


「定例査定かなんだか知らんが、やつらも暇だな」

「グンジ様、そのような言い方は良くないかと、都市連合の皆様もグンジ様と同じように統治者でございます」

「わかっているわ!そんなこと!」


ドンとテーブルが叩かれる。

並々注がれていた紅茶が溢れる。


「なんで俺がこんな面倒なことをしなきゃならんのだ。報告なんぞ、紙切れ一枚で十分だろうが」

「歴史ある行事ですから、我々では無くすことができません」

「ふんっ!どうせ、やつらも俺の利益を狙っているに違いない」


グンジは椅子に座ると紅茶の横に置いてあった甘い菓子を頬張る。


「も、れ、それでどぉだ、れぃのせいさくは…」

「政策に反発する輩はおりませんので、定例査定終了後に実施できそうです」


グンジは差別主義者で自己中心的な考えの男だ。


「これでまた俺の金が増えるということだ」

「獣人税に、身寄りの無い子や働いていない者達を受け入れ、という名の売春ですか」

「あぁ、俺に金を落とさないんだ。この街で働けないなら売るまでさ」

「その事、都市連合の長達には気づかれないようにしないといけませんね」

「問題はない。やつらの網に引っかかりはしない。取引先は安心できる」

「そこまで信用しているのでしたら、これ以上は触れません。それよりも、あれはどうなさるおつもりですか?」


従者が指差す先には、王冠がある。

輝きはないが、荘厳さのある冠が、透明な箱に入っている。


「あのように無造作でよいのでしょうか」

「お前の心配はわかる。だが問題はない。奴の時のようにはならない、俺にはあれがある」

「最近買ったという()()ですか?」

「そうだ、高額だから1つしか買えなかったが十分だろう。何やら普通の目には見えないレーザーなるものが、この箱の周りをぐるぐると回るらしい。それに触れると警報が鳴るという仕組みだ」

「警報装置も合わせて購入されたんですよね」

「あぁ、高かったぞ!聞くか?」


長くなりそうな話を従者は断った。


当日までこの箱はグンジのいる会議室から別の場所へと移される。

箱と台座以外には何もない部屋にだ。



装置を手に持ち、拳を上げたグンジは高らかに笑っていた。



感想、評価、レビューお待ちしています。辛口でも構いません。

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