92話

フォルを連れて少し急ぎ気味に、ギルドへ向かう。

と言っても、そこまで離れていないので3分くらいで着いた。

そのままギルドに入ると、カウンターは変わらず無人だったので、ブラングさんを呼ぶために奥の方へと声をかける。

すると

「奥に入ってきてくれ」

と言われたので、指示通り中に入っていくがどこに行けばいいのだろうか？

分からないので、とりあえず前に入ったブラングさんの部屋と思われるところに向かい、扉にノックをしたのだが、返事がない。ということは別のところなのだろうか？でも俺ギルド職員じゃないから分からないんだけど。

まぁ、声を出せばわかるかな？

「ブラングさん、ソランです。どこにいますか？」

少し失礼かもしれないが、場所を教えてくれなかったブラングさんにも罪があると思うので大丈夫だろう。きっと。

「む？そういえばソランは中に入ったことはほとんどなかったの」

と言いながら俺の前にあるドアの2つ隣の扉が開きブラングさんが出てくる。

その後ブラングさんに中に入れられる。

その部屋には女性が1人いて奥にあるベッドの方を見ている。そしてそのベッドには1人の女性‥‥‥フランさんが眠っていて、寝顔はとても辛そうに見える。

まぁ、一応挨拶は必要だと思うのでしておこう。自己紹介も一応。これから関わることがあるのかも分からないけど。

「えっと、初めましてですよね？ソランです」

「え？あ、すいません。初めまして、ルンといいます。ここにいる、ということは貴方がフランの担当冒険者ですね？フランを助けてください。お願いします」

「えぇ、言われなくとも、もとよりそのつもりです。それでブラングさん、どうすればいいんですか？」

そう聞くとブラングさんはフランさんの寝ているベッドの隣に置いてあるベッドを指さし

「あれに寝てくれ。そしてフランの体の一部を触れながら、フランに取り憑いているものを取り除くイメージをすれば良いはずじゃ」

フランさんの横で寝る。フランさんの体の一部を触れる。というのが正直とても恥ずかしいが、今はそんなことを言っていられる場合ではないので、押し殺すとする。

早い方がいいと思うので、早速でベッドに寝て、フランさんの手を掴む。そして、目を瞑りフランさんの中から何かを取り出すイメージを浮かべていく。

最近は既存の魔法を使わずイメージでやっていることが多いせいかイメージ力が上がったのかまるで知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)かのようにイメージが浮かぶ。

《条件を満たしたため称号:悪夢へ至りし者を取得しました》

《条件を満たしたため能力の一部が解放されます》